田中利光『ラテン語初歩』(岩波書店、初版 1990 年、改訂版 2002 年) の練習問題の解答例。この本の改訂版では旧版にあった問題等がかなり削られ、あるいは差しかえられているようだが、ここでは両方の問題に対応するようにする。いま多くの人が使っているのは新版のほうだろうから、章や問題の番号はそちらを基準にするのが便利だろう (もっとも最初のうちはズレはない)。初回は第 1 課から第 4 課。
この本の練習問題は、とくに改訂版では羅文和訳と和文羅訳が相互にかなり対応するようになっているので、あえて解答を作る必要がどれほどあるかは疑念が残るが、旧版ではその対応の度合も低く、かつ和訳の問題数が羅訳の 2 倍強あるため、先へ進むほどやりがいのあるものになることを期待している。
〔2021 年 12 月 14 日追記〕同じ著者による古典ギリシア語の入門書『新ギリシャ語入門』(大修館書店、1994 年) の解答例を作成している:第 1 回はこちら。ラテン語とあわせて古典研究の両輪たる言語を学ぶ人の助けになれば幸いである。
それにしても「名詞活用」というこの本のおかしな用語法には面食らう。「活用」とは動詞が人称や時制などに従って語形変化することだけを言い、名詞や形容詞などが性・数・格に従って変化するのは「曲用」である。語弊のある言いかただが総称として「変化」と言ってもかまわない。しかし活用と呼ぶのだけはありえないのである。
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I 文字と発音
§9. [練習問題 1]
改訂版には解答があるので省略。
II 音節とアクセント
§17. [練習問題 2]
同上。
III 動詞活用 現在直説法能動相 第一,第二活用
§30. [練習問題 3]
1. 君は罪を犯している。
2. 私は罪を犯していない。
3. 君は見ているか。
4. 私は見ている。
5. 息をしているかぎり、私は希望を持つ (=持ちつづける)。
旧 1. 君は誤っている。
旧 2. 私は誤っていない。
旧 3. 君たちはなぜ笑っているのか。
旧 4. 君たちは何を見ているのか。
旧 5. 私たちは何も見ていない。
旧 6. 君たちは黙って、笑っている。
旧 7. 彼らは誤っているが笑っている。
旧 8. 私たちは誤ってもいないし罪を犯してもいない。
旧 9. 私たちは考えているか働いている。
旧 10. (彼は) いつも静かに笑っている。
旧 11. =新 5.
§31. [練習問題 4]
1. Peccātis.
2. Nōn peccāmus.
3. Vidētis?
4. Vidēmus.
5. Dum spīrāmus, spērāmus.
旧 1. Errātis.
旧 2. Nōn errāmus.
旧 3. Quid spectās?
旧 4. Nihil spectō.
旧 5. =新 5.
IV 名詞活用 第一活用
§41. [練習問題 5]
1. 少女は立って笑っている。
2. 私は (その) 少女を愛している。
3. 私は少女にバラを与える。
4. 私は少女の姿をほめる。
5. 私は少女といっしょに歩く。
旧 1. 月が輝いている。
旧 2. 星々が輝いている。
旧 3. =新 2.
旧 4. 私は少女たちにバラを与える。
旧 5. 少女はバラでテーブルを飾る。
旧 6. 少女は少女といっしょに優雅に踊る。
旧 7. 少女たちはディアーナ (女神) にバラの花輪を捧げる。
旧 8. 森には獣たちが住んでいる。
旧 9. 私たちは祖国を愛している。
旧 10. 知恵と思慮分別の女神を (彼らは) 崇拝しない。
旧 11. バラを私は愛している。
§42. [練習問題 6]
1. Puellae stant et rīdent.
2. Puellās amant.
3. Puellīs rosās dōnant.
4. Fōrmās [Fōrmam] puellārum laudant.
5. Cum puellīs ambulant.
旧 1. Lūnam et stēllās adōrātis.
旧 2. In silvā cum bēstiīs habitat.
旧 3. Sapientiam bēstiārum laudāmus.
旧 4. Puellae rosam dōnat.
旧 5. Puellae rosīs mensās ōrnant.〔この本は ns, nf の前の母音にマクロンを付さない流儀のようなので、それに従う。〕
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