mercredi 11 mai 2022

アポロドーロス『ギリシア神話』(4) I.4.1–5

アポロドーロス『ギリシア神話』の翻訳と文法メモ。この記事では第 I 巻第 4 章を扱う。テクストは Perseus で見られるフレイザーによる Loeb 版を利用した。

目次リンク:第 1 回を参照。


[1] τῶν δὲ Κοίου θυγατέρων Ἀστερία μὲν ὁμοιωθεῖσα ὄρτυγι ἑαυτὴν εἰς θάλασσαν ἔρριψε, φεύγουσα τὴν πρὸς Δία συνουσίαν:

コイオスの娘たちのうちアステリアーは鶉に似たものと化して海へ身を投げた。ゼウスとの交わりを逃れるためだった。

→ 再帰代名詞。

καὶ πόλις ἀπ᾽ ἐκείνης Ἀστερία πρότερον κληθεῖσα, ὕστερον δὲ Δῆλος.

そして彼女 (の名) から以前アステリアーと呼ばれた市がのちにデーロスとなった。

→ 副詞の比較級 (というか中性形の副詞用法)。

Λητὼ δὲ συνελθοῦσα Διὶ κατὰ τὴν γῆν ἅπασαν ὑφ᾽ Ἥρας ἠλαύνετο, μέχρις εἰς Δῆλον ἐλθοῦσα γεννᾷ πρώτην Ἄρτεμιν, ὑφ᾽ ἧς μαιωθεῖσα ὕστερον Ἀπόλλωνα ἐγέννησεν.

レートーはゼウスと交わったがヘーラーによってあらゆる地の上を追われつづけた。デーロスにたどりついて最初にアルテミスを生み、彼女によって助産せられて次にアポッローンを生むまで。

→ 第 2 アオリスト分詞、(ἅ)πας の変化、時量的加音、αω 型の現在、関係代名詞、述語的同格 (前の文と違って今度の ὕστερον は副詞ではない、形容詞の男性単数対格)。

Ἄρτεμις μὲν οὖν τὰ περὶ θήραν ἀσκήσασα παρθένος ἔμεινεν, Ἀπόλλων δὲ τὴν μαντικὴν μαθὼν παρὰ Πανὸς τοῦ Διὸς καὶ Ὕβρεως ἧκεν εἰς Δελφούς, χρησμῳδούσης τότε Θέμιδος:

さてアルテミスは狩りに関する事柄を行い、処女のままとどまった。アポッローンのほうはゼウスとヒュブリスとの子パーンのもとで予言 (の術) を学んでデルポイにやってきたが、(そこでは) 当時テミスが神託を与えていた。

→ 冠詞による前置詞句の名詞化、鼻音幹アオリスト、絶対属格。

ὡς δὲ ὁ φρουρῶν τὸ μαντεῖον Πύθων ὄφις ἐκώλυεν αὐτὸν παρελθεῖν ἐπὶ τὸ χάσμα, τοῦτον ἀνελὼν τὸ μαντεῖον παραλαμβάνει.

神託の座を守っているピュートーンという蛇が、彼が大穴へと近づくことを妨げていたので、これを排除して神託の座を受けつぐ。

→ εω 型の現在能動分詞、説明の同格名詞、第 2 アオリスト分詞。κωλύω「妨げる」の従える不定詞には μή がつくことが多いはずだが (田中・松平 §587)、ここでは使われていない。

★ χάσμα「大穴、裂け目」とはデルポイの巫女が神がかりとなるためそこから湧くガスを吸っていたと伝えられるところのもの。

κτείνει δὲ μετ᾽ οὐ πολὺ καὶ Τιτυόν, ὃς ἦν Διὸς υἱὸς καὶ τῆς Ὀρχομενοῦ θυγατρὸς Ἐλάρης, ἣν Ζεύς, ἐπειδὴ συνῆλθε, δείσας Ἥραν ὑπὸ γῆν ἔκρυψε, καὶ τὸν κυοφορηθέντα παῖδα Τιτυὸν ὑπερμεγέθη εἰς φῶς ἀνήγαγεν.

そしてまもなくティテュオスをも殺す。これはゼウスとオルコメノスの娘エラレーとの息子であった。彼女をゼウスは、一緒になったあと、ヘーラーを恐れて地の下へ隠し、孕まれた巨大な子ティテュオスを光のなかへ連れだしたのだった。

→ 期間の対格、緩叙法、アオリスト受動分詞。

οὗτος ἐρχομένην εἰς Πυθὼ Λητὼ θεωρήσας, πόθῳ κατασχεθεὶς ἐπισπᾶται: ἡ δὲ τοὺς παῖδας ἐπικαλεῖται καὶ κατατοξεύουσιν αὐτόν.

彼はピュートーに来ていたレートーを見て、欲望に囚われて (彼女を) 引き寄せる。だが彼女は子どもたちを呼びだし、彼らが彼を弓矢で撃ち倒す。

→ 原因の与格、αω 型の現在中動態。

κολάζεται δὲ καὶ μετὰ θάνατον: γῦπες γὰρ αὐτοῦ τὴν καρδίαν ἐν Ἅιδου ἐσθίουσιν.

彼は死後にも懲らしめられている。というのはハゲタカどもが彼の心臓を冥府で食べているのである。

→ 単音節の唇音幹第 3 変化名詞。


[2] ἀπέκτεινε δὲ Ἀπόλλων καὶ τὸν Ὀλύμπου παῖδα Μαρσύαν.

またアポッローンはオリュンポスの子マルシュアースをも殺した。

οὗτος γὰρ εὑρὼν αὐλούς, οὓς ἔρριψεν Ἀθηνᾶ διὰ τὸ τὴν ὄψιν αὐτῆς ποιεῖν ἄμορφον, ἦλθεν εἰς ἔριν περὶ μουσικῆς Ἀπόλλωνι.

というのは彼は笛を発見して——これはアテーナーが彼女の容貌を見苦しくするというので投げ落としたのである——、音楽についてアポッローンと争うに至った。

★ 笛を吹くときに頬をふくらませた顔が滑稽だということ。

συνθεμένων δὲ αὐτῶν ἵνα ὁ νικήσας ὃ βούλεται διαθῇ τὸν ἡττημένον, τῆς κρίσεως γινομένης τὴν κιθάραν στρέψας ἠγωνίζετο ὁ Ἀπόλλων, καὶ ταὐτὸ ποιεῖν ἐκέλευσε τὸν Μαρσύαν:

彼らは勝者が欲するとおりのことを敗者に処するということで合意すると、判定がなされるときキタラーを (上下) 転倒してアポッローンは公演しだし、同じことをするようマルシュアースに命じた。

→ 絶対属格、τίθημι のアオリスト中動分詞と接続法アオリスト、完了中動分詞、クラシス。

τοῦ δὲ ἀδυνατοῦντος εὑρεθεὶς κρείσσων ὁ Ἀπόλλων, κρεμάσας τὸν Μαρσύαν ἔκ τινος ὑπερτενοῦς πίτυος, ἐκτεμὼν τὸ δέρμα οὕτως διέφθειρεν.

彼ができないでいるとアポッローンがより優れているとみなされ、マルシュアースをある背高の松の木から吊り下げて、皮膚を切りとって (=生皮を剥いで) 殺害した。

→ εω 型の現在能動分詞、不規則な比較級、νῡμι 動詞のアオリスト、不定代名詞。

★ 弦楽器と違って縦笛は当然上下ひっくりかえしたら音が鳴らない。明らかに不当な勝負。


[3] Ὠρίωνα δὲ Ἄρτεμις ἀπέκτεινεν ἐν Δήλῳ. τοῦτον γηγενῆ λέγουσιν ὑπερμεγέθη τὸ σῶμα: Φερεκύδης δὲ αὐτὸν Ποσειδῶνος καὶ Εὐρυάλης λέγει. ἐδωρήσατο δὲ αὐτῷ Ποσειδῶν διαβαίνειν τὴν θάλασσαν.

またオーリーオーンをアルテミスはデーロス (島) で殺した。彼は大地から生まれ体が巨大だったと言われている。だがペレキューデースは彼をポセイドーンとエウリュアレーとの (息子) と言っている。彼にポセイドーンは海を渡る (力) を授けた。

→ 間接話法と対格不定法、観点の対格。

οὗτος πρώτην μὲν ἔγημε Σίδην, ἣν ἔρριψεν εἰς Ἅιδου περὶ μορφῆς ἐρίσασαν Ἥρα:

彼はシーデーを最初の妻としたが、彼女を容姿について争ったことでヘーラーが冥府へ落とした。

→ 述語的同格。

αὖθις δὲ ἐλθὼν εἰς Χίον Μερόπην τὴν Οἰνοπίωνος ἐμνηστεύσατο. μεθύσας δὲ Οἰνοπίων αὐτὸν κοιμώμενον ἐτύφλωσε καὶ παρὰ τοῖς αἰγιαλοῖς ἔρριψεν.

今度は彼はキオスへ来てオイノピオーンの娘メロペーに求婚した。だがオイノピオーンは彼を酔わせ、眠っている彼を盲目にして海辺に捨てた。

ὁ δὲ ἐπὶ τὸ Ἡφαίστου χαλκεῖον ἐλθὼν καὶ ἁρπάσας παῖδα ἕνα, ἐπὶ τῶν ὤμων ἐπιθέμενος ἐκέλευσε ποδηγεῖν πρὸς τὰς ἀνατολάς.

だが彼はヘーパイストスの鍛冶場へ来て 1 人の子どもを攫い、肩のうえに乗せて、日が昇るほうへ案内するよう命じた。

→ 数詞 1 の変化。

ἐκεῖ δὲ παραγενόμενος ἀνέβλεψεν ἐξακεσθεὶς ὑπὸ τῆς ἡλιακῆς ἀκτῖνος, καὶ διὰ ταχέων ἐπὶ τὸν Οἰνοπίωνα ἔσπευδεν.

たどりついたそこで太陽の光線によって治癒せられて視力を回復し、すばやくオイノピオーンのところへ急行した。


[4] ἀλλὰ τῷ μὲν Ποσειδῶν ἡφαιστότευκτον ὑπὸ γῆν κατεσκεύασεν οἶκον, Ὠρίωνος δ᾽ Ἠὼς ἐρασθεῖσα ἥρπασε καὶ ἐκόμισεν εἰς Δῆλον:

しかし彼のためにはポセイドーンが、地の下にヘーパイストスによる家を建ててやった。だがオーリーオーンにエーオースが欲情して攫い、デーロスへ連れ去った。

ἐποίει γὰρ αὐτὴν Ἀφροδίτη συνεχῶς ἐρᾶν, ὅτι Ἄρει συνευνάσθη.

というのは彼女に対しアプロディーテーが、間断なく愛を抱くように仕向けたからである。(エーオースが) アレースと共寝したということで。


[5] ὁ δ᾽ Ὠρίων, ὡς μὲν ἔνιοι λέγουσιν, ἀνῃρέθη δισκεύειν Ἄρτεμιν προκαλούμενος, ὡς δέ τινες, βιαζόμενος Ὦπιν μίαν τῶν ἐξ Ὑπερβορέων παραγενομένων παρθένων ὑπ᾽ Ἀρτέμιδος ἐτοξεύθη.

それでオーリーオーンは、ある者たちの言うところでは、円盤投げでアルテミスに挑戦したために滅ぼされたと、またある者たちによると、ヒュペルボレオイ人たちのところから来ていた処女たちのうちの 1 人オーピスを暴行したためにアルテミスによって射られたと言われている。

→ アオリスト受動態と ὑπὸ+行為者、部分の属格。

Ποσειδῶν δὲ Ἀμφιτρίτην τὴν Ὠκεανοῦ γαμεῖ, καὶ αὐτῷ γίνεται Τρίτων καὶ Ῥόδη, ἣν Ἥλιος ἔγημε.

ポセイドーンはオーケアノスの娘アンピトリテーを娶り、彼にはトリートーンとロデーが生まれる。この後者はヘーリオスが妻とした。

mardi 10 mai 2022

アポロドーロス『ギリシア神話』(3) I.3.1–6

アポロドーロス『ギリシア神話』の翻訳と文法メモ。この記事では第 I 巻第 3 章を扱う。テクストは Perseus で見られるフレイザーによる Loeb 版を利用した。

目次リンク:第 1 回を参照。


[1] Ζεὺς δὲ γαμεῖ μὲν Ἥραν, καὶ τεκνοῖ Ἥβην Εἰλείθυιαν Ἄρην, μίγνυται δὲ πολλαῖς θνηταῖς τε καὶ ἀθανάτοις γυναιξίν.

さてゼウスはヘーラーを娶って、ヘーベー、エイレイテュイア、アレースをもうける一方、多くの死すべき者と不死なる者の女たちと交わる。

→ εω 型の現在、οω 型の現在、-νῡμι 動詞の現在。

ἐκ μὲν οὖν Θέμιδος τῆς Οὐρανοῦ γεννᾷ θυγατέρας ὥρας, Εἰρήνην Εὐνομίαν Δίκην, μοίρας, Κλωθὼ Λάχεσιν Ἄτροπον,

そしてウーラノスの娘テミスからは、娘として〈時の巡りの女神〉ホーラーたち〔複ホーライ〕すなわち〈平和〉エイレーネー、〈秩序〉エウノミアー、〈正義〉ディケーと、〈運命の女神〉モイラたち〔複モイライ〕すなわちクロートー、ラケシス、アトロポスを生み、

→ Perseus 版では ὥρας のあとがピリオドになっているが、コンマの誤記。

ἐκ Διώνης δὲ Ἀφροδίτην, ἐξ Εὐρυνόμης δὲ τῆς Ὠκεανοῦ χάριτας, Ἀγλαΐην Εὐφροσύνην Θάλειαν, ἐκ δὲ Στυγὸς Περσεφόνην, ἐκ δὲ Μνημοσύνης μούσας, πρώτην μὲν Καλλιόπην, εἶτα Κλειὼ Μελπομένην Εὐτέρπην Ἐρατὼ Τερψιχόρην Οὐρανίαν Θάλειαν Πολυμνίαν.

またディオーネーからはアプロディーテーを、オーケアノスの娘エウリュノメーからは〈優美の女神〉カリスたち〔複カリテス〕すなわちアグライエー、エウプロシュネー、タレイアを、ステュクスからはペルセポネーを、ムネーモシュネーからは〈芸術の女神〉ムーサたち〔複ムーサイ〕、すなわち長女としてカッリオペー、続いてクレイオー、メルポメネー、エウテルペー、エラトー、テルプシコレー、ウーラニアー、タレイア、ポリュムニアーを。

★ すでに 1 章 4 節で注意したとおりアプロディーテーがゼウスの娘になっている。またここではペルセポネーの母もデーメーテールではなくステュクスとされているが、それにもかかわらずのちの 5 章ではデーメーテールが失踪したペルセポネーを探して心を痛める。


[2] Καλλιόπης μὲν οὖν καὶ Οἰάγρου, κατ᾽ ἐπίκλησιν δὲ Ἀπόλλωνος, Λίνος, ὃν Ἡρακλῆς ἀπέκτεινε, καὶ Ὀρφεὺς ὁ ἀσκήσας κιθαρῳδίαν, ὃς ᾄδων ἐκίνει λίθους τε καὶ δένδρα.

カッリオペーとオイアグロスから、しかし名目上はアポッローンから、ヘーラクレースが殺したリノスと、歌うことで石や木を動かしたキタラーの弾き語り手オルペウスが (生まれた)。

→ 関係代名詞、鼻音幹の第 1 アオリスト、εω 型のアオリスト (の能動分詞)、現在能動分詞、εω 型の未完了過去。なお Perseus 版の ᾁδων は ᾄδων の誤記 (アクセントの欠如と気息記号が逆)。

ἀποθανούσης δὲ Εὐρυδίκης τῆς γυναικὸς αὐτοῦ, δηχθείσης ὑπὸ ὄφεως, κατῆλθεν εἰς Ἅιδου θέλων ἀνάγειν αὐτήν, καὶ Πλούτωνα ἔπεισεν ἀναπέμψαι.

彼の妻エウリュディケーが蛇に咬まれて死んだとき、彼は彼女を連れ戻すことを欲してハーイデースへと下っていき、(彼女を) 送りかえすようプルートーンを説得した。

→ 絶対属格句、第 2 アオリスト能動分詞、αὐτός の人称代名詞用法、アオリスト受動分詞と行為者を表す ὑπό、ἔρχομαι の第 2 アオリスト、歯音+σ アオリストの音韻変化。

ὁ δὲ ὑπέσχετο τοῦτο ποιήσειν, ἂν μὴ πορευόμενος Ὀρφεὺς ἐπιστραφῇ πρὶν εἰς τὴν οἰκίαν αὑτοῦ παραγενέσθαι:

すると彼は、もしオルペウスが自分の家に帰りつくまで歩きながら振りかえらなかったならば、そうするであろうと約束した。

→ 不定法未来、〈ἐᾱ́ν+接続法,直説法未来〉で実現可能な未来の仮定、接続法アオリスト受動態 (第 2 受動)、πρίν の用法 (高津基礎 §186.f)、再帰代名詞、不定法アオリスト中動態。ὑπέσχετο は ὑπισχνέομαι のアオ中「約束した」とも ὑπέχω のアオ中「同意した、請けあった」ともとれる。この文はいかにも初級文法の総動員という感じで練習問題におあつらえ向き、現に水谷の練習 30.5 がやや改変してはいるがこの前後を長々と利用している。しかし水谷の πρίν の説明 (§150.2) は十分ではない:この文で πρίν に対する主文は μὴ ... ἐπιστραφῇ という否定であり、このとき「〜するまで」の意味では ἕως に倣うとして §149 を参照させているが、そこの説明に従えば πρίν 節の動詞は人称形でなければならず、不定詞を従えうることは述べられていないのである。

ὁ δὲ ἀπιστῶν ἐπιστραφεὶς ἐθεάσατο τὴν γυναῖκα, ἡ δὲ πάλιν ὑπέστρεψεν.

だが彼は信じられずに振りかえって妻を見た。それで彼女はふたたび戻っていってしまった。

→ アオリスト受動分詞 (第 2 受動)、αω 型のアオリスト、唇音+σ アオリストの音韻・綴字変化。

εὗρε δὲ Ὀρφεὺς καὶ τὰ Διονύσου μυστήρια, καὶ τέθαπται περὶ τὴν Πιερίαν διασπασθεὶς ὑπὸ τῶν μαινάδων.

それからオルペウスはディオニューソスの秘教をも発見し、狂女マイナスたち〔複マイナデス〕によって引き裂かれてピエリアーのあたりに埋葬されてある。

→ 完了受動態。


[3] Κλειὼ δὲ Πιέρου τοῦ Μάγνητος ἠράσθη κατὰ μῆνιν Ἀφροδίτης (ὠνείδισε γὰρ αὐτῇ τὸν τοῦ Ἀδώνιδος ἔρωτα), συνελθοῦσα δὲ ἐγέννησεν ἐξ αὐτοῦ παῖδα Ὑάκινθον,

クレイオーはアプロディーテーの怒りに従ってマグネースの息子ピエロスに欲情し——というのも (クレイオーは) 彼女をアドーニスへの愛のことで面罵したのだ——、(彼と) 一緒になって彼から息子ヒュアキントスを生んだ、

→ 時量的加音、デポネント動詞、歯音+σ アオリスト、第 2 アオリスト能動分詞。

οὗ Θάμυρις ὁ Φιλάμμωνος καὶ Ἀργιόπης νύμφης ἔσχεν ἔρωτα, πρῶτος ἀρξάμενος ἐρᾶν ἀρρένων.

この者にピランモーンとニュンペーのアルギオペーとの息子タミュリスが愛を抱き、(男が) 男たちを愛しはじめる最初の者となった。

→ ἔχω のアオリスト、述語的同格の形容詞、喉音+σ アオリスト、アオリスト中動分詞、αω 型の不定法現在。

ἀλλ᾽ Ὑάκινθον μὲν ὕστερον Ἀπόλλων ἐρώμενον ὄντα δίσκῳ βαλὼν ἄκων ἀπέκτεινε,

しかしヒュアキントスのことはのちにアポッローンが、恋人であった彼を円盤投げのさいに誤って殺してしまった。

→ 副詞の比較級、αω 型の現在受動分詞、εἰμί の現在分詞、道具の与格、述語的同格の形容詞。

Θάμυρις δὲ κάλλει διενεγκὼν καὶ κιθαρῳδίᾳ περὶ μουσικῆς ἤρισε μούσαις, συνθέμενος, ἂν μὲν κρείττων εὑρεθῇ, πλησιάσειν πάσαις, ἐὰν δὲ ἡττηθῇ, στερηθήσεσθαι οὗ ἂν ἐκεῖναι θέλωσι.

他方タミュリスは、美貌とキタラーの弾き語りにおいて際立っており、音楽についてムーサたちと競った。もし自分がより優れていると判明したならば彼女たち全員とねんごろになるということ、一方自分が劣ったとしたら彼女らの欲するところのものをなんであれ奪われるということに合意して。

→ 観点の与格、τίθημι の第 2 アオリスト (の中動分詞)、実現可能な未来の仮定、不規則な比較級、接続法アオリスト受動態、不定法未来受動態、関係代名詞+ἄν、接続法現在。

καθυπέρτεραι δὲ αἱ μοῦσαι γενόμεναι καὶ τῶν ὀμμάτων αὐτὸν καὶ τῆς κιθαρῳδίας ἐστέρησαν.

それでムーサたちが上を行ったので、彼から両目とキタラーの技とを奪った。

→ 規則的な比較級。


[4] Εὐτέρπης δὲ καὶ ποταμοῦ Στρυμόνος Ῥῆσος, ὃν ἐν Τροίᾳ Διομήδης ἀπέκτεινεν: ὡς δὲ ἔνιοι λέγουσι, Καλλιόπης ὑπῆρχεν.

またエウテルペーとストリューモーン河 (の神) からレーソス、この者をトロイアーにおいてディオメーデースが殺した。ただしある者たちが言うところでは彼 (レーソス) はカッリオペーから出た (=カッリオペーが母である) という。

Θαλείας δὲ καὶ Ἀπόλλωνος ἐγένοντο Κορύβαντες, Μελπομένης δὲ καὶ Ἀχελῴου Σειρῆνες, περὶ ὧν ἐν τοῖς περὶ Ὀδυσσέως ἐροῦμεν.

またタレイアとアポッローンからコリュバースたち〔複コリュバンテス〕が、メルポメネーとアケローイオス (河神) からセイレーンたち〔複セイレーネス〕が生まれた。この者たちについてはオデュッセウスについての箇所で語ろう。

→ λέγω の補充形未来。


[5] Ἥρα δὲ χωρὶς εὐνῆς ἐγέννησεν Ἥφαιστον: ὡς δὲ Ὅμηρος λέγει, καὶ τοῦτον ἐκ Διὸς ἐγέννησε.

ヘーラーは夫婦の床から離れてヘーパイストスを生んだ。ただしホメーロスが言うところでは彼をもゼウスから生んだ (=彼もゼウスとの息子である) という。

★ ヘーラーがヘーパイストスを単身で生んだエピソードが、アテーナーの誕生よりさきに置かれており、したがってここではヘーラーの動機が不明である。

ῥίπτει δὲ αὐτὸν ἐξ οὐρανοῦ Ζεὺς Ἥρᾳ δεθείσῃ βοηθοῦντα: ταύτην γὰρ ἐκρέμασε Ζεὺς ἐξ Ὀλύμπου χειμῶνα ἐπιπέμψασαν Ἡρακλεῖ, ὅτε Τροίαν ἑλὼν ἔπλει.

だが彼をゼウスは天から落とす。縛られたヘーラーを (ヘーパイストスが) 助けにきたときのことである。というのはゼウスは彼女をオリュンポスから吊るしたのだ、ヘーラクレースがトロイアーを奪取したあと航海していたさなかに (ヘーラーは) 嵐を送りこんだので。

→ νῡμι 動詞。Perseus 版の Ἥρα を Ἥρᾳ に改めた。χειμῶνα が期間の対格「冬のあいだ (吊るした)」に見えてまぎらわしい。

★ ヘーパイストスを落としたのはゼウスということになっており——それもかなり理由が明確で詳しい——、ヘーラーが落とした説はまったく語られていない点が注目に値する。

πεσόντα δ᾽ Ἥφαιστον ἐν Λήμνῳ καὶ πηρωθέντα τὰς βάσεις διέσωσε Θέτις.

ヘーパイストスはレームノス (島) に落ちて歩行が不自由にされたが、テティスが彼を救済した。

→ 観点の対格。


[6] μίγνυται δὲ Ζεὺς Μήτιδι, μεταβαλλούσῃ εἰς πολλὰς ἰδέας ὑπὲρ τοῦ μὴ συνελθεῖν, καὶ αὐτὴν γενομένην ἔγκυον καταπίνει φθάσας,

またゼウスはメーティスと交わる。彼女は一緒になるまいとして多くの姿に変じるが、ゼウスは孕ませた彼女を先んじて呑みこんだ。

→ μή+不定詞、冠詞+不定詞、男女同形の形容詞、φθάνω。

ἐπείπερ ἔλεγε Γῆ γεννήσειν παῖδα μετὰ τὴν μέλλουσαν ἐξ αὐτῆς γεννᾶσθαι κόρην, ὃς οὐρανοῦ δυνάστης γενήσεται. τοῦτο φοβηθεὶς κατέπιεν αὐτήν:

というのはゲーが言っていたからである、いま彼女 (=メーティス) から生まれんとする娘のあとに生まれるであろう息子は、天の支配者になるであろうと。彼はこのことを恐れて彼女を呑みこんだ。

→ 間接話法の対格不定法、不定法未来、αω 型の不定法現在受動態、未来中動態。

ὡς δ᾽ ὁ τῆς γεννήσεως ἐνέστη χρόνος, πλήξαντος αὐτοῦ τὴν κεφαλὴν πελέκει Προμηθέως ἢ καθάπερ ἄλλοι λέγουσιν Ἡφαίστου, ἐκ κορυφῆς, ἐπὶ ποταμοῦ Τρίτωνος, Ἀθηνᾶ σὺν ὅπλοις ἀνέθορεν.

誕生の時が至ったとき、彼の頭を斧でもってプロメーテウスが、あるいはほかの人たちの言に従えばヘーパイストスが撃つと、頭頂からトリトーン河の上にアテーナーが武具とともに飛びだした。

→ ἵστημι の第 2 アオリスト、絶対属格句、道具の与格。πλήξαντος αὐτοῦ だけ読んで絶対属格と早合点しそうになるが (じっさい τὴν κεφαλήν だけでも「彼の頭を」を意味しうるので)、そうではなく Προμηθέως ἢ ... Ἡφαίστου までが属格主語。

lundi 9 mai 2022

アポロドーロス『ギリシア神話』(2) I.2.1–7

アポロドーロス『ギリシア神話』の翻訳と文法メモ。この記事では第 I 巻第 2 章を扱う。テクストは Perseus で見られるフレイザーによる Loeb 版を利用した。

なお、前回すでに言及してある文法事項についても重要と思われた場合には繰りかえすことがある (文法事項を説明する例文としてあとで拾いやすくするため)。

目次リンク:第 1 回を参照。


[1] ἐπειδὴ δὲ Ζεὺς ἐγενήθη τέλειος, λαμβάνει Μῆτιν τὴν Ὠκεανοῦ συνεργόν, ἣ δίδωσι Κρόνῳ καταπιεῖν φάρμακον,

さてゼウスが大人になると、オーケアノスの娘たる〈知恵〉メーティスを協力者として得る。彼女はクロノスに飲むための薬を与える。

→ アオリスト受動態 (γίγνομαι は古典期には中動型デポネントでアオ中 ἐγενόμην をふつう用いるが、新約など新しい時代になると受動形が一般的になる。cf. 田中新 §330 注 1; BDF §78。しかし 2 節以降見るように「生まれる」の意味では中動態 ἐγένετο, ἐγένοντο を使っている)。τὴν Ὠκεανοῦ で「〜の娘」を表している。

ὑφ᾽ οὗ ἐκεῖνος ἀναγκασθεὶς πρῶτον μὲν ἐξεμεῖ τὸν λίθον, ἔπειτα τοὺς παῖδας οὓς κατέπιε:

これによって強いられた彼は、最初にあの石を、それから呑みこんでいた子どもたちを吐きだす。

→ 関係代名詞とその格、アオリスト受動分詞、母音融合動詞 εω 型の現在。

μεθ᾽ ὧν Ζεὺς τὸν πρὸς Κρόνον καὶ Τιτᾶνας ἐξήνεγκε πόλεμον.

彼らとともにゼウスは、クロノスならびにティーターンたちに対する戦争を挙行した。

→ 冠詞の内側 (限定的位置) における前置詞句。加音によって前つづりが変わること (ἐξήνεγκε は ἐκφέρω の 2 アオ)。

μαχομένων δὲ αὐτῶν ἐνιαυτοὺς δέκα ἡ Γῆ τῷ Διὶ ἔχρησε τὴν νίκην, τοὺς καταταρταρωθέντας ἂν ἔχῃ συμμάχους:

彼らは 10 年間戦いつづけたが、ゲーはゼウスに、タルタロスに突き落とされた者たちを同盟者として持つならば勝利を (得るであろうと) 宣言した。

→ 絶対属格句、期間の対格、数詞 10、Ζεύς の格変化、ἐᾱ́ν (῎ᾱν は別形)+接続法現在で実現可能な未来の仮定。

ὁ δὲ τὴν φρουροῦσαν αὐτῶν τὰ δεσμὰ Κάμπην ἀποκτείνας ἔλυσε.

そこで彼は彼らの見張りをしているカンペーを殺して彼らの拘束を解いた。

→ εω 型の現在能動分詞、流音・鼻音幹第 1 アオリスト、アオリスト能動分詞。

καὶ Κύκλωπες τότε Διὶ μὲν διδόασι βροντὴν καὶ ἀστραπὴν καὶ κεραυνόν, Πλούτωνι δὲ κυνέην, Ποσειδῶνι δὲ τρίαιναν:

するとキュクロープスたちはそのとき、ゼウスには雷鳴 (ブロンテー) と雷光 (アストラペー) と雷電 (ケラウノス) を、プルートーンには兜を、ポセイドーンには三叉の槍を与える。

→ δίδωμι の現在。

οἱ δὲ τούτοις ὁπλισθέντες κρατοῦσι Τιτάνων, καὶ καθείρξαντες αὐτοὺς ἐν τῷ Ταρτάρῳ τοὺς ἑκατόγχειρας κατέστησαν φύλακας.

彼らはこれらによって武装せられてティーターンたちを圧倒し、彼らをタルタロスに押しこめて、ヘカトンケイルたちを番人に任じた。

→ 道具の与格、ἵστημι の第 1 アオリスト能動態 (ここでは第 2 とも同形で、意味が違うことにも要説明)。

αὐτοὶ δὲ διακληροῦνται περὶ τῆς ἀρχῆς, καὶ λαγχάνει Ζεὺς μὲν τὴν ἐν οὐρανῷ δυναστείαν, Ποσειδῶν δὲ τὴν ἐν θαλάσσῃ, Πλούτων δὲ τὴν ἐν Ἅιδου.

それから彼らは支配権についてくじを執り行い、ゼウスは天における権勢を、ポセイドーンは海における、プルートーンは冥府ハーイデースにおけるそれを引きあてる。


[2] ἐγένοντο δὲ Τιτάνων ἔκγονοι Ὠκεανοῦ μὲν καὶ Τηθύος Ὠκεανίδες, Ἀσία Στὺξ Ἠλέκτρα Δωρὶς Εὐρονόμη Ἀμφιτρίτη Μῆτις, Κοίου δὲ καὶ Φοίβης Ἀστερία καὶ Λητώ, Ὑπερίονος δὲ καὶ Θείας Ἠὼς Ἥλιος Σελήνη, Κρείου δὲ καὶ Εὐρυβίας τῆς Πόντου Ἀστραῖος Πάλλας Πέρσης,

ところで生まれたティーターンたちの子らは、オーケアノスとテーテュースからはオーケアニスたち〔複オーケアニデス〕つまりアシアー、ステュクス、エーレクトラー、ドーリス、エウロノメー、アンピトリーテー、メーティスであり、コイオスとポイベーからはアステリアーとレートー、ヒュペリーオーンとテイアーからは〈暁〉エーオース、〈太陽〉ヘーリオス、〈月〉セレーネー、そしてクレイオスからはポントスの娘エウリュビアーとのあいだにアストライオス、パッラース、ペルセース、

→ ここは名前の羅列のため特段新しい事項はないが、どの名が属格で親の名前であるか注意して訳したい。とりわけ最後の夫婦のところは「クレイオスとポントスの娘エウリュビアー……」とすると男 2 人の娘がエウリュビアーみたいに見えてしまう。

★ アンピトリーテーはオーケアニスではなくネーレーイスであって、ここにあるのは誤記であろうとされる。以下の 7 節ならびにヘーシオドス『神統記』349 行以下も参照。


[3] Ιαπετοῦ δὲ καὶ Ἀσίας Ἄτλας, ὃς ἔχει τοῖς ὤμοις τὸν οὐρανόν, καὶ Προμηθεὺς καὶ Ἐπιμηθεὺς καὶ Μενοίτιος, ὃν κεραυνώσας ἐν τῇ τιτανομαχίᾳ Ζεὺς κατεταρτάρωσεν.

それからイーアペトスとアシアーからはアトラース、この者は双肩にて天を担っている。ならびにプロメーテウスとエピメーテウスとメノイティオス、この (最後の) 者を〈巨神族との戦い〉ティーターノマキアーにおいてゼウスは雷霆で撃ちタルタロスへ突き落としたのだ。

→ Perseus 版では τιτανομαχία となっているが、τιτανομαχίᾳ の誤り。


[4] ἐγένετο δὲ καὶ Κρόνου καὶ Φιλύρας Χείρων διφυὴς Κένταυρος, Ἠοῦς δὲ καὶ Ἀστραίου ἄνεμοι καὶ ἄστρα, Πέρσου δὲ καὶ Ἀστερίας Ἑκάτη, Πάλλαντος δὲ καὶ Στυγὸς Νίκη Κράτος Ζῆλος Βία.

またクロノスとピリュラーから生まれたのが 2 つの性質をもつケンタウロスたるケイローンで、エーオースとアストライオスからは風たちと星たち、ペルセースとアステリアーからヘカテー、パッラースとステュクスから〈勝利〉ニーケー、〈体力〉クラトス、〈血気〉ゼーロス、〈暴力〉ビアー。

→ 説明の同格名詞。

★ διφυής「2 つの性質・形状をもつ」とはここでは半人半獣ということで、ケンタウロスのほかパーンやケクロプスについても用例がある。


[5] τὸ δὲ τῆς Στυγὸς ὕδωρ ἐκ πέτρας ἐν Ἅιδου ῥέον Ζεὺς ἐποίησεν ὅρκον, ταύτην αὐτῇ τιμὴν διδοὺς ἀνθ᾽ ὧν αὐτῷ κατὰ Τιτάνων μετὰ τῶν τέκνων συνεμάχησε.

そしてハーイデースの岩から流れるステュクスの水をゼウスは誓いの (しろ) となした。彼女にこの名誉を与えたのは、ティーターンたちに対する戦いで自分の子らといっしょにゼウスと共闘したことに対する酬いである。

→ δίδωμι の現在能動分詞。定冠詞だけで所有者を暗示すること (水谷 §19.2)。ἀνθ’ ὧν は正確に書けば ἀντὶ τούτων ὅτι。


[6] Πόντου δὲ καὶ Γῆς Φόρκος Θαύμας Νηρεὺς Εὐρυβία Κητώ. Θαύμαντος μὲν οὖν καὶ Ἠλέκτρας Ἶρις καὶ ἅρπυιαι, Ἀελλὼ καὶ Ὠκυπέτη, Φόρκου δὲ καὶ Κητοῦς Φορκίδες καὶ Γοργόνες, περὶ ὧν ἐροῦμεν ὅταν τὰ κατὰ Περσέα λέγωμεν,

また〈海洋〉ポントスとゲーからはポルコス、タウマース、ネーレウス、エウリュビアー、ケートーが。そしてタウマースとエーレクトラーからは〈虹〉イーリスとハルピュイアたち〔複ハルピュイアイ〕つまりアーエッローとオーキュペテーが、またポルコスとケートーからはポルキスたち〔複ポルキデス〕とゴルゴーンたち〔複ゴルゴネス〕、この者たちについてはペルセウスに関して話すとすればそのときに語るであろう。

→ 補充形未来 ἐρέω、接続法現在。なお ὅταν の ἄν+接続法にそこまで仮説的なニュアンスがアポロドーロスの時代に残っているかどうかは要調査。


[7] Νηρέως δὲ καὶ Δωρίδος Νηρηίδες, ὧν τὰ ὀνόματα Κυμοθόη Σπειὼ Γλαυκονόμη Ναυσιθόη Ἁλίη, Ἐρατὼ Σαὼ Ἀμφιτρίτη Εὐνίκη Θέτις, Εὐλιμένη Ἀγαύη Εὐδώρη Δωτὼ Φέρουσα, Γαλάτεια Ἀκταίη Ποντομέδουσα Ἱπποθόη Λυσιάνασσα, Κυμὼ Ἠιόνη Ἁλιμήδη Πληξαύρη Εὐκράντη, Πρωτὼ Καλυψὼ Πανόπη Κραντὼ Νεόμηρις, Ἱππονόη Ἰάνειρα Πολυνόμη Αὐτονόη Μελίτη, Διώνη Νησαίη Δηρὼ Εὐαγόρη Ψαμάθη, Εὐμόλπη Ἰόνη Δυναμένη Κητὼ Λιμνώρεια.

またネーレウスとドーリスからはネーレーイスたち〔複ネーレーイデス〕、この者たちの名はキューモトエー、スペイオー、グラウコノメー、ナウシトエー、ハリエー、エラトー、サオー、アンピトリーテー、エウニーケー、テティス、エウリメネー、アガウエー、エウドーレー、ドートー、ペルーサ、ガラテイア、アクタイエー、ポントメドゥーサ、ヒッポトエー、リューシアナッサ、キューモー、エーイオネー、ハリメーデー、プレークサウレー、エウクランテー、プロートー、カリュプソー、パノペー、クラントー、ネオメーリス、ヒッポノエー、イーアネイラ、ポリュノメー、アウトノエー、メリテー、ディオーネー、ネーサイエー、デーロー、エウアゴレー、プサマテー、エウモルペー、イオネー、デュナメネー、ケートー、リムノーレイアである。

→ オーケアニデスとかネーレーイデスとかいった「〜の子ら、娘ら」というグループ名、一種の父称というべきか、これの作りかたについての説明——というのが無理でもせめて一覧表を作って類推せしめる——にも 1 節を設けるべきかもしれない。

dimanche 8 mai 2022

アポロドーロス『ギリシア神話』(1) I.1.1–7

今度のプロジェクトは、アポロドーロス『ギリシア神話』を少しずつ原文で読みながら訳し、ついでにその箇所を読むさいに知っておくべき文法事項を注記していく試みである。

なぜこういう——解説にしては中途半端な——形式をとるかというと、まだまったく妄想の域なのだが『ギリシア神話で学ぶ古代ギリシア語』(仮題*) のようなギリシア語の教科書があればうれしいなという思いつきが少しまえから私の頭を占めており、それを書くための予備作業として行うものだからである。つまり教科書として解説する文法事項の取捨選択と、例文や練習問題に使うさいの候補を選考するうえで役立つようにということである (まあたぶん実現はしないだろうが、構想するだけなら自由)。

* これは「古代 Ancient」というところがみそで、昔ながらの良書が何冊もある「古典 Classical ギリシア語」とはいささか守備範囲が違う。といっても大枠は古典語の文法に従いそれで事足りるであろうが、看板どおりギリシア神話の愛好者にとって興味深い読み物を盛りこもうとすると、どうしてもホメーロスやヘーシオドスという最古の文学、すなわち叙事詩方言 (epic dialect) の説明をそれなりに要するということ (これは実現すれば日本語の教科書として画期的)、また下限のほうはすでに明らかなように紀元後 1–2 世紀のアポロドーロスやルーキアーノスそれからパウサニアース、ことによってはスミュルナのクイントゥスくらいまで含めるかもしれない。すなわちいわゆる古代の最初から最後まで、1 千年を超える期間にわたるギリシア語の文章を読もうというのである。

ギリシア神話のエピソードとしておもしろく、かつギリシア語の文法の点で適度に教育的、という文章を集めていきたいが、現段階ではそれがどういう形になるかはわからない。アポロドーロスから始めるのは読みやすく簡潔な散文であって、しかもその事典的な性質のおかげで、練習問題として細切れの短文を採用しても読者が「この話知ってる!」という喜びを随所に感じられるものにしやすいのではないかという期待からである。あるいはアポロドーロスだけに絞るほうが本の構成としてすっきりするという結論になるかもしれないし、逆に Pharr のように最初からホメーロスの文法を説明してホメーロスを読ませるという行きかたもある。すべては始まったばかりで予断を許さない。

テクストは Perseus で見られる Loeb 叢書のフレイザー版 (1921 年) に拠った。邦訳はほぼ 3 四半世紀まえの高津春繁訳 (初版 1948 年、岩波文庫版 1953 年) がいまだに唯一のものだが正確で、大いに参考にした。この記事では第 I 巻第 1 章を扱う。

目次リンク:第 I 巻 1 章 1–7 節・2 章 1–7 節3 章 1–6 節4 章 1–5 節


[1] Οὐρανὸς πρῶτος τοῦ παντὸς ἐδυνάστευσε κόσμου.

〈天〉ウーラノスが最初に全世界を支配した。

→ 文法メモ:述語的同格の形容詞、第 1 アオリスト、πᾶς の変化とその位置による意味、「支配する」の属格 (高津基礎 §118.3)。

γήμας δὲ Γῆν ἐτέκνωσε πρώτους τοὺς ἑκατόγχειρας προσαγορευθέντας, Βριάρεων Γύην Κόττον,

そして〈大地〉ゲーを娶って最初に〈百手巨人〉ヘカトンケイルたち〔複ヘカトンケイレス〕をもうけた、その名はブリアレオース、ギュエース、コットス、

→ アオリスト能動分詞、流音・鼻音幹アオリスト、アオリスト受動分詞。

οἳ μεγέθει τε ἀνυπέρβλητοι καὶ δυνάμει καθειστήκεσαν, χεῖρας μὲν ἀνὰ ἑκατὸν κεφαλὰς δὲ ἀνὰ πεντήκοντα ἔχοντες.

彼らは大きさにおいても力においても無双となっており、手はおのおの 100 本、頭はおのおの 50 ずつもっていた。

→ 関係代名詞、観点の与格、ἴστημι の過去完了 (ただし古典期では複数には第 2 完了 ἕστασαν を使うべきところ、類推で単数形の第 1 完了 εἱστήκη, ης, ειν にレベリングされている)、現在能動分詞、数詞 50 と 100。


[2] μετὰ τούτους δὲ αὐτῷ τεκνοῖ Γῆ Κύκλωπας, Ἄργην Στερόπην Βρόντην, ὧν ἕκαστος εἶχεν ἕνα ὀφθαλμὸν ἐπὶ τοῦ μετώπου.

彼らのあとにウーラノスのためゲーは〈丸目巨人〉キュクロープスたち〔複キュクローペス〕、アルゲース、ステロペース、ブロンテースを生む。彼らのそれぞれは額に 1 つだけの目をもっていた。

→ 指示代名詞、利害の与格、母音融合動詞 οω 型の現在、歴史的現在、関係代名詞、ἔχω の未完了過去、数詞 1 の変化。

ἀλλὰ τούτους μὲν Οὐρανὸς δήσας εἰς Τάρταρον ἔρριψε (τόπος δὲ οὗτος ἐρεβώδης ἐστὶν ἐν Ἅιδου, τοσοῦτον ἀπὸ γῆς ἔχων διάστημα ὅσον ἀπ᾽ οὐρανοῦ γῆ),

だが彼らをウーラノスは縛ってタルタロスへ投げこんだ。そこは〈冥府〉ハーイデースの地のうちでも〈幽冥〉エレボスのごとく暗い場所で、天から地までと同じほどに地からの隔たりがあった。

→ 母音融合動詞のアオリスト、ρ で始まる動詞の加音、唇音+σ アオリストの音韻・綴字変化 (これは未来をさきにやっていれば説明してある)。また ᾍδου の属格に注意 (つまり ἐν の格支配ではない。ᾍδης を神の名ととるなら所有の属格であるが、アポロドーロスでは神名のほうは一貫して Πλούτων と呼ばれているようであるから、地名とすれば部分の属格か)。

★ いま形容詞の一部としてエレボスの名を挙げたが、アポロドーロスには神格としてのエレボスは出てこない。それどころか、上に見たとおり本書はすでにウーラノスが支配しているところから始まるので、カオスやエロースも登場しないわけである。


[3] τεκνοῖ δὲ αὖθις ἐκ Γῆς παῖδας μὲν τοὺς Τιτᾶνας προσαγορευθέντας, Ὠκεανὸν Κοῖον Ὑπερίονα Κρεῖον Ἰαπετὸν καὶ νεώτατον ἁπάντων Κρόνον, θυγατέρας δὲ τὰς κληθείσας Τιτανίδας, Τηθὺν Ῥέαν Θέμιν Μνημοσύνην Φοίβην Διώνην Θείαν.

次に改めて彼はゲーにより、〈巨神〉ティーターンたち〔複ティーターネス〕と呼ばれる子ら、オーケアノス、コイオス、ヒュペリーオーン、クレイオス、イーアペトス、そして全員のうち最年少の者としてクロノスを、また〈女巨神〉ティーターニスたち〔複ティーターニデス〕と称される娘ら、テーテュース、レアー、テミス、ムネーモシュネー、ポイベー、ディオーネー、テイアーを生む。

→ 規則的な最上級 (短音節が連続するので伸ばすタイプ)。第 3 変化の練習になりそう (παῖς-ιδός, θυγάτηρ-τρός/τέρος, Τῑτᾱ́ν-ᾶνος, Τῑτᾱνίς-ίδος)。


[4] ἀγανακτοῦσα δὲ Γῆ ἐπὶ τῇ ἀπωλείᾳ τῶν εἰς Τάρταρον ῥιφέντων παίδων πείθει τοὺς Τιτᾶνας ἐπιθέσθαι τῷ πατρί, καὶ δίδωσιν ἀδαμαντίνην ἅρπην Κρόνῳ.

だがゲーは、タルタロスに投げこまれた子らの喪失に憤って、ティーターンたちに父を攻撃するよう説得し、アダマントのごとき (硬い鋼の) 鎌をクロノスに与える。

→ 母音融合動詞 εω 型の現在分詞、アオリスト第 2 受動 (の分詞)、τίθημι の不定法第 2 アオリスト中動態、δίδωμι の現在。

οἱ δὲ Ὠκεανοῦ χωρὶς ἐπιτίθενται, καὶ Κρόνος ἀποτεμὼν τὰ αἰδοῖα τοῦ πατρὸς εἰς τὴν θάλασσαν ἀφίησεν.

彼らはオーケアノスを除いては決起し、クロノスが父の恥部を切り離して海へ放り捨てた。

→ 準前置詞、τίθημι の現在中動態、第 2 アオリスト (の能動分詞)、非アッティカの -σσ- (これは最初からこちらの語形で説明すべきかも)、῞ῑημι の第 1 アオリスト (これも非古典)。

ἐκ δὲ τῶν σταλαγμῶν τοῦ ῥέοντος αἵματος ἐρινύες ἐγένοντο, Ἀληκτὼ Τισιφόνη Μέγαιρα.

すると流れる血の滴りから〈復讐の女神〉エリーニュースたち〔複エリーニュエス〕、アレークトー、ティーシポネー、メガイラが生まれた。

→ ῥέω の現在分詞 (母音融合しない単音節語幹の動詞;cf. 水谷、練習 14.6 の注)、未完了過去中動態。なお Ἐρινύς の υ は韻律の都合で短音のエリーニュスということもある、どちらを基本に掲げるかはほかの例文との兼ねあいも考えつつ決めたい。

★ アポロドーロスにおいてはこのクロノスの男根から出た泡ないし精液によって海中でアプロディーテーが生まれた話はなく、彼女はゼウスとディオーネーとの娘ということになっている (3 章 1 節を参照)。

τῆς δὲ ἀρχῆς ἐκβαλόντες τούς τε καταταρταρωθέντας ἀνήγαγον ἀδελφοὺς καὶ τὴν ἀρχὴν Κρόνῳ παρέδοσαν.

そして彼らは (父を) 王位から退けると、タルタロスに突き落とされた兄弟たちを引き上げて、支配権をクロノスに委譲した。

→ βάλλω, ἄγω の第 2 アオリスト、δίδωμι のアオリスト。


[5] ὁ δὲ τούτους μὲν ἐν τῷ Ταρτάρῳ πάλιν δήσας καθεῖρξε, τὴν δὲ ἀδελφὴν Ῥέαν γήμας,

だが彼 (=クロノス) は彼らをふたたびタルタロスへと縛って押しこめた。そして姉レアーを娶った。

→ 喉音+σ アオリスト (しかし前つづりの θ は不規則)。

ἐπειδὴ Γῆ τε καὶ Οὐρανὸς ἐθεσπιῴδουν αὐτῷ λέγοντες ὑπὸ παιδὸς ἰδίου τὴν ἀρχὴν ἀφαιρεθήσεσθαι, κατέπινε τὰ γεννώμενα.

そのときゲーとウーラノスが予言の歌い手となって彼に、自身の子によって支配権を奪われるであろうと言ったので、彼は生まれる子たちを呑みこみはじめた。

→ 母音融合動詞 εω 型の未完了過去、不定法未来受動態と行為者を表す ὑπὸ+属格、母音融合動詞 αω 型の現在 (の受動分詞)。またここでは未完了を始動相ととったが、高津訳は過去の習慣・反復と解している。

καὶ πρώτην μὲν γεννηθεῖσαν Ἑστίαν κατέπιεν, εἶτα Δήμητραν καὶ Ἥραν, μεθ᾽ ἃς Πλούτωνα καὶ Ποσειδῶνα.

こうして最初に生まれたヘスティアーを彼は呑みこんだ。それからデーメーテールとヘーラーを。また彼女らのあとにはプルートーンとポセイドーンを。

→ 第 2 アオリスト受動分詞、πῑ́νω のアオリスト ἔπῐον は短いこと。


[6] ὀργισθεῖσα δὲ ἐπὶ τούτοις Ῥέα παραγίνεται μὲν εἰς Κρήτην, ὁπηνίκα τὸν Δία ἐγκυμονοῦσα ἐτύγχανε, γεννᾷ δὲ ἐν ἄντρῳ τῆς Δίκτης Δία.

こうしたことに激怒したレアーは、あたかもゼウスを孕んだときクレータ島へ赴き、ディクテーの洞窟でゼウスを生む。

→ τυγχάνω が補語に分詞をとること (水谷 §110.2)、母音融合動詞 αω 型の現在、Ζεύς の超不規則変化。

★ ディクテーはクレータ島の女神の名、別名をブリトマルティス (高津『ギリシア・ローマ神話辞典』)。

καὶ τοῦτον μὲν δίδωσι τρέφεσθαι Κούρησί τε καὶ ταῖς Μελισσέως παισὶ νύμφαις, Ἀδραστείᾳ τε καὶ Ἴδῃ.

そして彼を養育されるようクーレースたち〔実際には単数なし、複クーレーテス〕と、メリッセウスの子らたるニュンペーたち〔複ニュンパイ〕、アドラステイアーとイーデーとに渡す。

→ 不定法現在受動態、目的を表す不定法、説明的な同格名詞。


[7] αὗται μὲν οὖν τὸν παῖδα ἔτρεφον τῷ τῆς Ἀμαλθείας γάλακτι, οἱ δὲ Κούρητες ἔνοπλοι ἐν τῷ ἄντρῳ τὸ βρέφος φυλάσσοντες τοῖς δόρασι τὰς ἀσπίδας συνέκρουον, ἵνα μὴ τῆς τοῦ παιδὸς φωνῆς ὁ Κρόνος ἀκούσῃ.

すると彼女らはこの子をアマルテイアーの乳によって育て、一方クーレースたちは武装して洞窟のなかで赤ん坊を守り、長柄で盾を叩いていた。この子の声をクロノスが聞くことのないように。

→ 手段の与格、接続法現在、目的を表す ἵνα+接続法と、それが否定詞 μή をとること。

Ῥέα δὲ λίθον σπαργανώσασα δέδωκε Κρόνῳ καταπιεῖν ὡς τὸν γεγεννημένον παῖδα.

他方レアーは石を産着で包んで、生まれた子どもとして呑みこむようにクロノスに与えておいた。

→ 母音融合動詞 οω 型のアオリスト (の能動分詞)、完了能動態、不定法第 2 アオリスト、完了受動分詞。

jeudi 5 mai 2022

ギリシア悲劇全集の訳者一覧

入手しやすいギリシア悲劇全集 3 種について、比較して買い集めるのに便利なよう各編の訳者を一覧にまとめた自分用のメモ。入手しやすいといってもちくま文庫版以外はすでに絶版品切で、ただ数が十分に出回ったためであろうか古本で見つけやすいということ。

訳者名のまえにある数字は全集の巻号であり、ちくま文庫版の列にある矢印 ← は人文書院版と同一の訳者であることを意味する。岩波版全集にはさらに断片集として第 10 巻以降が続くが、それを除いた最初の 9 巻と、人文書院版・ちくま文庫版の各 4 巻とは、いずれも同じ 33 編を扱っており漏れはない。

さらに最左列のタイトルに Amazon リンクを貼ったのは岩波文庫に入っているものであるが、これはかならずしも岩波版全集から抜きだしたものではなく、異なる訳者の場合も少なくない。3 つの全集のどれとも違う例さえある (オイディプス王=藤沢令夫訳、アンティゴネー新版=中務哲郎訳)。岩波文庫のなかで同じ作品に新旧 2 つの翻訳がある場合は新しいほうを優先した。

作品の邦題ならびに掲載順は、もっぱらこれらのうちでもっとも早い人文書院版に従ったが、ソポクレスのオイディプス「三部作」についてのみ順番を変更して岩波版にあわせた。

アイスキュロス人文書院版ちくま文庫版岩波書店版
縛られたプロメーテウス1 呉茂一1 ←2 伊藤照夫
ペルシアの人々1 久保正彰1 湯井壮四郎2 西村太良
アガメムノーン1 呉茂一1 ←1 久保正彰
供養する女たち1 呉茂一1 ←1 久保正彰
慈みの女神たち1 呉茂一1 ←1 橋本隆夫
テーバイに向かう七将1 今道友信1 高津春繁2 池田黎太郎
救いを求める女たち1 呉茂一1 ←2 岡道男
ソポクレス人文書院版ちくま文庫版岩波書店版
オイディプス王2 高津春繁2 ←3 岡道男
コロノスのオイディプス2 高津春繁2 ←3 引地正俊
アンティゴネー2 呉茂一2 ←3 柳沼重剛
アイアス2 藤沢令夫2 風間喜代三4 木曽明子
トラキスの女たち2 風間喜代三2 大竹敏雄4 竹部琳昌
エレクトラ2 松平千秋2 ←4 大芝芳弘
ピロクテテス2 久保正彰2 ←4 片山英男
エウリピデス上人文書院版ちくま文庫版岩波書店版
アルケスティス3 呉茂一3 ←5 松平千秋
メデイア3 中村善也3 ←5 丹下和彦
ヘラクレスの子供たち3 湯井壮四郎3 柳沼重剛5 池田黎太郎
アンドロマケ3 松本克巳3 松平千秋6 西村太良
ヘカベ3 高津春繁3 ←6 丹下和彦
狂えるヘラクレス3 岡道男3 川島重成・金井毅6 内田次信
イオン3 柳沼重剛3 松本克巳7 松平千秋
トロイアの女3 松平千秋3 ←7 水谷智洋
レーソス3 中村善也4 柳沼重剛9 片山英男
キュクロプス3 竹部琳昌4 中村善也9 中務哲郎
エウリピデス下人文書院版ちくま文庫版岩波書店版
ヒッポリュトス4 松平千秋3 ←5 川島重成
救いを求める女たち4 藤沢令夫3 中山恒夫6 橋本隆夫
エレクトラ4 田中美知太郎4 ←7 松本仁助
タウリケのイーピゲネイア4 呉茂一4 ←7 久保田忠利
ヘレネ4 池田美恵4 中村善也8 細井敦子
フェニキアの女たち4 大竹敏雄4 岡道男8 安西真
オレステス4 小川政恭4 松本仁助8 中務哲郎
バッコスの信女4 松平千秋4 ←9 逸身喜一郎
アウリスのイーピゲネイア4 呉茂一4 ←9 高橋通男