vendredi 25 septembre 2020

中山『標準ラテン文法』練習問題解答 (3)

中山恒夫『標準ラテン文法』(白水社、1987 年) 第 5 課と第 6 課の解答例。問題には同じ著者による解答つきの『ラテン語練習問題集』(白水社、1995 年、新装版 2009 年) と同じ文が多くあるので、私がそれを見つけている場合は答えを全面的に信用してよい。といってもその答えを丸写ししているわけではなく、理解したうえで愚直な逐語訳にして学習者が検討しやすいように努めている。

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第 5 課


§22 練習


fleō : 完了 flēvī, flēvistī, flēvit, flēvimus, flēvistis, flēvērunt; 過去完了 flēveram, flēverās, flēverat, flēverāmus, flēverātis, flēverant; 未来完了 flēverō, flēveris, flēverit, flēverimus, flēveritis, flēverint.〔第 2 活用、v 完了〕

pōnō : 完了 posuī, posuistī, posuit, posuimus, posuistis, posuērunt; 以下、過去完了と未来完了は省略。〔第 3 活用、u 完了〕

videō : 完了 vīdī, vīdistī, vīdit, vīdimus, vīdistis, vīdērunt.〔第 2 活用、母音延長完了〕

currō : 完了 cucurrī, cucurristī, cucurrit, cucurrimus, cucurristis, cucurrērunt.〔第 3 活用、子音重複完了〕

scrībō : 完了 scrīpsī, scrīpsistī, scrīpsit, scrīpsimus, scrīpsistis, scrīpsērunt.〔第 3 活用、s 完了〕

sum : 完了 fuī, fuistī, fuit, fuimus, fuistis, fuērunt; 過去完了 fueram, fuerās, fuerat, fuerāmus, fuerātis, fuerant; 未来完了 fuerō, fueris, fuerit, fuerimus, fueritis, fuerint.〔不規則活用〕

eō : 完了 iī, īstī, iit, īmus, īstis, iērunt; 過去完了 ieram, ierās, ierat, ierāmus, ierātis, ierant; 未来完了 ierō, ieris, ierit, ierimus, ieritis, ierint.〔不規則活用〕

ferō : 完了 tulī, tulistī, tulit, tulimus, tulistis, tulērunt; 過去完了 tuleram, tulerās, ...〔不規則活用〕

§23 練習


celer : 単主 celer + celeris + celere, 属 celeris, 与 celerī, 対 celerem + celere, 奪 celerī; 複主 celerēs + celeria, 属 celerium, 与 celeribus, 対 celerēs/īs + celeria, 奪 celeribus.

difficilis : difficilis + difficile, difficilis, difficilī, difficilem + difficile, difficilī; difficilēs + difficilia, difficilium, difficilibus, difficilēs/īs + difficilia, difficilibus.

sapiēns : sapiēns, sapientis, sapientī, sapientem + sapiēns, sapientī/e; sapientēs + sapientia, sapientium, sapientibus, sapientēs/īs + sapientia, sapientibus.

和訳


1. (かつて) 富を持っていたのに (いまは) 持っていないのはつらいことだ。〔『練習問題集』VII 4. 2) と同文。〕

2. 父は小さい息子を肩で (=に乗せて) 庭へ運んだ。〔練 XXIV 1. 8) と同文。〕

3. 勝利者の兵士たちは捕虜たちを花冠の下で (=奴隷として) 売った。捕虜たちは花冠の下で (=奴隷として) 売られた。〔練 XXIV 3. 13) と同文。〕

4. 私はブリタンニア人の風習・制度・法律を知っている。〔練 XXVIII 1. 1) の前半と部分的に一致。〕

5. 私は君たちのことをいつまでも覚えているだろう。

6. 私は君を非難する、なぜなら君は友人たちを嘲笑することをやめなかったから。

7. ギリシア人たちは、トロイアの町に侵入するや否や、建物に放火し人々を殺した。

8. 私たちは以前にいちどもいた (=行った) ことがなかったところに今日いた (=行った)。〔完了時制 fuimus の意味は、§20 B. [2] の説明を参考にすれば、今日行ったけれどもいまはすでにいないことを含意しそうである (だとすれば「来た」は不適切)。松平・国原『新ラテン文法』§219 の言いかたでは「話している時に,すでに終っている動作」。〕

9. まもなく私は長い手紙を書き終えるだろう。

10. 私は速く行ったにもかかわらず、友人に援助をもたらす (=友人を助ける) ことができなかった。

11. 少年たちは広場へ走っていった。〔練 XVI 1. 8) と同文。〕

12. 船乗りたちはパロス (島) に近づいていた。これほど大きな塔は彼らのうちの誰もそれ以前に見たことがなかった。〔練 XVIII 6. 3) と同文。〕

13. 明日君たちはどこへ行くのか。―― 明日私たちはアテーナイへ行く。

14. 君たちの伯父はどこに住んでいるか。―― 彼はメディオーラーヌムに住んでいる。〔練 XXVI 1. 3) と類似。〕

15. 君たちはどこから帰ったのか。―― 私たちはネアーポリスから帰った。

16. 父は家に留まっていない;家から出て息子を迎えに行く。すぐに息子とともに家に帰ってくるだろう。〔練 XXVI 1. 7) の後半とほぼ同文。〕

17. 裕福な人は貧しい人に古い衣服を与える。〔練 XVI 4. 2) と類似。〕

18. すべての動物は死すべきものである。〔練 XVIII 1. 9) と同文。〕

19. ギリシアは大胆な船乗りたちと慎重な商人たちの祖国であった。

20. 激しい悲しみはたいてい短いものだ。

作文


1. Dīvēs nōn semper beātī [fēlīcēs] sunt.

2. Hodiē domī nōn sum.

3. Incolae oppidī multās turrīs exstrūxērunt [aedificāvērunt].〔練 XVII 5. 2) と同文。〕

4. Ea verba neque dīxī neque scrīpsī.

5. Ubi prīmum librum lēgerō, domō exībō.


第 6 課


§27 練習


vocō (1) : 現在 vocor, vocāris, vocātur, vocāmur, vocāminī, vocantur; 未完了 vocābar, vocābāris, vocābātur, vocābāmur, vocābāminī, vocābantur; 未来 vocābor, vocāberis, vocābitur, vocābimur, vocābiminī, vocābuntur.

habeō (2) : 現在 habeor, habēris, habētur, habēmur, habēminī, habentur; 未完了 habēbar, habēbāris, habēbātur, habēbāmur, habēbāminī, habēbantur; 未来 habēbor, habēberis, habēbitur, habēbimur, habēbiminī, habēbuntur.

legō (3) : 現在 legor, legeris, legitur, legimur, legiminī, leguntur; 未完了 legēbar, legēbāris, legēbātur, legēbāmur, legēbāminī, legēbantur; 未来 legar, legēris, legētur, legēmur, legēminī, legentur.

capiō (3b) : 現在 capior, caperis, capitur, capimur, capiminī, capiuntur; 未完了 capiēbar, capiēbāris, capiēbātur, capiēbāmur, capiēbāminī, capiēbantur; 未来 capiar, capiēris, capiētur, capiēmur, capiēminī, capientur.

ferō : 現在 feror, ferris, fertur, ferimur, feriminī, feruntur; 未完了 ferēbar, ferēbāris, ferēbātur, ferēbāmur, ferēbāminī, ferēbantur; 未来 ferar, ferēris, ferētur, ferēmur, ferēminī, ferentur.

和訳


1. マールクスはルーキウスと同じ労苦を耐えている。〔『練習問題集』XV 1. 3) と類似。〕

2. この本の物語は私たちの気に入り、あの (本の物語) は気に入らない。〔練 XVII 4. 2) と同文。〕

3. 君のもっとも近い者 (=隣人) を君自身と同じように尊重しなさい。〔2 人称の未来時制は命令も意味する。cf. §18〕

4. 先生自身が私を助けてくれるだろう。

5. その (=君の) 助言に私たちは従わないだろう。

6. この馬は速いと同時に (=速いだけでなく) 美しい。

7. ハンニバルとスキーピオーは有名である:後者はローマ人、前者はカルタゴ人である。

8. 兵士たちはまさに城壁の下に立っている。

9. 君の高慢な言葉で私は怖がらないし怖がるつもりもない。

10. ローマ人たちによってメルクリウスは神々の使者と呼ばれていた。

11. 多くのローマ人たちの子どもたちがギリシア人の奴隷たちによって教育されていた。〔līberī は複数しかない名詞「子どもたち」。multōrum Rōmānōrum は複数属格なので、子どもたちを修飾する形容詞ではない。もちろんローマ市民の子はローマ市民だし、親が大人数なら子もそれ以上なので同じ結果になるだろうが、それはそれとして構文解析をあやふやにしてはならない。〕

12. いつ広場に行かれる (=行くことがなされる) のか。〔ībitur は eō の直説法受動態未来 3 人称単数で非人称受動。われわれあるいは人が広場に行くことになるのはいつか、という質問。練 XXIV 3. 4) とほぼ同文、そちらでは時制のみ完了 itum est で「いつ中央広場へ行ったのか」と訳されている。〕

13. シキリアはすべての方向から [を] 海で取り巻かれている。〔partibus < pars は「部分」だけでなく「方向、方面」の意味もあることに注意。marī < mare が手段の奪格。泉井『ラテン広文典』§395 に同文あり。〕

14. 戦いでは多くの人が捕まり、多くの人が殺される。

15. 冬には牛たちは家畜小屋に連れていかれる。

16. ガーイウスは君たちから謙虚だと思われている。〔Gāius は母音間に i があるが、短母音と半母音 2 つのガイユス Gaj-jus ではなく、i が母音でガーイウス Gā-i-us と読む例外 (風間『ラテン語・その形と心』25 頁、田中『ラテン語初歩』§9)。〕

17. 詩を読むことで心配は減らされるだろう。〔carminum は複数属格で目的語的属格、cūrae が複数主格で文の主語。〕

18. 誠実な友人たちから愛されることは喜ばしい。

19. オリュンピアの勝者たちはオリーブの枝で飾られたものだった。その褒美を多くのギリシアの青年たちが望んでいた。〔後半は id praemium が中性単数対格の目的語、主語は adulēscentēs。〕

20. 決して君は私たちから妬まれないだろう。〔練 XXVII 1. 6) と同文。invideō「妬む」は与格目的語をとる動詞で、それが受動態になっても妬まれる tibi は与格のままである。能動態に直すと Numquam tibi invidēbimus.〕

作文


1. Hic liber nōbīs placet, ille displicet.〔練 XVII 4. 1) と同文。〕

2. Difficile est sē ipsum nōscere.

3. Quotannīs ā Rōmānīs [ā populō Rōmānō] duo cōnsulēs creābantur [dēligēbantur].〔練 XIII 4. 2) と同文。〕

4. Amīcī magnō ex perīculō servābuntur.

5. (Tū) Lūcius ā nōbīs vocāris.

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