田中利光『ラテン語初歩』(岩波書店、初版 1990 年、改訂版 2002 年) 第 13 課から第 16 課までの解答例 (旧版・新版両対応)。初版の問題が改訂版のどれに対応しているか示しているので、これらの記事は両版間の異同の検証にも役立つだろう (といってもべつの課に移動したものまでは「引用句」扱いのものを除き対応づけていないので徹底的な研究ではない)。
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XIII 不定詞 (現在能動相).sum, possum
§123 (旧 §118). [練習問題 23]
1. 君はまだ学校に行くことができない、病気なのだから。
2. 君は今日は家に留まっていなければならない。
3. もし健康になれば明日は学校に行くことができるだろう。
4. 彼は長いあいだ病気だったが、まもなく健康になるだろう。
5. もし君たちが正しくあるならば、幸福になるだろう。
旧 1. 私たちは水なしで生きることはできない。
旧 2. =新 5.
旧 3. 誤ることは人間的である。
旧 4. 生きることは戦うことである。
旧 5. 知ることは知覚 [感覚] することであるか。
旧 6. 私たちは私たちの欠点も治療も耐えることができない。〔日本語としては簡潔すぎるが、「自分の欠点をそのままにしておくことも、それを治そう [矯正しよう] とすることも」と補えばわかりやすいか。〕
旧 7. =新 3.
旧 8. =新 1. + 2.
旧 9. 多くの心配のあいだで (=気がかりがあるなかで) 静かにかつ穏やかに考えることは私にはできない。
旧 10. (彼らは) 長いあいだ敵であったが、いまでは友人である。
旧 11. はじめに言葉があった。〔新版では §125 [引用句 6] として解説されている。〕
旧 12. 私は君が好きではない、サビディウスよ、だがなぜかを言うことはできない。ただこう言えるだけである、私は君が好きではないと。〔新版では §142 [引用句 8] に移る。〕
§124 (旧 §119). [練習問題 24]
1. Nōndum potestis ad lūdum īre, quod aegrī [aegrae] estis.
2. Hodiē domī manēre dēbētis.
3. Crās poteritis ad lūdum īre sī valēbitis.
4. Diū aegra eram, nunc sāna sum.
5. Jūsta sī eris, bene vīvere poteris.
旧 1. Rīdere est hūmānum.
旧 2. =新 5.〔ただし旧版には女性という指示はないので Jūstus も可。〕
旧 3. Cito currere poteram, sed nunc nōn possum.
旧 4. Diū aegrī erāmus, (sed) nunc sānī sumus.
旧 5. Cum injūriam videt, tacēre nōn potest.
XIV 名詞 第三活用 (1) —— i 音幹名詞
§133 (旧 §127). [練習問題 25]
1. 海には多くの魚が住んでいる。
2. 狐は深い谷のなかに住んでいる。
3. 動物は動物を食べる。
4. 市民たちは税金を払わねばならない。
5. 市民たちの協調は戦争の危険のなかにあって祖国を救う。
旧 1. =新 4.
旧 2. とても愛らしい少女が開けた平原で馬を拍車で駆り立てていた。
旧 3. 飢えのためにきわめて多くの者たちが苦しめられていた、また多くの者たちが税金のために (苦しめられていた)。〔わざわざ注をつけて未出の受動態未完了をここで出す必要は少ない。そのために削除されたものと思われ、改訂版ではそのあたりの整頓が進んだと言えよう。〕
旧 4. ソークラテースは若者たちの最良の教師だった。
旧 5. =新 5.〔ただし concordia と cīvium の語順のみ逆転。〕
旧 6. 神は多くの悲しみにも終わりを与えるだろう。
旧 7. =新 1.
旧 8. まさか犬たちや猫たちを食料の欠乏のために食べるのではないだろうね。
旧 9. =新 2.
旧 10. 動物たちは動物たちを食べる。〔新 3. と同じだが複数。〕
§134 (旧 §128). [練習問題 26]
1. In maribus habitant multī piscēs.
2. Vulpēs habitant in vallibus altīs.
3. Animālia edunt animālia.
4. Cīvis dēbet vectīgal pensitāre.
5. Concordia cīvis in perīculīs bellōrum patriam servat.
旧 1. Cīvis Rōmānus es, sed prō Rōmā nōn pugnās.
旧 2. Canis parvus fēlem magnam agēbat.
旧 3. Cum multīs fēlibus vītam agit.
旧 4. Juvenēs docere jūcundum est.
旧 5. Juvenēs verba Sōcratis studiōsē audiēbant.
XV 形容詞 第三活用 (1) —— i 音幹形容詞
§140 (旧 §133). [練習問題 27]
1. 立派な市民たちにさえ重い税金を払うことは気に入らない。
2. 女性は従順だが強く鋭い。
3. すべての戦争は悪い。
4. 正義とは強い者の利益である。
5. 強い者たちにとって生きることは容易である。
旧 1. =新 1.
旧 2. 4 月にはパリーリア祭をローマ人たちは祝い、12 月にはサートゥルナーリア祭を (祝っていた)。
旧 3. ローマ人たちは敵たちに向かって速い矢を飛ばしていた。
旧 4. 子どもたちを失うことは悲しい。
旧 5. ラテン語を学ぶことは難しいか。—— 簡単だ。
旧 6. 犬たちは鼻の点で (=鼻が) 鋭い。
旧 7. 強い者たちを運命は助ける。
旧 8. 星々 (=栄光) へと地から (至る) 平穏な道はない。
旧 9. 戦争はすべての人々にとって有害である。
旧 10. ガリア全体をカエサルはローマ人民の支配下に屈服させていた。
旧 11. 私は耳で狼をつかんでいる。〔auribus に「手段を示す奪格」などと注記されているせいで、人間の耳を使ってどうにか狼を挟んでいるのかと思った。「へそで茶を沸かす」みたいな。これはそうではなくて狼の耳のところでつかんで押さえているということ。耳を持ったはいいが離すこともできなくなり進退窮まった様子を表すようだ。〕
§141 (旧 §134). [練習問題 28]
1. Juvenibus placet difficilēs librōs legere.
2. Fēminae mollēs sed fortēs et ācrēs.
3. Bella omnia mala.
4. Jūstitia est fortium commodum.
5. Miserīs vīvere est gravia supplicium.
旧 1. =新 3.〔単数の形は和訳の 3.〕
旧 2. =新 5.
旧 3. =新 4.
旧 4. =新 1.
旧 5. =新 2.〔順番こそ違えど、5 問とも一致するのはこの課がはじめて。〕
XVI 完了直説法能動相
§149 (旧 §141). [練習問題 29]
1. 敵たちは川のそばに陣営を作ることを決めた。
2. ローマ人たちは多くの町を占領し破壊した。
3. 私たちは敵たちを殺し、仲間たちを助けた。
4. 私たちの息子たちは祖国のために命を失った。
5. キケローは多くの手紙をアッティクスに送った。
旧 1. ロームルスはローマを建設した。
旧 2. =新 2.
旧 3. =新 5.
旧 4. 私は昨日ローマからアテーナイへ来て、ミネルウァの神殿を見た。
旧 5. =新 1.
旧 6. 田舎で食料の欠乏のために農夫たちは奴隷たちを売った。
旧 7. =新 3.
旧 8. =新 4.
旧 9. 君の手紙で私はとても楽しくなった。
旧 10. はじめに神は天と地を創った。〔新版では §151 [引用句 9] として現れる。〕
§150 (旧 §142). [練習問題 30]
1. Hostēs prope fluvium castra pōnere constituent.
2. Multa oppida occupāvimus et dēlēvimus.
3. Hostēs interfēcimus et sociōs adjūvimus.〔和訳の 3. と一字一句同じ。いままでは数や時制などどこかしら変えていたが、これははじめて。〕
4. Fīlius meus vītam āmīsit prō patriā.
5. Cicerō ad Atticum epistulam mīsit.
旧 1. Audīvērunt sed nōn crēdidērunt.
旧 2. Amāvit, scrīpsit, vīxit.
旧 3. Terram dēlēvimus.
旧 4. Injūriam vīdistis, sed nōn restitistis.
旧 5. Patriam vēndidistī hostibus.
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