mercredi 14 octobre 2020

樋口・藤井『詳解ラテン文法』練習問題解答 (1)

樋口勝彦・藤井昇『詳解ラテン文法』(研究社、1963 年、新装版 2008 年) の解答例を今回から作っていくことにする (初回は第 1 課から第 4 課まで)。さきに取り組んだ中山『標準ラテン文法』や田中『ラテン語初歩』と比べたとき本書の特徴は、まず練習問題にいっさいのマクロンを付さないといういわば実践的な態度、それから語形変化をおろそかにしては引っかかるような単純でない原文をかなり早くから忍びこませるのも同じ狙いであろうか。また「詳解」の題に違わず厚さのわりにマニアックな事項までごく小さな活字で注記されていることも挙げられる。解答がついていない点も言わずもがな、コンパクトな見かけに騙されて初心者が 1 冊めに取り組むのはおすすめしがたい本だ。



I. 字母と発音


§5.


この問題は発音練習であって訳す必要はないが (じっさい、訳すために必要な単語が巻末の単語集に足りていない)、文章の意味が気になるのは当然のことなので、あえて訳出を試みた。参考に供していただきたい。最初の文の主語は明示されていないが、推察されるとおりオルペウス (オルフェウス) が死んだ妻を取り戻すために冥界に下るエピソードであり、「彼ら」は冥府の住人たちを指すであろう。

(2) そして彼らのもとで竪琴を奏で、言葉にあわせて弦を震わせながら、懇願する、妻が自分に戻ってくるように。そうするうちに、歌の甘美さによって魅了され、亡霊たちがいたるところで泣いていた。タンタロスでさえしばしのあいだ水を得ようと試みないほど、イクシーオーンも不本意な顔で笑ったほどであった。この哀願に抗することはプローセルピナにもプルートーその人にもできなかった、そしてエウリュディケーが呼ばれた。妻はここまで近づいた、傷のためにゆっくりと;そして彼女をオルペウスは喜んで迎えた。しかし彼は出発させられた、ただちに去り、また下界から出ていくまえには振りかえらないように、という命令をもって;さもなければ褒美は無効になるであろう。


II. 動詞の活用 (1)


§11.


(1) 活用練習


1. mittō, mittis, mittit, mittimus, mittitis, mittunt.

2. sum, es, est, sumus, estis, sunt.

3. studeō, studēs, studet, studēmus, studētis, student.

4. probō, probās, probat, probāmus, probātis, probant.

5. sciō, scīs, scit, scīmus, scītis, sciunt.

(2) 和訳


1. 彼は読む。

2. 私たちは書かない。

3. 彼は不在である。

4. 雨が降る。

5. 中にいないこと

6. 君たちは歌う。

7. 君は与える。

8. 私たちはいる/私たちだ。

9. 私たちはほめる。

10. 私はできる。

11. 君は知らない。

12. もし君が元気なら、よいことだ;私は元気だ。

13. 彼らは叫ばない。

14. 私たちはとどまる。

15. 彼はそばにいない。

16. 君は笑う。

17. 私たちは泣く。

18. 私たちは知らない。

19. 私は考える、ゆえにある。

20. 『あなたはどこへ行くのか』


III. 名詞の変化 (1),語順


§15.


1. 単数 agricola, agricolae, agricolae, agricolam, agricolā; 複数 agricolae, agricolārum, agricolīs, agricolās, agricolīs.〔呼格は主格と同じなので省略する、以下同様。〕

2. cūra, cūrae, cūrae, cūram, cūrā; cūrae, cūrārum, cūrīs, cūrās, cūrīs.

3. dea, deae, deae, deam, deā; deae, deārum, deābus, deās, deābus.

4. epistula, epistulae, epistulae, epistulam, epistulā; epistulae, epistulārum, epistulīs, epistulās, epistulīs.

5. terra, terrae, terrae, terram, terrā; terrae, terrārum, terrīs, terrās, terrīs.

6. toga, togae, togae, togam, togā; togae, togārum, togīs, togās, togīs.

7. mensa, mensae, mensae, mensam, mensā; mensae, mensārum, mensīs, mensās, mensīs.〔この本では mēnsa のような ns の前の長音符は省略する流儀なので、それに従う。〕

8. scrība, scrībae, scrībae, scrībam, scrībā; scrībae, scrībārum, scrībīs, scrībās, scrībīs.

§17.


1. 女王は少女を、少女は女王をほめる。

2. 水夫たちは詩人たちの書簡を持っている。

3. 水夫の娘ユーリアを君は愛していない。

4. 書記には金が欠けている。

5. 私は詩人だ。

6. 私たちは女神に罰せられる (=罪を償う)。

7. 君は踊り子を心配から解き放つ。

8. シキリアの 4 人の住民たちが来る。

9. (彼は) 月を見て歌う。

10. 君は書簡をよく読むことができない。

11. 私たちは島に住み、しばしば航海する。

12. 大地はすでに遠く離れている。

13. 私たちは物語を聞く。

14. 星々を水夫たちの娘たちに農夫たちは見せる。

15. 人生を支配するのは運命であり、知恵ではない。


IV. 名詞の変化 (2)


§19.


(1) 曲用練習


〔呼格は主格と異なる場合のみ記す。〕

1. Vergilius, (呼格 Vergilī), Vergiliī [約音 Vergilī], Vergiliō, Vergilium, Vergiliō.〔人名なので複数なし。〕

2. vir, virī, virō, virum, virō; virī, virōrum, virīs, virōs, virīs.

3. negōtium, negōtiī, negōtiō, negōtium, negōtiō; negōtia, negōtiōrum, negōtiīs, negōtia, negōtiīs.

4. servus, (呼格 serve), servī, servō, servum, servō; servī, servōrum, servīs, servōs, servīs.

5. ager, agrī, agrō, agrum, agrō; agrī, agrōrum, agrīs, agrōs, agrīs.

6. bellum, bellī, bellō, bellum, bellō; bella, bellōrum, bellīs, bella, bellīs.

7. amīcus, (呼格 amīce), amīcī, amīcō, amīcum, amīcō; amīcī, amīcōrum, amīcīs, amīcōs, amīcīs.

8. cibus, (呼格 cibe), cibī, cibō, cibum, cibō; cibī, cibōrum, cibīs, cibōs, cibīs.

9. animus, (呼格 anime), animī, animō, animum, animō; animī, animōrum, animīs, animōs, animīs.

10. fīlum, fīlī, fīlō, fīlum, fīlō; fīla, fīlōrum, fīlīs, fīla, fīlīs.

(2) 和訳


1. 少年たちはアグリッパの奴隷を笑う。

2. 先生の息子は書記である/息子は先生の書記である。

3. 私は主人をすでに長いこと待っている。

4. 5 人の男たちがガリア人の陣営を見てほめる。

5. 私たちは馬たちを少年少女たちに与える。

6. 先生は少年に仕事を与えない。

7. アリアドネーは剣と糸をテーセウスに与える。

8. ここにはユーリウスの奴隷たちも住んでいる。

9. 危険がそばにあります、主人よ。

10. 農夫は友人たちの援助を期待していない。

11. 君は贈り物も金も奴隷たちに見せる。

12. 畑と森が女王の贈り物である。

13. どこへ本を運ぶのか、友よ。

14. 私たちは別荘を鉄と石で建てる。

15. ブリタンニアはローマ人たちの属州である。

16. 君たちは馬たちに食料と水を与える。

17. 私は道をカッシウスの友人のブルートゥスに示す。〔Brūtō と amīcō が同格。〕

18. おまえもか、ブルートゥスよ。

19. 戦争と男を私は歌う。

20. 本も精神の証拠ではない。

Aucun commentaire:

Enregistrer un commentaire