樋口勝彦・藤井昇『詳解ラテン文法』(研究社、1963 年、新装版 2008 年) の第 5 課から第 8 課までの解答例。
この本は未完了過去時制のことをたんに「過去」と呼んでおり珍しいが、これと軌を一にする例としてほぼ同時期の村松『ラテン語四週間』(大学書林、新稿版 1961 年) を思い起こす。そのはしがきではその訳について「多少の非難を受けるのを覚悟して、英文法につかわれているものを採用した」「この方が理解のたすけになると思う」と説明していた。また泉井『ラテン広文典』(白水社、初版 1952 年、復刻版 2005 年) も「過去」である。しかしこの呼び名は結局流行らず、同じく古くからすでに行われていたらしい「未完了過去」(たとえば泉井より 8 歳年上の呉茂一による『ラテン語入門』岩波書店、初版 1952 年、POD 版 2016 年) が主流となったようだ。
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V. 形容詞の変化 (1)・序数詞・所有形容詞
§24.
(1) 曲用練習
〔呼格は主格と異なる場合のみ記す。〕
1. 単数 longa epistula, longae epistulae, longae epistulae, longam epistulam, longā epistulā; 複数 longae epistulae, longārum epistulārum, longīs, epistulīs, longās epistulās, longīs epistulīs.
2. nauta bonus, (呼格 nauta bone), nautae bonī, nautae bonō, nautam bonum, nautā bonō; nautae bonī, nautārum bonōrum, nautīs bonīs, nautās bonōs, nautīs, bonīs.
3. magister caecus, (呼格 magister caece), magistrī caecī, magistrō caecō, magistrum caecum, magistrō caecō; magistrī caecī, magistrōrum caecōrum, magistrīs caecīs, magistrōs caecōs, magistrīs caecīs.
4. fīlia tua, fīliae tuae, fīliae tuae, fīliam tuam, fīliā tuā; fīliae tuae, fīliārum tuārum, fīliābus tuīs, fīliās tuās, fīliābus tuīs.
5. fīlius noster, (呼格 fīlī noster), fīliī nostrī, fīliō nostrō, fīlium nostrum, fīliō nostrō; fīliī nostrī, fīliōrum nostrōrum, fīliīs nostrīs, fīliōs nostrōs, fīliīs nostrīs.
6. bellum prīmum, bellī prīmī, bellō prīmō, bellum prīmum, bellō prīmō; bella prīma, bellōrum prīmōrum, bellīs prīmīs, bella prīma, bellīs prīmīs.
7. amīcus pulcher, (呼格 amīce pulcher), amīcī pulchrī, amīcō pulchrō, amīcum pulchrum, amīcō pulchrō; amīcī pulchrī, amīcōrum pulchrōrum, amīcīs pulchrīs, amīcōs pulchrōs, amīcīs pulchrīs.
8. vir līber, virī līberī, virō līberō, virum līberum, virō līberō; virī līberī, virōrum līberōrum, virīs līberīs, virōs līberōs, virīs līberīs.
(2) 和訳
1. 君たちは美しい;私は盲目で、聾だ。
2. 私は多くの喜ばしいことを少年たちにも語ることができる。
3. 私の主人は多くの方法で祖国を助けている。
4. 私たちの詩人は父祖の神を毎日崇めている。
5. スミレと白いユリを君たちの先生の娘は見る。
6. 少年は哀れにも自分の友人たちを何度も呼ぶ。
7. 死者たちの影をさえ私はたくましく [勇敢に] 恐れない。
8. 女王は自分の軍勢を金銀で輝かしく整える。
9. おまえの思慮を、わが息子よ、(彼らが) ほめている。
10. 白い雌鶏が月桂樹の小枝をくちばしで保持している (=くわえている)。
11. 私の友人の奴隷を私は求める。
12. 農夫たちは長い戦争を是認しない。
13. 自由な男たちすなわちローマ人たちは大きな熱意で戦う。
14. アッピア (街道) は長い道々のうちの女王だ。
15. 詩人ホラーティウスは大きな森と広い畑を愛する。
16. 最初にここへ来るのは君の忠実な奴隷だ。
17. 土地を耕すのは私の (務め) だ。
18. 女王は栄誉ある勝利に満足している。
19. 大きなことを神々は気にかけ、小さなことをなおざりにする。
20. おまえはどこへ急ぐのか、男たちにとって不快な者よ、少女たちにとって不快な者よ。
21. もし君が善良なら、セクストゥスよ、君は偶然に生きることができる。
VI. 動詞の活用 (2)
§32.
(1) 活用練習
1. 現在 tegō, tegis, tegit, tegimus, tegitis, tegunt; 過去 tegēbam, tegēbās, tegēbat, tegēbāmus, tegēbātis, tegēbant; 未来 tegam, tegēs, teget, tegēmus, tegētis, tegent; 不定法現在 tegere.
2. 現在 faciō, facis, facit, facimus, facitis, faciunt; 過去 faciēbam, faciēbās, faciēbat, faciēbāmus, faciēbātis, faciēbant; 未来 faciam, faciēs, faciet, faciēmus, faciētis, facient; 不定法現在 facere.
3. 現在 possum, potes, potest, possumus, potestis, possunt; 過去 poteram, poterās, poterat, poterāmus, poterātis, poterant; 未来 poterō, poteris, poterit, poterimus, poteritis, poterunt; 不定法現在 posse.
4. 現在 fleō, flēs, flet, flēmus, flētis, flent; 過去 flēbam, flēbās, flēbat, flēbāmus, flēbātis, flēbant; 未来 flēbō, flēbis, flēbit, flēbimus, flēbitis, flēbunt; 不定法現在 flēre.
5. 現在 feriō, ferīs, ferit, ferīmus, ferītis, feriunt; 過去 feriēbam, feriēbās, feriēbat, feriēbāmus, feriēbātis, feriēbant; 未来 feriam, feriēs, feriet, feriēmus, feriētis, ferient; 不定法現在 ferīre.
6. 現在 clāmō, clāmās, clāmat, clāmāmus, clāmātis, clāmant; 過去 clāmābam, clāmābās, clāmābat, clāmābāmus, clāmābātis, clāmābant; 未来 clāmābō, clāmābis, clāmābit, clāmābimus, clāmābitis, clāmābunt; 不定法現在 clāmāre.
7. 現在 adsum, ades, adest, adsumus, adestis, adsunt; 過去 aderam, aderās, aderat, aderāmus, aderātis, aderant; 未来 aderō, aderis, aderit, aderimus, aderitis, aderunt; 不定法現在 adesse.
(2) 和訳
1. 少年たちは哀れにもひどく腹を空かせていた。〔前の課の練習問題 (2) 6. (21 頁注 4) と同様、miserī は副詞的な同格ととる。〕
2. 忠実な奴隷は自分の主人に罰せられないだろう。
3. 月も星々も盲目では見ることができないだろう。〔caeci は男性複数主格で隠れた主語 nōs に同格。〕
4. わがガッラよ、いつまでも忠実な婢女でおれ。
5. 少女は泣いていて、悲しみに沈んで座っていた。〔maesta は副詞的な同格。〕
6. 私たちは待たずに急ぐだろう。
7. たくましい競技者はマールクス少年に 6 本の剣を見せるだろう。
8. いつも水夫たちは星々を見ていた。
9. カティリーナはマーンリウスとケテーグスをけしからぬ計画の仲間に持っていた [とみなしていた]。
10. 市民たちは国内のも国外のも多くの戦争を記憶していた。〔multa は最後の bella にかかる。〕
11. 新しい人生が始まる。
12. 私は水夫になって航海するつもりだ。
13. 私たちはポンペイユスに明日援軍を送るつもりだ。
14. (彼は) 町を攻略して多くのガリア人たちを捕らえるだろう。
15. 私たちは私たちの祖国の勝利を歌っていた。
16. 抜け目のない仇たちは陰謀を君の人生になしていた。
VII. 前置詞,動詞の活用 (3),場所の表現
§36.
1. (彼らは) 自分たちの祖国を最高の正義で支配している。〔この本は練習問題にマクロンを付さないので summa iustitia を主格と取り違えかねないが、そうすると regunt の 3 人称複数が浮いてしまうので奪格とわかる。〕
2. そのようにして滅びるのだ、強い者たち (さえ) も。
3. オウィディウスはかつて暇なときに広場で散歩していた。
4. 私は明日私の息子たちとともに町へ行くつもりだ。
5. 君はローマから森へ帰る。〔Roma は奪格。〕
6. 3 人の使節がローマからカルターゴーへ来る。
7. (彼らは) 神殿を大きな注意をもって見張るだろう。
8. 私は先生に会いに行く;だが君たちはここでとどまっていなさい。
9. 忠実な奴隷たちは市民たちに神の怒りについて忠告するだろう。
10. もし君たちが少ない言葉で満足するならば、私は 7 つの星について物語を語ろう。
11. 子どもたちは喜んで草原をめぐって遊んでいた。
12. 私たちの主人は朝に畑に出ていた。
13. ただちに森から熊たちが出てきて少年たちを引き裂く。
14. 君はどこへ去るのか、ピロクセノスよ。—— 私は石切場へ戻る。
15. ユーリアは窓から星々を眺めていた。
16. 水道を、(すなわち) 水で満ちた大きな堀を、私たちは道からそう遠くないところに見ていた。
17. ローマの支配はロームルスに起源をもっている。
18. 夏に少年たちは健康ならば十分に学ぶ。
VIII. 疑問文,動詞の活用 (4),記述的属格・奪格
§40.
1. マールクスは君の奴隷か。—— そうだ。
2. 私たちはローマ人に戦争をもたらすのではないだろうね。
3. 怠惰な者はいつも暇な気分でいるのではないのか。
4. あなたは好意を与えてくれるか、バッコスよ。
5. 君たちは君たちの生活を大きな注意で見張っていないのか。
6. 君の祖国に神々の壮大な神殿はあるか。
7. 先生は 10 歳の息子を持っているか。—— 持っている。
8. 主人はいつも大きな心を持っていた。
9. 君は手紙を私たちの女王にしばしば持ってきているのではないのか。
10. 君は銀を少年のところに持ち帰っていたのではないだろうね。
11. 誰がカティリーナの高慢に耐えることができるか。
12. 君たちは勝利を貪る御者をほめるつもりではないだろうね。
13. アリストテレースは最高の才能・学識・能力をもった男だった。
14. 金を君のところから私の奴隷が運び去るであろうことはないだろうね。
15. なぜ君は来ないつもりなのか。—— 君は友情にさえ値しない (からだ)。
16. 君は食料とぶどう酒を水夫から買うのか。—— 買わない。
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