samedi 10 octobre 2020

田中『ラテン語初歩』練習問題解答 (9)

田中利光『ラテン語初歩』(岩波書店、初版 1990 年、改訂版 2002 年) 第 33 課から第 36 課までの解答例 (旧版・新版両対応)。後半になってまた両版に共通する問題が少なくなってきたように感じる。なかなか改訂の作業に力を入れられたようだ。それにしても旧版の和訳問題はせっかく各課 10 問以上、最大で 15 問もあったというのに、新版では一律 5 問に減らされたのはもったいない。答えさえあれば旧版のほうが断然おすすめできるのだが。



XXXIII 完了,過去完了の接続法能動および受動相.間接疑問文における接続法


§314 (旧 §294). [練習問題 63]


1. ソークラテースは青年たちに尋ねた、節制とは何であるかと。

2. 彼らが本当のことを言ったか否か、彼は知ろうと努めた。

3. 私は君が誰であるか君に尋ねる。

4. 私は君が何をしたか君に尋ねる。

5. 私は私が誰であるか、何をしたかを言いたくない。

旧 1. =新 1.

旧 2. =新 2.

旧 3. =新 3.

旧 4. =新 4.

旧 5. =新 5.

旧 6. 私は私が君を害してしまったのではないかと恐れている。

旧 7. 市民たちは兵士たちに、敵たちを破ったかどうか尋ねた。

旧 8. カエサルは兵士たちに、敵たちは (すでに) 去ったかどうか問うた。

旧 9. 彼は自分が執政官になれないのではないかと恐れていた。

旧 10. キケローはカティリーナが共謀していることを疑っていなかった。

旧 11. 天が落ちるとしても正義があらんことを。

旧 12. そして神は言った:光は作られよ (=光あれ)。そして光が作られた (=あった)。〔新版では §316 [引用句 21]。〕

§315 (旧 §295). [練習問題 64]


1. Juvenēs Sōcratem studiōsē rogābant quid esset jūstitia.

2. Sōcratēs cōnātur utrum vēra dīcat an nōn.

3. Rogāvit vōs quis essētis.

4. Rogāvit vōs quid fēcissētis.

5. Dīcere nōn cupiēbāmus quis essēmus, quid fēcissēmus.

旧 1. =新 1.

旧 2. Verētur nē tibi noceat.

旧 3. Veritus sum nē ei nocuissem.〔限定代名詞の与格 eī もこの本はマクロンをつけない流儀。〕

旧 4. Nōn dubitō quīn exsistat Deus.

旧 5. Mē interrogāvit cūr sīc fēcissem.


XXXIV 条件文 (1) ——事実に反対の仮定をする


§322 (旧 §301). [練習問題 65]


1. 私たちは自然を導き手として従うならば、決して道を誤らないだろう。

2. もし法がまったく顧みられなければ、国家もなく人間たちの集まりもないだろう。

3. もし君がそれをすることを私に命じていたとしたら、私は喜んでそれをしたのだが。

4. もし (彼が) 正しい男であるなら、恥ずべき死を被らないだろうが。

5. もしマラトーン (の戦い) でアテーナイ人が勝たなかったならば、全ギリシア人はペルシア人に隷従していただろう。

旧 1. =新 1.

旧 2. お金とは、もし君が使いかたを知っているならば婢女である;もし君が (使いかたを) 知らないならば、女主人である。〔pecūnia が女性名詞なので女性として擬人化されているが、日本語としてはわざとらしいのでただの召使い [奴隷] と主人でもよい。〕

旧 3. 君が卑しい者であれ、権勢のある者であれ、法には従わねばならない。

旧 4. =新 2.

旧 5. 君は (事を) 始めたならば (すでに) 事の半分を持っている。〔新版では §324 [引用句 22]。〕

旧 6. =新 3.

旧 7. もし足が痛みだしたら、もし歯が (痛みだしたら)、私たちは耐えることができない。

旧 8. =新 4.

旧 9. =新 5.

旧 10. 君が進んで私に従わないならば、私は力で君を連れていく。

§323 (旧 §302). [練習問題 66]


1. Nātūram sī sequēminī, nunquam aberrātis.

2. Sī lēgēs omnīnō neglēctae essent, nec cīvitās fuisset, nec coetus hominum.

3. Sī tū jubērēs, libenter facerem.

4. Sī fuisset jūstus vir, indignam mortem passus nōn esset.

5.〔和訳の 5. と同文。〕

旧 1. =新 1.

旧 2. Sī jūstus fuisset, beātus fuisset.

旧 3. Sīve humilēs sumus, sīve dī(vi)tēs (sumus), lēgēs neglegere nōn dēbēmus.

旧 4. Sī discere vellētis, libenter docerem.

旧 5. Sī ille jussisset, libenter ei pāruissēmus.


XXXV 条件文 (2) ——仮想の場合と予想の場合


§328 (旧 §306). [練習問題 67]


1. 仮に君がその使いかたを知っているならば、老年は楽しみに満ちている。

2. 仮にそれを鍛えないならば、記憶力は弱まる、と私は信じている。

3. もし私たちが貧しくなるならば、老年は厭わしいものになるだろう。

4. 仮に君が (事を) 始めてしまっているならば、君は事の半分を持つことになるだろう。

5. 仮に法が顧みられないとすれば、国家はありえないだろう。

旧 1. もし友情が人生から取りあげられるとすれば、人生が活気あるものでありうるだろうか。(たしかに太陽を世界から取り去るようなものだ、人生を人生から取り去る者は。)

旧 2. 仮にいつか私が裕福になれば、哀れな人たちを喜んで救うだろう。

旧 3. =新 1.

旧 4. =新 2.

旧 5. もしすべての民族をローマ人が屈服させてしまったとすれば、それはよいことだろうか。

旧 6. 君たちがその男たちに対して親切でいるならば、彼らもまた君たちを愛するだろう。〔in + 対格については旧 §275 の注 4。〕

旧 7. 仮に私たちが武器を持たないとすれば、命までも私たちは奪われるだろう。

旧 8. もし君がそのようなことを言えば、君はほかの人たちから嘲笑されるだろう。

旧 9. 仮に私たちが多くの金を持っているならば、多くの友人たちを持つことであろう。

旧 10. もし正しくないならばいかなる命令も私はしないだろう。

旧 11. もし (彼が) そのようにしてしまっているならば、私もまたそのようにするだろう。

§329 (旧 §307). [練習問題 68]


1. Senectūs plēna erit voluptātis, sī illā sciēmus ūtī.

2. Memoria minuētur, nisi eam exercēbis.

3. Sī pauper sīs, senectūs molesta sit.

4. Dīmidium factī sī coeperis habeās.

5. Sī lēgēs neglegentur, cīvitās esse nōn poterit.

旧 1. =新 4.

旧 2. Sī lēgēs neglegantur, cīvitās esse nōn possit.〔=新版の和訳の 5.〕

旧 3. Sī tū ībis, ego quoque ībō.

旧 4. Sī vōs dabitis, dabitur vōbīs.〔ヒントが dabitur とだけ書いてあって意図が不明瞭だが、まだ説明されていない非人称受動を使えというのなら不親切。後半が同じ文が第 49 課 14. に出てくる。〕

旧 5. Sī pauperēs sīmus, senectūs molesta sit.


XXXVI 不定詞 (1) ——完了能動および受動相.対格不定詞節


§338 (旧 §315). [練習問題 69]


1. 私たちはみな自分は正しいと言う。

2. 魂は不死であると私は信じている。

3. 私たちは自分が幸せであることを欲している。

4. 私たちはたしかにみな幸せであることを欲している。〔複数主格 omnēs は主語の「私たち」に同格。〕

5. すべての人がたしかに幸せであることを私たちは欲している。〔omnīs は複数対格なので、omnīs = beātōs であるという対格不定法の文の内容を欲するということ。3. の nōs を omnīs に置きかえた形。〕

旧 1. =新 2.

旧 2. 神はすべてを知っていると私は信ずる。

旧 3. ブルートゥスは自分がカエサルを殺したと言った。

旧 4. ほかの人たちは自分が何かを知っていると思っている。しかし私は知らないとおりに私は知らないと思っている。〔無知の知のことを言っているのだと思うが、後半はよくわからない。ut 文には nesciō しか入っていないと思うから、残りが reor の内容の対格不定法のはず、だがそのまま訳してもいまひとつ変だ。自分は知らないということをそのとおりありのまま認識しているということ?〕

旧 5. =新 3.

旧 6. =新 4.

旧 7. ホメーロスは盲目であったと彼らは伝えている。

旧 8. ホメーロスは盲目であったと伝えられている。

旧 9. 友情は善人たちのあいだでなければありえないということは本当だ。

旧 10. 神々は存在しないと私は思う。

旧 11. カエサルは山が敵たちによって占領されていることを知っていた。

旧 12. カエサルはガリアが全体として 3 つの部分に分けられていると書く。

§339 (旧 §316). [練習問題 70]


1. Omnēs dīcitis vōs sapientēs esse.

2. Eum jūstum esse crēdimus.

3. Pulchrae esse omnēs fēminae volunt.

4. Sapientēs certē omnēs esse volumus.

5. Beātās certē vōs omnīs esse volumus.

旧 1. Tē pulchram esse reor.

旧 2. Deum mortuum esse arbitrāmur.

旧 3. Dīxit sē multa scīre.

旧 4. Dīxistis vōs id fēcisse.

旧 5. Omnēs crēdimus nōs jūstōs esse.

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