mardi 24 avril 2018

デンマークの書籍の購入方法

かつて「諸外国の書籍の購入方法」という記事を書いてから早くも 3 年近くになります。これは私がおもにヨーロッパの各国から本を買い集めていた経験をもとに、便利なサイトリンクと短い所感をまとめておいたものですが、いまでもたまにアクセスをいただいていて、変化した情報につきアップデートの必要を重々感じておりながら、それが果たせていないことには忸怩たる思いがあります。

当時との状況の変化もさることながら、あの時点でまだ扱っていなかった (すなわち私が取引をしたことのなかった) 言語がこの間にいくつか増えており、それはいま思いだせるかぎりでアイルランド語とブルトン語、アルメニア語、それからデンマーク語・スウェーデン語・アイスランド語・フェーロー語の北欧 4 言語に加えてグリーンランド語が挙げられます。

このなかでデンマーク語・フェーロー語 (フェーロー諸島)・グリーンランド語 (グリーンランド) の 3 つは、国としてはデンマーク王国の 1 国であって (今後どうなるかはわかりませんが)、いずれもデンマーク・クローネ (DKK) で買いものができます。といってもクレジットカードで決済するぶんにはあまり意識するところではないかもしれません。とにかく今回これらをまとめて紹介することにしましょう。

デンマーク語の本を買おうと思ったらまず訪れるべきサイトは、デンマークで最初のかつ最大のオンライン書店、Saxo (https://www.saxo.com/dk)  です。紙の本のほか、PDF/ePub 形式の電子書籍、およびオーディオブックを取り扱っていて、紙の本の送料が比較的高めなので私は最近電子書籍のほうにシフトしています。注文を確定するとメールでダウンロードリンクが送られてくるほか、いつでもサイト上から自分の本棚を確認できて端末にダウンロードができることは Amazon などと同じです。

つい最近知ったのですが、Saxo は Android および iOS 用のアプリをリリースしており、これは日本からも入手・利用が可能です。このアプリをインストールして Saxo のユーザアカウントでログインすれば、購入していた電子書籍・オーディオブックが携帯端末からもダウンロードでき、そのまま電子書籍リーダとして読書・音声再生が可能です。もっとも、その用途のものとしては完成度は低いと言わざるをえません (私は iPad と iPhone で利用しているので、以下は iOS 版の評価であって Android 版はわかりませんが)。

まずリーダとしてですが、ePub 形式のものはまだしも、PDF のものをこのアプリで閲覧しようとするとまともに表示ができません。両形式とも表紙などの大きい画像 1 枚のページは上下にぶった切られた形で表示されてしまいますし、PDF ではなぜか文字だけの本文でもそうなってしまいます。そして操作は左右スワイプがページ送りで、指 2, 3 本のジェスチャには反応せずメニューからも拡大・縮小はできないようなので、ページ右側を確認するすべがまったくありません (つまり実質 PDF は読めません)。有料の PDF リーダはもとより、Adobe Reader や iBooks などと比べてさえ非常に不便です。

またオーディオブックの再生機能のほうですが、パソコンからダウンロードするとちゃんと章などの区切りにもとづいたトラック別の MP3 ファイルになっているようなのに (これは商品にもよるかもしれませんが)、アプリ上で聞こうとするとなぜかトラックごとの選択ができず、15 秒または 2 分刻みでの早送り・巻き戻ししか選べないので、これもたいへん使い勝手が悪いです。結局 iTunes などに入れて聞くことになると思います。

というわけで、アプリの出来はまだまだ発展途上ではありますが、すでに言及したように汎用性の高いファイル形式のおかげでべつだん専用アプリでないと読めないわけではないので利用の妨げにはなりません (この点 Amazon Kindle は見習ってほしいものです)。私は最近『星の王子さま』(Den lille prins) の電子書籍版その朗読とセットで購入して少しずつ聞いています。これは以前から紙の本で持っていた古典的な Asta Hoff-Jørgensen 訳 (初版 1950 年) でなく、最近出た Henrik Ægidius による新訳で、吹きこみは元スタントマンのアナウンサー・朗読者だという Paul Becker が行っています。

Saxo 以外だと imusic.dk というサイトを利用したことがあります。名前に反して本もメインに取り扱っていて、1 冊だけ買うならこちらのほうが日本への送料が安いということがありました。Saxo にはない本が置いてある場合もあるので、あきらめずにいろいろ比較してみるとよいでしょう。

勉強が進むと、参考文献リストのなかからすでに新本では手に入らないものが古本でほしくなるという場合があります。こういう場合、英仏独くらいならたいてい Abebooks で事足りるのですが、デンマーク語の古本は少数しか出品されていません。もちろんある場合もあるのでまずは検索をしてみることは無駄ではないでしょう。

じつは上記 Saxo では古本も販売しているようなのですが、この場合カートに 1 点ずつしか入れられない (古本 2 点以上や、新本と古本を混ぜようとすると弾かれる) という制約があります。そうするとただでさえ割高な送料が 1 冊ごとにかかることになり、あまり気が進みません。

デンマーク語の古本を探すときには Antikvariat.net というサイトがたいへん頼りになります。これはデンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドのスカンジナヴィア 4 ヵ国から多くの古本屋の出品が集約されたサイトで、私の経験上送料も (書店ごとに違いますが) 10 ユーロ前後とたいへん良心的です。私にとっては必要な本が見つかる率が高く、とても重宝しています。

グリーンランド語の本は、最初に紹介した 2 つのサイトでデンマーク本土から手に入る場合もありますが、以前紹介したようにグリーンランドのヌーク (Nuuk) にある書店 Atuagkat Boghandel からも注文が可能です。このサイトはデンマーク語および英語でも閲覧が可能です。ただし取り扱っている本の種類はまだかなり少ないようなので (というより、グリーンランド語の出版物そのものが少ないという事情も)、今後に期待しましょう。

フェーロー語の書籍はデンマークのサイトでは基本的に手に入らず、フェーロー諸島の首都トシュハウン (Tórshavn) にある書店 H. N. Jacobsens Bókahandil がオンライン販売を手がけています。ここは (現在も存続しているうちでは) フェーロー諸島で最古の書店だということです (1865 年創業)。

サイトにはドイツ語・英語・デンマーク語を表す国旗がありますが、それらの言語に訳されている部分はあまり多くなく、またショッピングカートからはどうやら 1 点だけ削除する方法がなくて数量を変更しようと思うとぜんぶ消すしかないなど、サイトの使いやすさにはだいぶ難があります。ウィッシュリストのような便利機能はもとより、そもそもユーザアカウントというものが作れないので注文のたびに住所などを入力する必要があるほか、カートの中身も定期的に消えてしまいます。

とはいえもちろん商品の発送は迅速で間違いなく到着しています。梱包のほうはというと、私の注文したとき外箱のダンボールは側面や中身に隙間が多く、さらに折悪しくこちらで雨も降っていてあわやと思われましたが、肝心の本は丁寧に 1, 2 冊ずつプチプチでくるまれており、多少濡れたり揺らされたりしても無事なようになっていました。

もうひとつ、Sprotin.fo という書店もありまして、こちらは紙の本のほか電子書籍・オーディオブックも取り扱っています。販売というか出版が本業なのか、フェーロー語書き下ろしおよび翻訳ものの文芸作品を主体として多くの本・電子書籍を出しています。ウェブページの英語化もたいへん行き届いていてユーザフレンドリーな印象があります。私はこちらからはまだ電子書籍しか買ったことがないのですが、少なくともその部門では不満を感じたことはありません。このサイトはフェーロー語のオンライン辞典も公開しています。

そのほか Rit & Rák というサイトでも紙の本・電子書籍・オーディオブックが取り扱われていますが、これはまだ利用したことがないのでよくわかりません。以前に紙の本を注文しようとしたときには上記の H. N. J. より送料が割高で見送ったのですが、電子版を買うぶんには有用な場合もあるかもしれないのでいちおう挙げておきます。

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