mercredi 12 janvier 2022

田中・松平『ギリシア語入門』練習問題解答 (10)

田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』(岩波書店、新装版 2012 年) の練習問題の解答例。このページでは第 37 課から第 40 課までを扱う。



XXXVII 条件文.母音幹 (第一,第二) 変化の約音名詞および約音形容詞


§369. 練習問題 70


1. 顔の (=顔を映す) 鏡は青銅だが、心の (鏡) は葡萄酒。〔酒に酔ったときに内心が映しだされる。アイスキュロス断片 393 改変。〕

2. イタリアには無花果の木々が生えている。

3. 真理の言葉は単純である。

4. もし君が私にそれをするよう命じたのだったら、私は喜んでそれをしたのだが。

5. もし君がもっとはっきりと答えたのだったら、私はふたたび君に尋ねなかったのだが。

6. だがもし彼らが善良な男たちである/あったならば、彼らはそんなことを受けない/なかったのだが。〔過去と現在どちらにも解せる。〕

7. もし君が静かにしているならば、君はどう困るのか。

8. もしマラトーンでアテーナイ人たちが勝っていなかったら、全ギリシア人が奴隷にされていただろう。

9. もしおまえが自発的に私についてくるのでないなら、私はおまえを嫌々でも連れていくだろう。

10. というのも、もしわれわれがみずから君の国へ来て、戦闘をして、敵のごとくに地を荒らしていたのなら、われわれに罪がある;だがまず彼らがわれわれに挑んだのなら、どうしてわれわれに罪があろう。

§370. 練習問題 71


1. τῇ παρθένῳ δίδωσι τὸν δακτύλιον τὸν χρῡσοῦν.

2. εἰ ἡσιχίᾱν ἦγον, οὐκ ἂν ταῦτα ἔπασχον.

3. εἰ ἑκων τοῦτο ἐποίεις, ἐπῄνεόν σε.

4. εἰ σὺ πρότερος ἔπαισας τοῦτον, ἀδικεῖ.

5. εἴ μοι πλοῦτος πολὺς ἦν, ἑκὼν [ἡδέως] ἐδίδουν ἂν χρήματα τοῖς πένησιν.


XXXVIII 約音動詞の接続法.予想的未来を示す条件文


§374. 練習問題 72


1. もし君たちがその男たちをよく扱う [親切にする] なら、彼らは君たちを好むだろう。

2. もし私たちが蛮族どもを征服すれば、もう困ることはないだろう。

3. もし君が財産をうまく使わないならば、君は非難を受けるだろう。

4. もしあなたがたが私を敵のように扱うならば、あなたがたが悪いだろう。

5. もし民会によいと思われる (=民会が決定する) ならば、将軍は黄金の冠をかぶらされて [かぶって] あるだろう。〔χρῡσῷ στεφάνῳ は道具の与格。動詞は未来完了の中・受動相。〕

6. もし彼が計画を明らかにするならば、私たちはそうするだろう。

7. もし私がその家を借りたなら、冬のあいだには海のそばで休むだろう。

8. もし君が命じるなら、私はそう書こう。

9. もし彼がそんなことを言うのなら、ほかの人たちに笑いを止めておくことはできないだろう。

10. だがもし君が海賊どもに捕まりはしないかと恐れるのなら、私たちが君と家までついていこう。

§375. 練習問題 73


1. ἐᾱ̀ν αὐτῷ πιστεύητε, ῡ̔μᾶς εὖ ποιήσει.

2. ἐᾱ̀ν ταῦτα ποιήσῃς, ἐπαινέσονταί σε πάντες οἱ ἄνθρωποι.

3. ἐᾱ́ν μοι χρῇ ὡς φίλῳ, πᾶν σοι ποιήσω.〔πάντα でなく単数 πᾶν としたのは §395 の例文にならった。〕

4. ἐᾱ̀ν κελεύσῃ ὁ στρατηγός, ὁ στρατιώτης ἀποκτενεῖ τὸν ἄνδρα.

5. ἐᾱ̀ν ἐθέλῃς [ἐθελήσῃς], ἄξω σε εἰς τὴν χώρᾱν.


XXXIX 不定法 (1)


§391. 練習問題 74


1. なぜ君たちは祖国のために戦うことを望まないのか、若者たちよ。

2. そこで私たちの兵士たちはその川を渡ることができなかった:船をもっていなかったからだ。

3. 若者よ、いったいおまえは医者の言葉を覚えておいて、乗馬したり踊ったりするのでなく家で安静にしておくべきでなかったか。〔μεμνημένον の男性単数対格は σε に一致しており、この分詞句はおまえ=若者の (あるべき) 状態を補足説明している。〕

4.もはや熟慮しているべき時ではない。そうではなく、もしよいと思われるならそれをなさねばならない。〔『クリトン』5 章 (46a) においてクリトンがソクラテスに脱出を急かす場面にやや似るか?〕

5. よく教育されていないがゆえに彼はこのようなことを言っている。

6. よい人々の娘たちにはよい [よくある、善良である] ことがふさわしい。

7. そのこと以外にはなにもほかのことを言うべきでなかった。

8. 彼が私たちにとってむしろ友人である [好意的である] ために、私たちはなにかよいことをその人にするべきだろう。

9. 祖国のために私はあらゆる危険を耐えることをあえてする。

10. 君たちは彼らのことを知るようにと私たちは君たちに忠告する。〔ῡ̔μᾶς αὐτούς は再帰代名詞の対格 (§§216f., 681) ではありえない:主文の主語が「私たち」であるから、不定法句の主語がそれと異なる場合別途に必要であり (§388)、それが対格主語 ῡ̔μᾶς である。したがって αὐτούς は強意代名詞であり、3 人称代名詞の代用として「彼らを」と訳した。しかし強意代名詞が再帰的に「自身を」の意味で使われることはありえ、結局「君たち自身を」ととることも可能である。〕

§392. 練習問題 75


1. (νῦν) ὥρᾱ τοὺς πολεμίους διώκειν.

2. δεῖ ἡμᾶς τὸν ποταμὸν διαβαίνειν.

3. συμβουλεύω σοι οἴκοι ἡσυχάζειν.

4. δικαίοις [δικαίους] εἶναι προσήκει τοῖς δικασταῖς.

5. ἕτοιμοί ἐσμεν πάντα κίνδῡνον τολμᾶν.


XL 不定法 (2)


§398. 練習問題 76


1. だが私は自分でさえほとんど私自身のことを忘れてしまった。〔『ソクラテスの弁明』冒頭の文 (17a) 一部省略。〕

2. 私は死なねばならない、たとえ欲しないとしても。

3. 荒涼たる平野を通って私たちは行軍していて、糧秣のないことのゆえに死なんとしていた。しかし多くの時間のあとでなく (=やがて) 友軍がその場に来て、彼らは私たちが死なないように救うことができた。

4. 父は病気を免れたと彼は言う。〔φημί はふつう発話内容に ὅτι でなく対格不定法構文をとる (cf. §562; また田中『新ギリシャ語入門』§605)。〕

5. われわれのところ [国] では戦いにおいて盾を投げ捨てて逃げるのは恥ずべきことである。〔XXIV 課和訳 5. と類似しており、われわれ=スパルタ人か。〕

6. 貧乏であることが非難せらるべきなのではなく、貧乏に敢然として耐えないことが (非難せらるべきなのである)。

7. もし (父が) 命じるならば (いつでも) 父に従うべきである。

8. われわれの兵士たちは敵たちが川を渡るまえに橋を壊してある。

9. 私はその男に親切にしようか、彼が私にむしろ好意的であるように。〔ποιῶ を接続法現在として訳したが、直説法現在として現在すでに「親切にしている」ともとれる。〕

10. 私たちは彼が計画を明らかにするまえにそうしよう。

§399. 練習問題 77


1. ἡμᾶς δεῖ τοὺς πατέρας καὶ τᾱ̀ς μητέρας τῑμᾶν.

2. ἆρα φῂς τοὺς πολεμίους διαβαίνειν τὸν ποταμόν ;

3. οὐ δυνάμεθα τὸν ποταμὸν διαβαίνειν διότι τὴν γέφῡραν λελύκᾱσι οἱ πολέμιοι.

4. πολλὰ ἠπορήσαμεν διὰ τὸ μὴ φίλους ἐν τῇ χώρᾳ ἔχειν.

5. τοῖς θεοῖς εὐχώμεθα πρὶν τὸν οἶνον πῑ́νειν [πῐ́ειν].

§400. ΕΙΣ ΟΙΝΟΝ〔葡萄酒について〕


酒を飲むときはいつも
不安たちは眠っている。
なぜ俺には涙が、苦労が、
不安が気がかりなのか [つきまとうのか]。
俺は死なねばならぬ、たとい欲せずとも。
なぜ人生をさまようのか。
とにかく酒を飲もう、
麗しきリューアイオス (=バッコス) の (酒を)。
俺たちが飲むとともに
不安たちは眠っている。

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