田中利光『ラテン語初歩』(岩波書店、初版 1990 年、改訂版 2002 年) 第 29 課から第 32 課までの解答例 (旧版・新版両対応)。全部で 51 課 (初版では 53 課) なのでもう完全に後半に入っているが、いまさら人称代名詞 (第 31 課) や所有形容詞 (第 32 課) が出てくるのは不思議な順番で、ほかの本でこんなに遅い例は見たことがない。
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XXIX 疑問代名詞および不定代名詞
§268 (旧 §251). [練習問題 55]
1. これは何か。—— 猫だ。
2. 君はこれらの少年たちのうちでもっとも思慮深いのは誰だと思うか。—— ガーイウスだ (と私は思う)。
3. なんのために君はあのようなことをしたのか。—— 理由なしに (私はした)。
4. 私はそれをすることはできない。誰かがするだろう。
5. なにかきわめて大きな悪が私たちの魂のなかにある。
旧 1. =新 5.
旧 2. 昨日私はある哲学者を道の上で見た。—— 誰のことだ。—— 知らない。
旧 3. 君はどの少女を欲している (=に恋している) のか。—— コルネーリアだ。〔cujus を疑問形容詞の女性単数属格ととる。しかし (倫理面をさておけば) 疑問代名詞の男性または女性単数属格として「誰の (恋人の) 少女」ととることも可能。〕
旧 4. =新 2.
旧 5. 君は何を笑っているのか。君は頭がおかしいのではないか。
旧 6. 敗戦の責任者は誰か。—— 敗戦の責任者はあの軍団司令官だ。
旧 7. 君は誰にこのバラをあげるのか。—— 言いたくない。
旧 8. =新 3.
旧 9. 君たちは誰の祭を祝っているのか。—— サートゥルヌスの。
旧 10. =新 4.
旧 11. 冷たい死の似姿でないとすれば、眠りとは何であるか。〔新版では §270 [引用句 18]。〕
§269 (旧 §252). [練習問題 56]
1. Quae sunt haec? — Fēlēs.
2. Quis est philosophōrum sapientissimus?〔「と思うか」putās がないので主格。〕
3. Quās ob rēs hoc fēcistī?
4. Ea facere nōn possum. Aliquis faciet.
5. Sunt aliqua maxima mala in nostrō animō.
旧 1. Quid est hoc? — Fēlēs.〔=新版の和訳の 1.〕
旧 2. =新 2.
旧 3. Quem librum legēbās?
旧 4. Aliqua ars hārum est mala.
旧 5. =新 3.
XXX 現在,未完了過去の接続法能動および受動相.目的を示す副文における接続法
§283 (旧 §265). [練習問題 57]
1. 死すべき者たちはいつも神々に懇願している、彼ら (=神々) が自分たち (=人間) に好意を持ってくれるようにと。
2. 賢い人は私たちに忠告する、私たちが賢くお金を使うようにと。
3. 女性たちはショーにやってくる、(それを) 見るため、また彼女たち自身も見られるために。
4. 正義は命ずる、私たちが決して誰にも害にならないようにと。
5. 私は君の友情を得んことを望む。
旧 1. =新 1.
旧 2. =新 2.
旧 3. =新 3.
旧 4. ケルタエ人たちは平和を請うために来た。
旧 5. 兵士たちが町に押し入らないように、町の人々は門を閉ざした。
旧 6. =新 4.
旧 7. 将軍は兵士たちに命じた、敵たちの女性たちに害を加えないようにと。
旧 8. =新 5.
旧 9. (彼は) 2 人のうちのどちらにとっても友人であるためにこのようなことを言う。
旧 10. なぜ私が私の小著を君に送らないか? 君が私に君の (小著) を送ってこないようにだ。〔新版では §285 [引用句 19] として、より原文に忠実に戻した形を掲げている。〕
旧 11. 彼らは恐れている、彼ら自身が同じことを受けるのではないかと。
§284 (旧 §266). [練習問題 58]
1. Eam precātus sum ut mihi favēret.
2. (Is) fīlium monuit ut sapienter ūtātur pecūniā.
3. Fēminae ad fēriās venērunt ut spectārent et ipsae spectārentur.
4. Jūstitia praecipit nē cui noceātis.〔本書は cuī, alicuī にマクロンを付さない流儀のようなので、それに従う。〕
5. Philosophus optat ut omnia sciat.
旧 1. =新 1.
旧 2. =新 2.
旧 3. =新 3.
旧 4. =新 4.〔ただし新版では「あなたがたが」と主語の指示があり、答えやすくなっている。〕
旧 5. =新 5.
XXXI 人称代名詞
§294 (旧 §275). [練習問題 59]
1. 私はあなたの生徒で、あなたは私の先生だ。
2. 君たちのうち誰がギリシア語で話せるか。—— 誰も (話せない)。
3. 君に子どもはいるか。—— 私には娘がいる。
4. 君だけが私に気に入る (=君だけが好きだ)。〔sōla は tū に同格で、相手が女性とわかる。〕
5. 私は君がほしい。君を愛している。君といつもいっしょにいたい。
旧 1. 私たちを君たちは説得できないだろう。なぜなら私たちは君たちを信頼していないから。
旧 2. 神々は君たちに多くの贈り物を与える。そのために君たちは神々を愛している。
旧 3. 彼らは私たちを愛しているが、私たちは彼らを愛していない。
旧 4. =新 1.
旧 5. =新 3.
旧 6. =新 5.
旧 7. =新 4.
旧 8. =新 2.
旧 9. 今日では私たちのうち多くが神を信じていない。
旧 10. この結果の責任者は私ではない、君だ。
旧 11. 私は考える、ゆえに (私は) ある。
旧 12. 私は人間である:人間に関わる事柄のうちの何物も私に無縁であると思わない。〔新版では §296 [引用句 20]。〕
§295 (旧 §276). [練習問題 60]
1. Nōs sumus magistrī vestrī.〔私たち「が」と強調されているので、人称代名詞を置いた。〕
2. Multī nostrum possunt loquī Latīnē.
3. Sunt vōbīs līberī? — Sunt nōbīs fīliī.
4. Ille mihi sōlus placet.
5. Vestrī cupidus sum. Vōs amō. Vōbīscum semper esse cupiō.
旧 1. Mihi nōn persuādēbis tū.
旧 2. =新 1.〔ただし旧版では「我々は」なので nōs を省略してもよい。〕
旧 3. Potestis loquī Latīnē?
旧 4. Nēmō nostrum potest.
旧 5. Nōbīs est spēs.
XXXII 所有形容詞および強意代名詞 ipse
§303 (旧 §283). [練習問題 61]
1. 私たちのものすべてを君たちに分配したい。
2. 各人が自分の息子たちと娘たちを愛さなければならない。
3. 君たちは君たちの子どもたちを愛するが、ほかの (子どもたち) は (愛さ) ない。
4. 私のものは私の気に入り、君のものは君の (気に入っている)。
5. 君たちは君たち自身に害を加えている。
旧 1. 正義とは何か。(各人が) 自分のものを各人に分配すること (である)。
旧 2. 各人自身が自分を尊重する、なぜなら各人は自分を愛するから。
旧 3. すべての動物は自分自身を尊重する。
旧 4. (彼は) 彼 (主語とは別人) の息子たちからは尊重されているが、自分の (息子たち) からは (尊重されてい) ない。
旧 5. 真の友人たちには互いのあいだに嫉妬心はない。
旧 6. 知恵とは何か。自分自身を知ること (である)。
旧 7. 賢人は自分のなかに富を持っている。
旧 8. 君たちは君たち自身を知らねばならない。
旧 9. 私は治療を必要としていない;私自身が私を慰める。
旧 10. 悪人たちは互いのあいだで害しあう。
旧 11. (彼は) 自分自身への憎しみのなかで苦しんでいる。
§304 (旧 §284). [練習問題 62]
1. Mea omnia vōbīs tribuam.
2. Quisque uxōrem suam amāre dēbet.
3. Tuōs līberōs amās sed nōn aliēnōs.
4. Nostra nōbīs placent, vestra vōbīs.
5. Tū tibi ipsī nocēs.〔和訳に倣って強意代名詞を与格 ipsī としたが、問題文の「君自ら」を厳密にとるなら主格に同格の ipse (女性なら ipsa) とするべきかもしれない。〕
旧 1. =新 1.
旧 2. =新 2.
旧 3. =新 3.
旧 4. =新 4.
旧 5. =新 5.
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