樋口勝彦・藤井昇『詳解ラテン文法』(研究社、1963 年、新装版 2008 年) の第 25 課から第 28 課までの解答例。
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XXV. 動詞の活用 (10) —接続法—
§112.
〔問題の指示には態 (この本の用語では相) がないが、補っておく。〕
1. rapiāris : rapiō の接続法・現在・受動態・2 人称・単数。
2. advēnissem : adveniō の接続法・過去完了・能動態・1 人称・単数。
3. transigātis : transigō の接続法・現在・能動態・2 人称・複数。
4. illāta sint : inferō の接続法・完了・受動態・3 人称・複数・(中性)。
5. parāverit : parō の接続法・完了・能動態・3 人称・複数、または直説法・未来完了・能動態・3 人称・複数。
6. transīte : transeō の命令法・現在・能動態・2 人称・複数。
7. subiacērem : subiaceō の接続法・過去・能動態・1 人称・単数。
8. dēsit : dēsum の接続法・現在・能動態・3 人称・単数。
9. secūta essēs : sequor の接続法・過去完了・(デポネント)・2 人称・単数・(女性)。
10. hortātus sim : hortor の接続法・完了・(デポネント)・1 人称・単数・(男性)。
11. āfuerō : absum の直説法・未来完了・能動態・1 人称・単数。
12. mentīrēre : mentior の接続法・過去・(デポネント)・2 人称・単数。
13. morī : morior の不定法・現在・(デポネント)。
14. fierem : fīō の接続法・過去・(能動態)・1 人称・単数。
15. nōluissēmus : nōlō の接続法・過去完了・能動態・1 人称・複数。
16. fēcissent : faciō の接続法・過去完了・能動態・3 人称・複数。
17. miserērentur : misereor の接続法・過去・(デポネント)・3 人称・複数。
18. agitis : agō の直説法・現在・能動態・2 人称・複数。
19. accēperitis : accipiō の接続法・完了・能動態・2 人称・複数、または直説法・未来完了・能動態・2 人称・複数。
20. perīrēmus : pereō の接続法・過去・能動態・1 人称・複数。
XXVI. 接続法の一般的な意味 (1),Cum の用法,その他
§119.
1. こうしたことを聞いたとき王は何をしたのか。—— 彼は、私たちの (仲間) が脱走したことを知るや否や、軍隊が一ヶ所に集められることを命じた。
2. ローマ人たちは、旅 [行軍] で疲れ果てていたとはいえ、戦闘隊列を整えた。
3. 君が正しいというまさにその理由で私は君をほめる。
4. 私たちがとどまっているとき、最近別荘 [荘園] から都へ呼び寄せられていたところの田舎者の奴隷が入ってきた。
5. これらの言葉は貴族たちに (気に入った) と同様に平民たちにさえも気に入った。
6. 朝に私たちは急いで食事をとってしまうと、馬車によって草原や川で心地いい場所を通って運ばれた。
7. 主人は自分の別荘が最近放火されたといって嘆いている。
8. 勇気においてさえ生存のなんらの希望がないというので、私たちの (仲間) は極度の落胆に達した。〔in virtute はよくわからない、「勇猛果敢な行動をとってさえ」ということ?〕
9. ほかの乗客たちによって起こされるまえには、予言者は熟睡のために何も聞いていなかった。
10. 最近私たちがローマにいたとき、私は壮麗な建物や広い道々にほとんど十分に驚嘆することができなかった。
11. 私たちが去るまえに医者が招かれることを私は欲する。
12. (彼らが) こうしたしかたで互いに話しているあいだに、一日が過ぎた。
13. プリーニウスと母は伯父の健康 (または生存) について知らせが届かないうちにはそこから去ることを欲しなかった。
14. 裕福な者が愛想よく貧しい者に話しかけるとき、それは無分別ではない。〔なにか裏があるという意味。〕
15. 愚か者たちは欠点を避けようとするあいだに、反対の (欠点) に走っていく。
16. 田舎者 [粗忽者] は小川が流れ終わるまで待っている。〔ぐずぐずためらわずに行動して好機をつかめというような意味。〕
17. 魂は、それがそこにあるときも離れるときにも、目に見えない。
18. 悲しみよ、いかにおまえが煩わしいものであろうと、私はおまえが悪であると認めることはないであろう。
19. 孤独は陰謀 [密かな危険] と不安に満ちているので、まさに理性は友情を準備 [獲得] することを忠告する。
20. というのも、われわれの時代は偉大な詩人たちをもたらしたにもかかわらず、私の才能に悪い世評はなかった。
21. 多くのことは、なされているあいだは醜いが、なされたあとは気に入られる。〔女の化粧のこと。この直後には彫像や指輪など工芸品の例証が加わる。樋口訳「多くのことは、つくられる中途は醜いものだ。出来上がってからが美しい」(平凡社ライブラリー版 112 頁);沓掛訳「作られている過程では醜いが、できあがってしまうと人の心を惹くようなものは多くある」(岩波文庫版 109–10 頁)。〕
XXVII. 数詞
§123.
1. (彼女は) この 3 ヶ月で誰にも見られていない。
2. (彼らは) 7 日間私たちのもとに滞在し、昨日、日の出に退去した。
3. 君は 2 500 セステルティウスでワインを売った。
4. 私たちがこの野蛮の地へ旅行してからもうちょうど 5 年になる。
5. 10 マイル (lit. 二歩幅の 1 万) 前進して、ほぼ 200 フィートの幅の川に到達した。
6. すでに 10 年間私たちはトロイアを包囲している。
7. 君はそのトガを 100 セステルティウスで買った。
8. (彼は) 37 歳で執政官に選ばれた。
9. 5 月 4 日 (lit. 5 月のノーナエの 4 日前) まで私の姉はここにとどまる。
10. いまから 20 年前に (彼は) 妻子とともにアフリカへ行った。
11. そしてこのことを知ると、3 人の大きな勇気の兵士たちはひそかに陣営から出た。〔quo = et eo で、eo cognito は独立奪格。virtutis magnae は記述的属格 (§39)。〕
12. 兵士たちは日没前に 30 マイルの行軍を終えた。
13. これらの魚は、各 1 アスの値段だったが、いまでは各 2 セステルティウスで売られている。〔セステルティウスは 4 アスなので、8 倍になっている。本来セステルティウスは名前のとおり 2.5 アスであったが、紀元前 141 年ころ 1 デナリウス=16 アスとなったのに伴って 1 セステルティウス=1/4 デナリウスの価値も 4 アスとなった。年代の判断について以下の問題 16. も参照。〕
14. (彼らが) 去って 2 時間になる。〔問題 4. と同じ cum の用法。〕
15. 当時プリーニウスは 18 年めの年を過ごしていた。
16. マウソーレウム (墓碑) という単語は、いまからほぼ 500 年前に死去したカーリアの王マウソールスの名に由来している (lit. から引き出されている)。〔マウソロスの死去は紀元前 353 年なので、この問題文は紀元後 150 年ころを想定していることになる。〕
XXVIII. 間接話法 (3)
§125.
1. なぜ (彼が) こんなことをしたのか私は知らない。
2. その老人が何を言いたがっているのか誰も理解できなかった。
3. 私たちに教えてください、どうか、タキトゥスの書で世界のその側面について読まれるところのことは本当なのかどうか。
4. 誰が発見したのか私たちは知らなかった。
5. (彼は) 私が何をもっているか私に尋ねた。
6. 詩人アイスキュロスは少なくとも正当な理由をもっていた、なぜ彼が自分の禿頭のことを後悔しているかについて。〔アイスキュロスの死因は、彼の禿頭を岩だと勘違いした鷲がそれで亀を割って食べるために上空からその頭めがけて落としたことだという。〕
7. (彼が) 私たちとともに行くことを欲するかどうか、知れ (=調べよ、確認せよ)。
8. 子どもたちよ、君たちは知っているか、どのようにしてハンニバルが自分の象たちにロダヌス川を渡らせたか。
9. 今日君は彼を見たか否か。
10. これら 3 つのリンゴを、誰も気づかないあいだに、女神が若者に与えた、そして教えた、どんな用途がそれらにあるかを。〔mala は「悪」ではなく「リンゴ」(mālum)。女神エリスが与えた「不和の林檎」のエピソードなら 1 つなので、アタランテーを引きつけるために女神アプロディーテーが与えた黄金の林檎の話だろう。〕
11. 君は覚えているか、何がダイダロスの息子のために作られたかを。〔もちろんイーカロスの翼である。〕
12. いまなお私は、なぜ私がその地方へ送られるのか知らない。
13. 君は降りるか、降りないか。—— 私は降りない;なぜなら私は枝の上に座っているから。〔なにか由来があるのかどうか不明。〕
14. 私は (君を) 嫌い、愛する。なぜ私がそうするのか、たぶん君は尋ねる。私は知らない、だが (そういうことが) 生じているのを感じ、悩んでいる。
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