mercredi 5 janvier 2022

田中・松平『ギリシア語入門』練習問題解答 (3)

田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』(岩波書店、新装版 2012 年) の練習問題の解答例。このページでは第 9 課から第 12 課までを扱う。

ところで私は新装版になるまえからこの本を使っている読者で、2009 年 4 月 6 日発行の第 52 刷という新装直前の版* (とっくに函入りではなく紺色の配されたソフトカバーのもの) と新装版 (2012 年 1 月 20 日第 1 刷) との両方をもっている。2 冊もっていると大きい新装版のほうを書見台に立てて開いたまま、巻末の語彙や変化表だけを確認したいときに小さいほうを手にとるということができて便利である。

*〔2022 年 6 月 16 日追記〕これが新装になるまえの最後の刷だと思っていたが、2010 年 3 月 15 日発行の第 53 刷と 2011 年 (月日不明) の第 54 刷も存在することがわかった。大学の教科書としてよく使われているわけだから、新年度にあわせて増刷が行われやすいことは道理である。おそらく第 54 刷が最後であろうか。

この解答例を作るにあたって問題文は新装版によっているが、本の扉裏にも断り書きがあるとおりこれは旧版を A5 判に拡大しただけのものだから、おそらく内容はまったく変更されていないと思われる。その証拠のひとつに、XII 課 §113 に「アィテッカ方言」(開ぃてっか?) という誤字が新装版でもそのまま残されているのである。



IX 未完了過去直説法能動相


§89. 練習問題 16


1. 私たちは戸を叩いていた。

2. 彼ら/私は軍隊をその国へ送ろうとしていた;なんとなればペルシア人たちが近づきつつあったからである。

3. なぜ君は家々の戸を閉じようとしていなかったのか。

4. 召使いはそのソフィストをアゴラへと連れていっていた/いくところだった。

5. だがなぜ君は手紙をその若者に書いていなかったのか。

6. その詩人には静かにしていることが気に入っていた。

7. 主人たちは召使いたちを信じていたか。

8. はたして君たちは弟子たちの勤勉さに驚嘆していたか。

9. その兵士は徳のゆえに尊敬されていた。〔ἀρετή というのは一言で説明するのが難しい語だが、ここでは兵士としての望ましい素質を指すので、「徳」というよりかは「勇気、勇敢さ」くらいが適当かもしれない。〕

10. 車に載せて弟子たちはテーブルを運んでいた。〔VII 課和訳 3. に付したコメントも参照。〕

§90. 練習問題 17


1. ἦγον τὴν Ἑλληνικὴν στρατιᾱ̀ν εἰς τὴν χώρᾱν.

2. τίς χθὲς ἔκρουε τὴν θύρᾱν τῆς οἰκίᾱς ;

3. οἱ ἀκροᾱταὶ πρὸ τῆς οἰκίᾱς ἡσυχίᾱν ἦγον.

4. οἱ νεᾱνίαι ἤθελον ἐπὶ τῆς σκηνῆς χορεύειν καὶ ᾄδειν.

5. ἐν τῇ οἰκίᾳ ἔγραφον ἐπιστολὴν τῷ ποιητῇ.


X 第二変化 (Ο-変化) の名詞—男性・女性・中性


§94. 練習問題 18


1. 時間は労苦の医者である。

2. 奴隷たちは主人たちに仕えている。

3. 葡萄の木は太陽を喜ぶ。

4. 君たちは友人たちの言葉を信じないのか。

5. 諸法をアテーナイ人たちは石のなかに書く (=石に刻む)。

6. 危険のなかで私たちは人間の性格を知る。

7. 君は生活の労苦を知らない。

8. 奴隷たちは収穫物を畑から家のなかへ運んでいた。

9. 農夫たちは畑と木々の収穫物を労苦の報酬としてもつだろう。

10. エジプト人たちは太陽と月を神であると考えていた。〔この構文は対格不定法で、τὸν ἥλιον καὶ τὴν σελήνην と θεούς が対格である理由は §388 を見よ。〕

§95. 練習問題 19


1. οἱ μαθηταὶ πιστεύουσι τοῖς τοῦ διδασκάλου λόγοις.

2. οἱ νόμοι παιδεύουσι τοὺς ἀνθρώπους.

3. οἱ ποιηταὶ θαυμάζουσι τὰ ἔργα τῶν θεῶν.

4. ποῖ φέρεις, ὦ γεωργέ, τοὺς καρποὺς τῶν ἀγρῶν ;

5. οἱ νεᾱνίαι οὐκ ἐνόμιζον τὸν ἥλιον εἶναι θεόν.


XI 形容詞—母音幹 (第一,第二) 変化の形容詞


§104. 練習問題 20


1. 長い道がアテーナイ市へ通じている。

2. 魂は不死 (である)。

3. 哲学者アリストテレースは、教育の根は苦いが果実は甘いと言っていた。〔対格と εἶναι について注があるが、これは前課の和訳 10. で説明されるべきだった。〕

4. よい木々はよい果実をもたらすが、悪い (木々) は悪い (果実) を (もたらす)。

5. 君たちは恐ろしい危険から水夫たちを救っていた。

6. 憂いのない生を送るのは神々だけだ。〔むろん主語は冠詞つきの οἱ θεοί なので「ただ神々だけが〜」と書きだしても構わないが、聞き手に与える印象としてはこの順番に聞こえてくるわけだからこのように訳すほうが実際の感じに近いのではないか。以後こういった語順についての注記は繰りかえさない。〕

7. 悪い者どもに対する戦争のなかで私たちは神々を同盟者としてもつ。〔συμμάχους の位置づけについては前課の練習問題の注 1 と同様。〕

8. 君は貧乏を小さな災いとみなさないのか。

9. そのソフィストは、徳は熱心さに値すると書いている。〔熱心に追い求めるにふさわしいということ。〕

10. 正しき仕事には神さえも援助する。

§105. 練習問題 21


1. ὀρθίᾱ ὁδὸς φέρει εἰς τὴν χώρᾱν.

2. οἰ πολῖται ἐνόμιζον σοφιστὴν εἶναι Εὐρῑπίδην τὸν ποιητήν.

3. ἐπαίνου ἀξίᾱ ἐστὶν ἡ σπουδὴ τῶν μαθητῶν.

4. ἐν τῇ μάχῃ συμμάχους ἕξουσι τοὺς Ἀθηναίους.

5. ἀθάνατον τὴν ψῡχὴν νομίζουσι καὶ οἱ νεᾱνίαι.


XII 前置詞


§117. 練習問題 22


1. アリステイデースはほかのアテーナイ人たちより正義・節度・敬虔のゆえに優っていた。

2. 死後に善き魂は浄福な人々の島々で暮らしていた。〔まず τῶν μακαρίων は冠詞つきの属格であるから「浄福な人々の」という名詞化であって、「浄福の島」という形容ではないということに注意 (後者であれば ταῖς μακαρίαις νήσοις でなければならない)。これはふつう「至福者の島」という訳語で知られ、エリュシオンとも同一視される μακάρων νῆσοι と同じものであろうが、未説明の第 3 変化名詞である μακάρων < μάκαρ を避けて μακαρίων と言いかえたものかもしれない。〕

3. 川に沿って小さな村々があった。

4. 日と同時に (=夜明けに) アゴラへ蛮族たちが侵入しつつあった。

5. 狭い道が平野を通ってその村へと通じている。

6. よい人々はよいことへ導くが、悪い人々は悪いことへ (導く)。

7. 勝利のゆえに市民たちは祝宴を催していた。

8. 私はアテーナイから先生のもとから来てある。

9. 神々とともに君たちは若者たちを恐ろしい危険から救うだろう。

10. 正しい人々には神々さえも援助していた。

§118. 練習問題 23


1. ἐν ταῖς χώμαις αὔριον ἄξουσιν ἑορτήν.

2. ὁ στρατηγὸς ἀφῑ́ππευε σὺν τοῖς στρατιώταις πρὸς τοὺς πολεμίους.

3. πρὸ τῆς οἰκίᾱς ἐχόρευον σὺν ταῖς ἀδελφαῖς.

4. παρὰ τὸν ποταμὸν ἦσαν οἰκίαι τῶν γεωργῶν.

5. οἱ οἰκέται συνεκόμιζον τοὺς καρποὺς τῶν ἀγρῶν.

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