最近完結した森博嗣「W シリーズ」全 10 作の各作品では、扉と各章冒頭の引用文 (エピグラフ) に古典的な SF 作品の数々が用いられている。私のように森ミステリィから入って SF に興味を持ちつつある人の便宜のために、たわいもない作業だが既存のまとめが存在しないようなのでここに一覧にして掲げる。いずれ劣らぬ有名作品であるから邦訳が複数存在する場合もあるが、ここでは森先生が依拠した訳者・版のものを示した。
原著者名・訳者名・邦訳タイトル・文庫レーベルは W シリーズ各巻末に明記されている。しかし文庫のカバーデザインなど細かな変更は生じる場合があるので、森先生の蔵書のそれと完全に一致するとは保証できない、あしからず。また訳書の出版年および原著の情報は私が補ったものであり、前者は当該文庫版の出版年であって本邦初訳年とは限らない。
〔2022 年 12 月 13 日追記〕同様に WW シリーズの引用書目もこのページにまとめることにした。現在既刊 6 巻。
W シリーズ
- 『彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?』
——フィリップ・K・ディック、浅倉久志訳『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』ハヤカワ文庫、1977 年〔1994 年改訳〕。[Philip K. Dick, Do Androids Dream of Electric Sheep?, 1968] - 『魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?』
——ウィリアム・ギブスン、黒丸尚訳『ニューロマンサー』ハヤカワ文庫、1986 年。[William Gibson, Neuromancer, 1984] - 『風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?』
——アルフレッド・ベスター、中田耕治訳『虎よ、虎よ!』ハヤカワ文庫、2008 年。[Alfred Bester, Tiger! Tiger!, 1956] - 『デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?』
——J・G・バラード、峰岸久訳『沈んだ世界』創元 SF 文庫、1968 年。[J. G. Ballard, The Drowned World, 1962] - 『私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback?』
——エドモンド・ハミルトン、中村融訳『フェッセンデンの宇宙』河出文庫、2012 年 (2019 年 1 月現在版元品切)。[Edmond Hamilton, “Fessenden’s Worlds” (短編), 1937, 1950] - 『青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light?』
——アーサー・C・クラーク、福島正実訳『幼年期の終り』ハヤカワ文庫、1979 年。[Arthur C. Clarke, Childhood’s End, 1953] - 『ペガサスの解は虚栄か? Did Pegasus Answer the Vanity?』
——マイクル・コーニイ、山岸真訳『ハローサマー、グッドバイ』河出文庫、2008 年。[Michael Coney, Hello Summer, Goodbye, 1975] - 『血か、死か、無か? Is It Blood, Death or Null?』
——ジョージ・オーウェル、高橋和久訳『[新訳版] 一九八四年』ハヤカワ文庫、2009 年。[George Orwell, Nineteen Eighty-Four, 1949] - 『天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow?』
——レイ・ブラッドベリ、大久保康雄訳『何かが道をやってくる』創元 SF 文庫、1964 年。[Ray Bradbury, Something Wicked This Way Comes, 1962] - 『人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly?』
——アーシュラ・K・ル・グィン、小尾芙佐訳『闇の左手』ハヤカワ文庫、1978 年。[Ursula K. Le Guin, The Left Hand of Darkness, 1969]
WW シリーズ
- 『それでもデミアンは一人なのか? Still Does Demian Have Only One Brain?』
——アイザック・アシモフ、岡部宏之訳『ファウンデーション』ハヤカワ文庫、1984 年。[Isaac Asimov, Foundation, 1951] - 『神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned?』
——カート・ヴォネガット・ジュニア、伊藤典夫訳『スローターハウス 5』ハヤカワ文庫、1978 年。[Kurt Vonnegut Jr., Slaughterhouse-Five, 1969] - 『キャサリンはどのように子供を産んだのか? How Did Catherine Cooper Have a Child?』
——グレッグ・イーガン、山岸真訳『ディアスポラ』ハヤカワ文庫、2005 年。[Greg Egan, Diaspora, 1997] - 『幽霊を創出したのは誰か? Who Created the Ghost?』
——コーマック・マッカーシー、黒原敏行訳『ザ・ロード』ハヤカワ epi 文庫、2010 年。[Coramac McCarthy, The Road, 2006] - 『君たちは絶滅危惧種なのか? Are You Endangered Species?』
——アーサー・コナン・ドイル、中原尚哉訳『失われた世界』創元 SF 文庫、2020 年。[Sir Arthur Conan Doyle, The Lost World, 1912] - 『リアルの私はどこにいる? Where Am I on the Real Side?』
——ダン・ブラウン、越前敏弥訳『ロスト・シンボル』角川文庫 (全 3 巻)、2012 年。[Dan Brown, The Lost Symbol, 2009]
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