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samedi 11 novembre 2017

コーンウォール語入門 (10) 間接話法

John Page, Cornish Grammar Intermediate. Kesva an Taves Kernewek, ⁵2008 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


IX. 間接的陳述


〔間接話法 indirect speech と言ったほうがわかりよいかもしれないが,原語の indirect statement をそのままにした.〕

1) 代名詞主語を伴う肯定的陳述で,bos の現在または未完了を含むもの.所有代名詞と不定詞を用いる:
ev a leveris y vos klav 彼は病気である/だった,と彼は言った
my a vynn agas bos omma 君がここにいたら,と私は願う
ny vynnyn ni aga bos ledhys 私たちは彼らに死んでほしくはない
2) 名詞主語を伴う肯定的陳述で,bos の現在または未完了を含むもの.名詞および任意の形容詞は,不定詞におかれた bos に後続する:
ev a lever bos Yowann omma ジョンはここにいる,と彼は言う
hi a vynna bos lowen hy mab 彼女は彼女の息子に幸せであってほしかった
my a dyb bos Tamsin pur deg タムシンはとてもきれいだと私は思う
3) 任意の主語を伴う肯定的陳述で,bos のその他の時制もしくはその他の任意の動詞.〈主語 + dhe + 不定詞〉構文を用いる:
hi a lever ev dhe dhos 彼は来る/来るだろう,と彼女は言う〔軟音化 dhos < dos〕
ev a dyb ni dhe vos ena 私たちはそこにいた/いる/いるだろう,と彼は思う〔軟音化 vos < bos〕
4) 肯定の間接的陳述につき,小辞 y⁵ を用いるもうひとつの方法がある:
ev a grys y fydhav ena 私はそこにいるだろう,と彼は信じる〔混合変化 fydhav < bydhav〕
ev a wayt y teu Yowann ジョンは来るだろう,と彼は望む〔混合変化 teu < deu〕
5) 陳述が否定であるとき,べつの規則が適用される.否定の間接的陳述においては,小辞 na² を用いる〔母音の前では nag:前著 XI 課〕.主語が名詞であるならば,動詞は 3 人称単数におかれるが,代名詞であるならば,動詞はその主語に一致しなければならない:
an den a leveris nag esa avalow y’n varghas その男は言った,市場にはリンゴがなかったと〔この esa と下の esens はそれぞれ bos の未完了 3 単および 3 複の長形.場所なので長形:前著 XV 課
ow thas a leveris nag esens i ena 私の父は言った,彼らはそこにいなかったと〔気息音化 thas < tas〕
ev a grys na vynn an fleghes dos 彼は信じている,子どもたちは来たくないだろうと〔軟音化 vynn < mynn〕
ev a leveris na yllyn y wul 彼は言った,私はそれをできなかったと〔軟音化 yllyn < gyllyn, wul < gul ; この gyllyn は galloes「できる」の未完了 1 単または 1 複で,y は不定詞 gul の代名詞目的語である所有形.〕
1), 2), 3) において,〔できごとの〕生起の相対的時間は文脈によって与えられる.

次の 2 例を考えよう:
My a grys aga bos da 彼らはよいと私は信じている〔lit. I believe their being good.〕
My a grys nag yns i da 彼らはよくないと私は信じている〔lit. I believe [that] not are they good.〕
第 1 のものは肯定なので,規則 1 をあてはめる.第 2 のものは否定なので,規則 5 をあてはめる.

注意として:
Ny grysav aga bos da 彼らがよいと私は信じない〔lit. [I do] not believe their being good.〕
〔間接話法を〕導入している動詞 (「私は〜とは信じない」) は否定形だが,〔間接話法の〕陳述は肯定なので,規則 1 があてはまる.

これらの 5 つの規則はとても重要であり,あらゆるコーンウォール語のよい構文にとって根本的である.完璧に習得されねばならない.

コーンウォール語入門 (9) 接中代名詞・未来・再帰動詞・反復数詞

John Page, Cornish Grammar Intermediate. Kesva an Taves Kernewek, ⁵2008 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


V. 接中代名詞


代名詞が動詞の単純時制 (助動詞との複合でないもの) の目的語であるとき,目的語は小辞と動詞とのあいだに接中 (infix) される.これらの接中代名詞 (infixed pronoun) を示すのにアポストロフィが使われる:
私を   ’m
君を   ’th⁵
彼を   ’n
彼女を  ’s
私たちを ’gan
君たちを ’gas
彼らを  ’s
接中代名詞は先行する小辞によって動詞が変異することを妨げる.これらのうちそれじしんが変異をひきおこすのは ’th だけで,これは第 5 形を要求する.
ev a’th kara meur 彼は君をとても愛していた〔原文は「た」すなわち過去形 loved だが,kara は現在形で過去は karas のはずである:前著 XVII 課
my a’n gorras y’n amari 私はそれ (男) を戸棚に置いた
以下の例は詩的とみなされる:
A’s gwelsys ? Na’s gwelis 君は彼女を見たか.いいえ.
Ny’s gwelis 私は彼女を見ていない
助動詞を伴う複合時制においては,代名詞の所有形が用いられることに注意:
my a’n gorras y’n amari だが my a wrug y worra y’n amari
Yowann a’s gwelas だが Yowann a wrug hy gweles


VI. bos の未来時制

bydhav, bydhydh, bydh, bydhyn, bydhowgh, bydhons
起こりうる変異は第 2 形 B > V と第 5 形 B > F.

主語が動詞に先行するとき,小辞は a² である.補語が動詞に先行するとき,小辞はないが,第 2 形変異は残る.動詞が主語と補語よりも前に来るとき,小辞は y⁵ である.疑問では小辞は a²:
an fleghes a vydh lowen hedhyw 子どもたちは今日幸せだろう
lowen vydh an fleghes hedhyw〔同上〕
hedhyw y fydhons i lowen 今日彼らは幸せだろう
a vydhons i lowen ? 彼らは幸せになるだろうか
a ny vydh an fleghes lowen ? 子どもたちは幸せにならないだろうか


VII. 再帰動詞


動詞は om-² を接頭することで再帰形 (reflexive) になる:
golghi 洗う,omwolghi 自分を洗う
res yw dhymm golghi an dillas 私は服を洗わねばならない
res yw dhymm omwolghi 私は自分〔の体や手など〕を洗わねばならない
動詞が再帰になるとき意味に小さな変化があることがある:
gul 作る,omwul ふりをする
kemmeres とる,omgemmeres 引き受ける


VIII. 副詞的数詞


副詞的数詞 (adverbial number) は gweyth という語から作られ,これは数詞の女性形をとり,必要なら変異をする:
unnweyth 1 回,diwweyth 2 回,teyrgweyth 3 回,pedergweyth 4 回,kankweyth 100 回,milweyth 1000 回
my a wrug y elwel teyrgweyth 私は彼を 3 回呼んだ
ny allav vy y wul diwweyth 私はそれを 2 回できない

vendredi 10 novembre 2017

コーンウォール語入門 (8) 副詞・不定詞と現在分詞に関する補足・比較級

前回まで,John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 によってコーンウォール語の最初歩を学んできた.ここからはその続編である同著者の Cornish Grammar Intermediate, ⁵2008 によって残りの文法事項を見ていく.これは ‘intermediate’ (中級) と銘打ってはいるが,副詞・比較級・過去分詞・再帰動詞など,実際にはまだまだ最低限の学習事項であって前著で取りこぼされたものを扱っているという部分が大きい.

ところで前著 (for Beginners) の巻末では,続編として Grammar Beyond the First Grade なる同著者のタイトルが挙げられている.これは前著の ‘follow up’ であって 48 頁の並製本という情報も合致しているので,おそらく本書 Intermediate のことだと思われる.しかるに本書のタイトルとは異なるし,はしがきによれば本書の旧題は Grammar for the Second and Third Grades だったのだという.しかも本書の目次は ‘Grammar for the Third Grade’ と ‘Fourth Grade’ となって second が飛ばされているが,これはおそらく現地のコーンウォール語検定の級位の見なおしで 1989 年より fourth grade が追加されたことと関連しているであろう.

このようにたいへん事情が錯綜しており,いったいなにが正しいのか,本当に本書 Intermediate が前著の直接の続編なのかすらもはっきりしないが,とにかく続きだとみなすことにして本書を読んでいこう.なお凡例については初回を参照いただきたいが,亀甲括弧〔……〕が私の補足であるのに対して丸括弧 (……) はすべて原文であることを改めて明確にしておく.


I. 副詞


副詞はふつう yn⁵ を前につけることで形容詞から作られる:
da よい,yn ta よく
lowen 幸せな,yn lowen 幸せに
gwir 本当の,yn hwir 本当に
men 強い,yn fen 強く
言いかえれば,yn は英語の -ly と対応する.


II. 不定詞と yn unn


すでに見たように,現在分詞は動詞の不定詞の前に ow⁴ または owth をつけることで作られる〔前著 VI 課〕.しかしながら,分詞が〔それに〕先行する動詞を修飾するときには,小辞 yn unn² を用いる:
ev a wrug dos yn unn boenya 彼は走りながら来た (すなわち「走ることのなかで」)〔wrug は gwrug の軟音化で,これは助動詞 gul「〜する」の過去 3 単.gul はこのように使うことで,ほかの動詞の複雑な活用を覚えなくともこれだけで法や時制の変化が代用できる.〕
ここで「走ること running」はどのようにして彼が来たかを叙述している.これは動詞「来た」を修飾しているのであり,このために yn unn の形が用いられている.
ev a grias ughel y lev yn unn leverel ... 彼は……と言いながら大声で泣いた〔「泣きながら言った」のほうが訳としては自然だが,現在分詞になっているのが「言う」であることを明示した.grias は krias の軟音化で,これは英 cry にあたる語なので「泣く」か「叫ぶ」かは曖昧.〕
ev a dheuth yn unn waytya ow gweles 彼は私に会うことを望みながら来た


III. 現在分詞と orth


現在分詞が代名詞目的語をもつとき,ow または owth は orth になり,その代名詞は所有形である〔このことは不定詞につき前著 XIV 課で見た〕.不定詞の変異はその所有形が要請する変異による:
orth ow hommendya 私を紹介すること〔気息音化 hommendya < kommendya ; この ow は動詞小辞 ow⁴ でなく所有代名詞 ow³〕
orth y weles 彼を見ること〔軟音化 weles < gweles〕
orth agan klywes 私たち〔の話〕を聞くこと
orth hy threghi それ (女) を切ること〔気息音化 threghi < treghi〕


IV. 形容詞と副詞の比較


形容詞は a をつけることで比較級を作る;語末子音は二重化し,(適切なら) 硬音化し (hardened),それに先行する母音は短である:
bras [´bra:s] 大きい,brassa [´brassa] より大きい,an brassa もっとも大きい
teg [´tE:g] きれいな,tekka [´tekka] よりきれいな,an tekka もっともきれいな
koth [´ko:θ] 古い,kottha [´koθθa] より古い,an kottha もっとも古い
上で th が二重化するとき tth とつづられることに注意.

よく使われる 4 つの形容詞は不規則な比較級をもつ:
byghan 小さい,le, an lyha
meur 多量の,moy, an moyha
da よい,gwell, an gwella
drog 悪い,gweth, an gwettha または lakka, an lakka
多音節語はときに,また過去分詞はつねに,moy によって比較級を作る:
konnyk 賢い,moy konnyk, an moyha konnyk
比較級と最上級の形容詞はその〔修飾する〕名詞に後続することができ,この場合変異の通常の規則があてはまる:
benyn deg きれいな女性,benyn dekka〔teg, tekka の軟音化,女性単数名詞なので〕
しかしたいていは名詞の前にきて,この場合変異は起こらない:
tekka benyn, an tekka benyn
最上級は名詞の前にも後にもくることができる;女性単数名詞 (または人を意味する男性複数名詞) の後に来るならば,第 2 形変異をしがちである:
an gwella fordh または an fordh wella 最良の道
比較級が moy によって作られるとき,それは名詞に後続するが,変異は起こらない,というのも形容詞が名詞から離れているからである:
an venyn gonnyk 賢い女性
an venyn moy konnyk より賢い女性
比較における「〜より」は ages である (es と短縮されることもある):
Yowann yw kottha ages Peder ジョンはピーターよりも年上である
Yowann yw moy konnyk ages y vroder ジョンは彼の兄よりも賢い
Ages は人称代名詞と組みあわさる〔前著 XIX 課,代名詞的前置詞〕:
agesov vy, agesos jy, agesso ev, agessi hi, ageson ni, agesowgh hwi, agessa i
gwell yw ev agesos jy. 彼は君よりもいい
等位比較 (as ... as ...) には mar² ... avel ... または maga⁵ ... avel ... を用いる:
mar verr avel Yowann ジョンと同じくらい背が低い〔軟音化 verr < berr〕
maga ta avel owr 金と同じくらいよい〔混合変化 ta < da〕
Avel も代名詞と結合する:
avelov vy, avelos jy, avello ev, avelli hi, avelon ni, avelowgh hwi, avella i
mar vras avelli hi 彼女と同じくらい大きい〔軟音化 vras < bras〕
maga koth avella i 彼らと同じくらい年をとっている
しかし,比較が名詞または代名詞とではなく動詞とであるとき,avel は dell になり,第 2 形変異が起こる:
mar dha dell allav 私ができるのと同じくらい上手に〔軟音化 dha < da, allav < gallav〕
maga teg dell welydh 君が見えるのと同じくらいきれいな〔軟音化 welydh < gwelydh〕
副詞の比較はふつう,形容詞の比較級を用いて表される:
ev a vyw lowenna lemmyn 彼はいまやより幸せに暮らしている
ev a skrif gwell es dell wrav 彼は私がするよりも上手に書く〔軟音化 wrav < gwrav〕

jeudi 9 novembre 2017

コーンウォール語入門 (7) 代名詞的前置詞・指示詞・否定文

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


XIX. 代名詞的前置詞


〔Pronomial [sic] prepositions の訳語.そもそもケルト語学の用語の訳語はさほどよく定まっていない気はするが,日本語ではどちらかと言えば「前置詞的代名詞」または短く「前置代名詞」(prepositional pronoun にあたる) のほうが普通だと思うところ,ここは原語の pronominal preposition を尊重してこう訳しておく.英語では「活用 (屈折) した前置詞」(conjugated preposition, inflected preposition) という言いかたもよくする.〕

〔私,君,彼,彼女,私たち,君たち,彼ら,の順に並べる.やはり整然と並んだ表が見たければ本を買ってください.〕

gans「と with」:genev, genes, ganso, gensi, genen, genowgh, gansa.

dhe「へ,に to」:dhymm, dhis, dhodho, dhedhi, dhyn, dhywgh, dhedha.

war「の上に on」:warnav, warnas, warnodho, warnedhi, warnan, warnowgh, warnedha.

heb「なしで without」:hebov, hebos, hebdho, hebdhi, hebon, hebowgh, hebdha.

rag「のために for」:ragov, ragos, ragdho, rygdhi, ragon, ragowgh, ragdha.

yn「の中に,で in」:ynnov, ynnos, ynno, ynni, ynnon, ynnowgh, ynna.

orth「で at」:orthiv, orthis, orto, orti, orthyn, orthowgh, orta.

a「から from」:ahanav, ahanas, anodho, anedhi, ahanan, ahanowgh, anedha.

後倚辞形がしばしば強調のために付け加えられる:
chi ha den ynno ev 家とそのなかにいる男
ev eth hebdhi hi 彼は彼女なしで〔=彼女を伴わずに〕行った
後倚辞を伴う場合,dhymm は dhymmo vy に,dhis は dhiso jy になる:
ev a dheuth dhymmo vy 彼は私〔のところ〕へ来た
hi eth dhiso jy 彼女は君〔のところ〕へ行った


XX. gans と dhe を含む成句


yma gans〔lit. be with〕は「自分とともにある」という意味で「持っている」を,yma dhe〔lit. be to〕は所有の意味で「持っている」を意味する.
yma genev ki 私は犬を持っている (ここに私とともにいる)
yma ki dhymm 私は犬を所有している〔いずれもふつうの日本語なら「飼っている」だが,ここではポイントをぼかさないよう直訳している〕
eus pluvenn genes ? あなたはペンを〔いまここに〕持っていますか
nyns eus gwreg dhymm 私は妻を持っていない〔これも「私には妻がいない」が自然だが,上記と同じ理由.日本語が下手だとか動物や女性の軽視だとかの誤解なきよう.〕
〔しかし英語を経由して have 動詞をもとに説明しているからこういうことになるのであって,コーンウォール語から直接訳せば「私には〜がいる/ある」とするほうが素直かもしれない.なにしろ主語は被所有物「犬が,妻が,ペンが」のほうで所有者が前置詞的代名詞「私に」,そして動詞は yma < bos「いる,ある」なので.〕

過去時制では,yth esa, esa, nyns esa が用いられる:
yth esa ki dhymm 私は犬を持っていた〔=私には犬がいた〕
esa ki dhodho ? 彼は犬を持っていたか〔=彼には犬がいたか〕
nyns esa pluvenn ganso 彼はペンを〔いま〕持っていなかった〔=彼にはペンがなかった〕
これは感情・必要・欲求とともにも用いられる:
yma nown dhymm 私は空腹だ
eus syghes dhis ? 君は喉が渇いているか
yma edhomm dhyn a vara 私たちにはパンが必要だ
yth esa own dhedhi 彼女は怖がっている
ただし「うれしい」と「申し訳ない sorry」は bos の短形を要する:
da yw genev dha weles 私はあなたに会えてうれしい
drog o gensi 彼女は悔やんでいた


XXI. 指示代名詞・形容詞

hemma, ma これ (男)
henna, na あれ (男)
homma, ma これ (女)
honna, na あれ (女)
yw および o の前では,縮約して hemm, henn, homm, honn になる.
henn yw an gwiryonedh あれ〔それ〕は真理だ
henn o teg あれはよい
piw yw homma ? これ〔=この女性〕は誰か
pyth yw henna ? あれは何か
形容小辞 (adjectival particle) として用いられるとき,ma と na の形は後倚辞的に名詞に後続する.
an chi ma この家
an gath na あの猫
名詞が形容詞によって修飾されるとき,指示詞は形容詞に後続する (III 課も参照):
an chi bras na あの大きな家
an gath wynn ma この白い猫
代名詞としての「これら」「あれら」は an re ma, an re na:
an re ma yw da これらはよい
an re na yw drog あれらは悪い
「あるものは…で,またあるものは〜だ」は re ... re erell:
re yw da, re erell yw drog あるものはよく,またあるものは悪い


XXII. 否定文


否定小辞で始まり,それは bos と mos の母音〔で始まる変化形〕の前では nyns, それ以外の場合は ny² である:
ny gar an den ma korev この男性はビールが好きでない
nyns yw mamm lowen 母は幸せでない
nyns ov vy lowen 私は幸せでない
nyns eth ev tre 彼は家に行かなかった〔eth は mos の過去 3 単:XVII 課
ny welsons i an chi 彼らはその家を見なかった〔welsons は gwelsons の軟音化で,gweles の過去 3 複:XVI 課
注意として,主語で〔否定文を〕始めることは可能ではあるがさほど一般的ではない,ただしもし〔そのとき〕それが複数名詞ならば動詞も複数でなければならない:
mebyon vras ny wrons oela 大きな少年たちは泣かない
否定の答えとして,つまり単純な「いいえ」として,ny は bos と mos の母音の前では nag に,それ以外では na² になる:
os ta lowen ? ― nag ov 君は幸せか.いいえ.
esons i omma ? ― nag esons 彼らはここにいるか.いいえ.〔esons は疑問文における ymons の別形:VII 課 (1)〕
以下は bos 以外の動詞を用いた例:
ny wel an vowes an mor 少女は海を見ない
ny welav an mor 私は海を見ない
a welowgh hwi an mor 君たちは海を見るか
na welyn いいえ
ny welyn an mor 私たちは海を見ない


XXIII. 季節・日・月・時刻


〔ほぼ単語の列挙のため省略.〕


以上で本編はすべて終了である.助動詞の活用および語頭子音変異に関する付録もこれを割愛する.

コーンウォール語入門 (6) 未完了・過去・完了

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


XV. bos の未完了時制


この時制の 3 人称単数は,短形 o, 長形 esa である.

すでに見たように,小辞 a はこれら bos の母音で始まる時制とともには用いられない〔このことは X 課で言われた〕.小辞 y は yth に置きかえられ,動詞が句の先頭にくるとき用いられる.短形は叙述的補語のとき用いられ,長形は場所もしくは動作について用いられる:
an den o hir その男は背が高かった
hir o an den
yth esa ev y’n dre 彼はその町にいた
yth esa hi ow kana 彼女は歌っていた
疑問文は単純に動詞を最初に置くことによる,というのも小辞 a がないので:
o hir dha das jy ? 君の父は背が高かったか
esa hi y’n eglos ? 彼女はその教会にいたか
否定小辞は nyns で,否定疑問は a nyns によって作られる:
nyns o toemm an dowr その水は温かくなかった
a nyns o toemm an dowr ? その水は温かくなかったのか


XVI. gweles の過去時制


過去時制は過去において完結した行為を扱う.

コーンウォール語では,過去時制は以下の語尾を動詞の語幹につけることで作られる:
-is, -sys, -as (または -is), -syn, -sowgh, -sons
gwelis 私は見た
gwelsys 君は見た
gwelas 彼/彼女/それは見た
gwelsyn 私たちは見た
gwelsowgh 君たちは見た
gwelsons 彼らは見た
3 単の語尾に -is をもつような動詞には以下のものがある:
  • -el に終わるすべての動詞 (kewsel, ev a gewsis)
  • -i に終わる多くの (しかしすべてではない) 動詞,たとえば dybri「食べる」,gorthybi「答える」,krysi「信じる」,pysi「祈る」,prederi「考える」,synsi「持つ」,tevi「育つ」,tybi「考える」.
ev a welas an ki 彼はその犬を見た
ni a dhybris an bara 私たちはパンを食べた


XVII. kara, mos, dos の過去時制


最初はこれらの動詞の 3 単だけを知っておけばよい.

1) kara は gweles の「規則的な」法則に従い,その過去 3 単は karas である:
ev a garas y das 彼は彼の父を好きだった
prest y karas hi hy hath いつでも彼女は彼女の猫を好きだった
2) mos はきわめて不規則で,その 3 単は eth.これは小辞 a を受けず,小辞 y は yth になる:
an tiek eth tre その農夫は家へ行った〔=帰った〕
yn skon yth eth an den その男はすぐに行った
3) dos も不規則で,3 単は deuth.これは小辞 a を受け,第 2 形に変異する:
ev a dheuth de 彼は昨日来た
myttin y teuth dew dhen 朝に 2 人の男が来た
否定形は:
nyns eth ev 彼は行かなかった
ny dheuth ev 彼は来なかった
疑問形は:
eth ev ? 彼は行ったか
a dheuth ev ? 彼は来たか
そして最後に否定疑問形は:
a nyns eth ev ? 彼は行かなかったか
a ny dheuth ev ? 彼は来なかったか


XVIII. 完了小辞 re


小辞 re² は「完了」(‘perfect’) の意味を過去時制に与える,すなわち I saw のかわりに I have seen にする:
ev a welas y vroder he saw his brother
ev re welas y vroder he has seen his brother〔これらは無理やり日本語で訳しわけようとしてもわかりにくく無益なのでそのままにする〕
mos〔の変化形〕における母音の前ではこの小辞は res になる:
an medhyk eth その医者は行った
an medhyk res eth その医者は行ってしまった
re は bos の b-時制〔語頭が b である変化形のことで,通常なら軟音化で b > v となるところ〕を変異させない.

re は疑問や否定で用いることはできず,そのような場合には正確な意味は文脈から引き出されねばならない:
eth an medhyk ? 医者は行ってしまったか
nag eth, yma ev y’n chi いや,彼は家にいる

コーンウォール語入門 (5) 命令法・数詞・不定詞

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


XII. 2 人称命令法


単数形はほとんどつねに動詞の裸の語幹である:
red dha lyver ! 君の本を読め
mir orth henna ! あれを見ろ
複数では,大部分の動詞は語幹に -ewgh をつける;-ya の動詞では -yewgh をつける:
redyewgh agas lyver ! 君たちの本を読め
mirewgh orth henna ! あれを見ろ
否定では na² を前に置く:
na red an lyver na ! その本を読むな
na vir orth Yowann ! ジョンを見るな
重要な不規則形がいくつかある:
ke !「行け」,deus !「来い」,ro !「くれ」,bydh !「〜であれ」
複数ではこれら 4 つは:
kewgh !  dewgh !  rewgh !  bedhewgh !
助動詞 gul を用いることで命令法を作ることはつねに可能である:
gwra igeri an daras ! 扉を開けろ
na wrewgh poenya ! 走るな
なじみのない動詞について,この方法は難しさを避ける最良の方法かもしれない.「直接」形〔すなわち本来の活用における命令法〕では上記 2 例は次のとおり:
igor an daras !  na boenyewgh !
命令を柔らかにするには,たいてい命令法に mar pleg「よければ if you please」を後続させる:
deus omma, mar pleg ここに来てください


XIII. 基数と序数


基数詞 0–20: mann, onan (unn), dew (diw), tri (teyr), peswar (peder), pymp, hwegh, seyth, eth, naw, deg, unnek, dewdhek, trydhek, peswardhek, pymthek, hwetek, seytek, etek, nownsek, ugens.〔11–19 はだいたい〈1 の位 + dek の変異形〉になっているようだが,その 1 の位が軟 (原則は d > dh),硬 (d > t),混 (d > t) のどの変化をひきおこすかは覚えるしかない.〕

序数詞 1–20: kynsa, nessa, tressa, peswara, pympes, hweghves, seythves, ethves, nawves, degves, unnegves, dewdhegves, trydhegves, peswardhegves, pymthegves, hwetegves, seytegves, etegves, nownsegves, ugensves.〔6 以降はすべて -ves をつけ,そのさい 11–19 ではすべてもとの -k が g になっているだけ.〕

20 以降では hanter-kans「50」,kans (男)「100」,mil (男)「1000」を除いて新しい単語はない.

1 は単独で使うときと数えるときには onan だが,形容詞として使うときは unn である.女性単数名詞を第 2 形に変異させる:
unn den 1 人の男
unn venyn 1 人の女
2 は男性形 dew と女性形 diw をもつ.これらは両方とも名詞を第 2 形に変異させ,これらじしんも定冠詞によって変異させられる〔このことは II 課で見た〕:
dew dhen 2 人の男,an dhew dhen その 2 人の男
diw venyn 2 人の女,an dhiw venyn その 2 人の女
3 は男性形 tri と女性形 teyr をもつ.これらは両方とも名詞を第 3 形〔気息音化:p > f, t > th, k > h〕に変異させるが,定冠詞によって変異させられない:
(an) tri hi 3 匹の犬
(an) teyr hath 3 匹の猫
trysa という形が序数「第 3 の」の,より本来に近い形とみなされるべきである;tressa は nessa から類推によってできた形.

4 は男性形 peswar と女性形 peder をもつ.いずれも変異をきたさない:
peswar ki 4 匹の犬
peder kath 4 匹の猫
5 からは女性形がない (teyr bugh warn ugens「23 頭の牛」のような表現を除く).数えあげられるものが単数でありつづけることに注意せよ.

20 以降はまた同じように始める:21 onan war ugens, 22 dew warn ugens, ..., 29 naw warn ugens.

30 は独立した語でなく,30 deg warn ugens, 31 unnek warn ugens のように表される.

40 は dew-ugens「2 × 20」と表される.つなぎの言葉 ha「と」を用い,41 onan ha dew-ugens, 42 dew ha dew-ugens, ..., 49 naw ha dew-ugens.

そして 50 になると,〔規則的に〕deg ha dew-ugens またはもっと普通には hanter-kans「100 の半分」である.

60 は triugens「3 × 20」,70 は deg ha triugens, 80 は peswar ugens「4 × 20」(cf. 仏 quatre-vingts),90 は deg ha peswar ugens である.100 は kans で,199 まではこれを用いて表せる:
168 kans eth ha triugens
しかしより伝統的には,20 進で 200 まで数えあげる:
168 eth hag eth ugens〔8 + 8 × 20〕
複合数詞では,数えられている物は単数のままであり,数詞の 2 つの部分のあいだに置かれる:
pymp den warn ugens 25 人の男
deg lyver warn ugens 30 冊の本
これは序数詞にもあてはまる:
hy fympes penn-bloedh ha dew-ugens 彼女の 45 回めの誕生日〔hy「彼女の」は気息音化なので p > f〕
数詞の第 2 部分は基数形のままであることに注意.nessa「第 2 の」はまた「次の」の意味をももつ:
ev a drig y’n nessa chi 彼は次の〔=隣の〕家に住んでいる
最後に,形容詞として用いられる基数詞は名詞に先行することに注意:
an tressa dydh 3 日め
an degves den 10 人めの男


XIV. 不定詞


不定詞は助動詞 gul〔「する」〕,galloes〔「できる」〕,mynnes〔「したい」〕とともに用いられる動詞の形である.
my a wra mos 私は行くだろう (shall)〔gul の 3 単現 gwra の軟音化.VII 課で学んだとおり,my「私」だが主語先行なので 3 単になっている.〕
ev a yll gweles 彼は見ることができる〔galloes の 3 単現 gyll の軟音化〕
ni a vynn dybri 私たちは食べたい〔mynnes の 3 単現 mynn の軟音化.注意点は同上.〕
これは動名詞としても用いられる:
ev a gar redya 彼は読書が好きだ
y gana yw teg 彼の歌は上手だ〔kana の軟音化〕
gweles yw krysi 見ることは信じることだ〔「百聞は一見にしかず」の英語表現〕
kales yw dyski 学ぶことは難しい
不定詞の大事な用法は,代名詞が文の目的語であるとき所有詞を伴うものである:
my a vynn y weles 私は彼に会いたい (私は彼の会うこと his seeing を欲する)
ev a yll hy klywes 彼は彼女〔の言葉〕を聞くことができる〔「彼女の聞くこと」〕
強調のために後倚辞形を用いることができる:
my a vynn y weles ev
ev a yll hy klywes hi
不定詞は所有詞の要求に沿って変異することに注意;V 課を見よ.

コーンウォール語入門 (4) 直接話法・疑問文

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


IX. 会話における medhes


この動詞は直接話法を伝えるために用いられる:
yn-medhav 私は言った
yn-medhydh 君は言った
yn-medh ev 彼は言った
yn-medh hi 彼女は言った
yn-medhyn 私たちは言った
yn-medhowgh 君たちは言った
yn-medhons 彼らは言った
注意として,以前の教科書〔具体的に何を指しているのかは不明〕は 1 単と複数形のみしか与えていなかった.伝統的な文章で記録されているのはそれらだけだったからである.〔現在のコーンウォール語はいちど話者が完全に絶えて死語になった (人によっては「なりかけた」) ものを復興させているのでこのようなことが論点になる.このさいとくに参考にされているのが 16 世紀末から 18 世紀にあたる後期コーンウォール語 Late Cornish である.〕
‘Teg yw Morwenna,’ yn-medh ev 「モルウェナはかわいい」と彼は言った
‘Ny allav,’ yn-medh Yowann 「僕はできない」とジョンは言った
‘Da yw henna,’ yn-medhons i 「それはいい」と彼らは言った
動詞 medhes は間接話法を伝えるのに使うことはできない;つまり「彼は〜ということを言った」は ev a leveris ... と訳される.


X. 疑問文


疑問の小辞は a², 否定疑問のは a ny² である:
a gar an tiek y gi ? その農夫は彼の犬を愛しているか〔gi は ki の軟音化〕
a yll Yowann dos ? ジョンは来られるか
a ny vynn ev dybri ? 彼は食べたくないのか〔vynn は mynn の軟音化〕
しかし,この小辞は母音で始まる bos, mos の時制とともには用いられない:
yw henna gwir ? それは本当か
a y das ev ? 彼の父は行くところか
これらの時制を伴う否定疑問では ny は nyns になる:
a nyns yw henna gwir ? それは本当ではないのか
a nyns a Yowann ? ジョンは行くところではないのか
その他の疑問詞:

(1) py ?「何の」「どの」は名詞とともに形容詞的に使われる:
py lyver yw henna ? それはどの本か
py den a dheu hedhyw ? どの人が今日来るのか
(2) pyth ?「何」は名詞がないとき代名詞的に使われる:
pyth yw hemma ? これは何か
以下のように場所が問題であるとき,bos の長形を用いねばならない;そして yma および ymons はそれぞれ eus か usi および esons になる:
py den eus y’n chi ? どの人がその家にいるのか
pyth eus war an voes ? 何がそのテーブルの上にあるのか
このことは疑問が動作についてであるときにもあてはまる:
pyth usi hi ow kana ? 何を彼女は歌っているのか

(3) pandra ?「何」は動詞とともに使われる:
pandr’a gar ev ? 彼は何を好きか
pandr’a vynnons ? 彼らは何をしたいのか

(4) piw ?「誰」は,場所または動作が関係しているかどうかに応じて,bos の長形または短形を要求する:
piw yw henna ? あれは誰か〔短形〕
piw eus y’n chi ? その家にいるのは誰か〔場所にもとづく長形〕

(5) ple ? (母音の前では ple’th ?)「どこ」はかならず場所に関係するので,bos の長形をとる.これは py le ?「どの場所」の縮約であって,yma と組みあわさって ple’ma ?「彼/彼女/それはどこか」,ymons とともに ple’mons ?「彼らはどこか」を作る:
ple’ma dha gi ? 君の犬はどこか
ple’mons i hedhyw ? 彼らは今日どこにいるか
ple ? は bos の b- で始まる時制形を第 5 形に変異させる:B > F:
ple fydh hi hedhyw ? 彼女は今日どこにいる予定か
ple fydhons i ? 彼らはどこにいる予定か


XI. 疑問文への答え


肯定の答えは,鍵となる動詞を適切な人称・時制・数における基本形もしくは非変異形で繰りかえすことで作られる,ただし後倚辞はなし:
yw Morwenna lowen ? ― yw モルウェナは幸せか.はい.
usi Yowann y’n chi ? ― usi ジョンは家にいるか.はい.
a vynnons i dos ? ― mynnons 彼らは来たがっているか.はい.
否定の答えは na², または bos と mos の母音〔で始まる変化形〕の前では nag を前に置く:
yw Morwenna lowen ? ― nag yw
usi Yowann y’n chi ? ― nag usi
a vynnons i dos ? ― na vynnons
この用法は動詞を活用させるとき面倒になりがちなので,会話においては助動詞 gul の適当な形を代用する傾向にある:
a garas ev an vowes ? ― gwrug 彼はその女の子を好きだったか.はい.
すばやい口語的会話においては「はい」と「いいえ」のための単語を導入したい傾向に抗うことは難しい;後期コーンウォール語 (Late Cornish) の慣用はこれらについて ya [´I.a] と na [´na:] を示唆している.

コーンウォール語入門 (3) 動詞の現在時制

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.


VII. bos, gweles, mynnes, galloes の現在時制


(1) bos「〜である」

短形と長形〔がある〕.
私   ov (vy), esov (vy)
君   os (jy), esos (jy)
彼   yw (ev), yma* (ev)
彼女  yw (hi), yma* (hi)
私たち on (ni), eson (ni)
君たち owgh (hwi), esowgh (hwi)
彼ら  yns (i), ymons* (i)
* 疑問文と否定文では,yma は eus または usi, ymons は esons に置きかわる.

短形を用いるのは,動詞の補語が主語の説明,すなわち名詞または形容詞であるとき:
den koth ov vy 私は老人だ
skwith yns i 彼らは疲れている
長形を用いるのは,補語が主語の場所を言う,または何をしているかを言うとき:
yma Yowann y’n chi ジョンは家にいる
ymons i ow koska 彼らは眠っている

(2) gweles「見る」

これは母音が変化することのないかなり規則的な動詞の例.不定詞は 2 つの部分,語幹 gwel- と語尾 es とからなる.ほかの語尾は時制と人称を示す.現在時制は:
gwelav 私は見る
gwelydh あなたは見る
gwel 彼/彼女/それは見る〔性による違いがない〕
gwelyn 私たちは見る
gwelowgh あなたたちは見る
gwelons 彼らは見る
gweles に生じる変異は:
第 2 形:小辞 a, na, ny, re〔のあとで〕GW > W
第 4 形:小辞 ow〔のあとで〕GW > KW
第 5 形:小辞 y〔のあとで〕GW > HW
単純な肯定文において,主語が動詞に先行するときは 3 人称単数形のままで,小辞は a² になる:
my a wel an chi 私はその家を見る
i a wel an mor 彼らは海を見る〔いずれも wel が定動詞で,gwel の軟音化したもの〕
目的語が動詞に先行するとき,主語に一致しなければならない:
an chi a welav vy 私はその家を見る
an mor a welons i 彼らは海を見る
副詞 (あるいは主語〔と目的語?〕以外のなんでも) が文頭に置かれるとき,小辞は y⁵ になり動詞はその主語に一致せねばならない:
omma y hwelav an chi ここで私はその家を見る
ena y hwelons i an mor そこで彼らは海を見る
これらの形のどれが使われるかは伝えたい強調点しだいであり,原則として文頭に来るものはなんであれ強調を受ける.このため my a wel an chi は「私が家を見る」であるのに対し,an chi a welav vy は「私が見るのはである」ことを含意する.第 3 の形は先行する副詞または副詞句とともに使われる.

(3) gul「する」,mynnes「したい」,galloes「できる」

これらの完全な活用と用法の手引きについては助動詞の節を見よ.


VIII. kara, mos, dos の現在時制


初級者は 3 人称単数だけを知っていればよい.

(1) kara「好きである」

たいていのコーンウォール語の規則動詞と同様,3 単現は動詞の裸の語幹である (上記 gweles からの gwel-).
したがって kara のその形は kar「彼/彼女/それは好きである」
これに起こる唯一の変異は第 2 形 K > G, というのも第 4 形と第 5 形は K に影響しないので.〔以下,日本語として不自然だが目的格をわかりやすくするため「を」を使う.〕
Yowann a gar y vroder ジョンは彼の兄を好きである
または (副詞) + y kar Yowann y vroder〔所有代名詞「彼の」の y は軟音化で,もとの形は broder.一方 1 つめの y は動詞小辞で混合変化なので gar にはなっていない.〕
目的語を最初に置く形は両義的である,というのも:
y vroder a gar Yowann
は「彼の兄はジョンを好きである」とも読めるから.

もう 2 例:
hi a gar hy hath 彼女は彼女の猫を好きである
an fleghes a gar aga mamm その子たちは彼らの母を好きである
名詞「子どもたち」は複数なのに動詞が単数のままであることに注意.これは主語が動詞に先行するときつねにそうである〔上の VII 課で見たとおり〕.

(2) mos「行く」

mos はきわめて不規則な動詞.3 単現はただの a.

これは小辞の a を受けつけず,母音の前では小辞の y は yth になる:
an tren ma a dhe Bennsans この電車はペンザンス〔英 Penzance〕へ行く
dhe Loundres yth a an tren na あの電車はロンドンへ行く

(3) dos「来る」

dos も不規則動詞で,3 単〔現〕は deu.

mos と違い,これは小辞 a をとりえて,変異は以下のとおり:
第 2 形:小辞 a〔のあとで〕D > DH
第 4 形:小辞 ow〔のあとで〕D > T
第 5 形:小辞 y〔のあとで〕D > T
それゆえ:
mamm a dheu hedhyw 母は今日来る
hedhyw y teu mamm
gwav a dheu 冬が来る
yma gwav ow tos 冬が来るところだ〔VI 課で見た bos + 現在分詞〕

(4) gul「する」,mynnes「したい」,galloes「できる」〔について助動詞の節を見よということがなぜか繰りかえされている〕

コーンウォール語入門 (2) 代名詞・現在分詞

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は前回を参照.


V. 代名詞:人称,所有,接尾形


人称代名詞,所有代名詞,接尾形〔の順に書く.上 3 つにつき接尾形は 2 通りある.ちゃんと並んだ表は上記リンクにある本を買ってください.〕
私   my, ow³, vy, ma
君   ty, dha², jy, ta
彼   ev, y², ev, va
彼女  hi, hy³, hi
私たち ni, agan, ni
君たち hwi, agas, hwi
彼ら  i, aga³, i
〔所有形についた上つき数字は後続する語を変異させることを表す.第 2 形は軟音化,第 3 形は気息音化であった.〕

agan「私たちの」と agas「あなたたちの」だけは変異をひきおこさない:
ow thas 私の父
dha das 君の父
y das 彼の父
hy thas 彼女の父
agan tas 私たちの父
agas tas 君たちの父
aga thas 彼らの父
接尾 (suffixed) もしくは「後倚辞」(‘enclitic’) 代名詞は,強調のためもしくは混乱を避けるために使われるが,それ以外の場合は任意である:
ow thas vy yw hir 私の父は背が高い
mes dha das jy yw berr しかし君の父は背が低い〔「私の ow ... vy」と「君の dha ... jy」を対比させるため強調している〕
最初の列にある接尾形はしばしば強勢が置かれ独立した語として書かれるが,第 2 列のそれ (すなわち ma, ta, va) は強勢がなく先行する語にあわさる.hi「彼女は」と hy「彼女の」にはつづりと発音の違いがあるので注意:
hi a wel hy hath hi 彼女は彼女の猫を見る
肯定文で (だけ) は,人称代名詞はすべて動詞の 3 人称単数とともに使われる:
my yw skwith 私は疲れている
i a vynn gweles an chi nowydh 彼らはその新しい家を見たがっている
しかしこのことは代名詞が動詞に先行するときのみあてはまる.


VI. 現在分詞


現在分詞は動詞の不定詞の前に小辞を置くことで作られる.子音の前では ow⁴〔4 は硬音化〕を,母音または h の前では owth を置く:
kana, ow kana 歌う
gwari, ow kwari 遊ぶ
eva, owth eva 飲む
真の分詞と動名詞 (verbal noun) とを区別するよう注意せねばならない:
yma tas ow redya  父は読書している (分詞)
tas a gar redya 父は読書が好きである (動名詞)
be 動詞 bos の「長形」は現在分詞とともに用いられる:
yma an tiek ow konis y has 農夫は彼の種をまいている
yth esov vy ow tos 私は来ている
nyns usi Yowann owth eva y gorev ジョンは彼のビールを飲んでいない
ha(g)「そして」が現在分詞とともに使われるとき,「〜するとき,〜するあいだ」の意味をもつ:
hag ev ow redya 彼が読書していたとき (あいだ)
ha my ow mos dhe Borthia 私がセント・アイヴス〔英 St. Ives = Porth Ia〕に行っていたとき
この使いかたは bos の現在分詞を要求するそれ以外の文において便利で,このとき〔bos の現在分詞〕は省略しうる:
ev a brenas lyver hag ev yn Truru 彼はトゥルーロ (Truro) にいたとき本を買った
ha hi yn Truru, hi a welas Yowann トゥルーロにいたとき彼女はジョンに会った

コーンウォール語入門 (1) 名詞・定冠詞・形容詞・所有

John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.

例によって勝手に言葉を補う場合は亀甲括弧〔……〕で書く.ケルト諸語で一般的に使う軟音化・気息音化・硬音化・混合変化を本書では順に State 2, 3, 4, 5 と言っているが,番号ではわかりづらいので補足文中では通常の用語を使う.

本書において単語のつづりかた (正書法) はいわゆる Kernewek Kemmyn が用いられているようであるが,これはだいたいにおいて Standard Written Form と一致していると思う.また,残念ながら発音に関する説明は本書にいっさいない.


I. 名詞


名詞は男性または女性で,中性はない.生物の場合は自然の性に従うが,無生物の場合はほとんど法則なし.多音節語で -enn に終わる名詞はすべて女性.性は暗記するしかない.

複数形の作りかたにもほとんど法則はないが,多くは -ow か -yow で終わる.英語からの借用語は -s または -ys で複数を作るが,最近ではむしろ -ow に置きかわる傾向がある.
dowr, dowrow 水
chi, chiow 家
gorhel, gorholyon 船
klas, klasys または klasow クラス
いくつかの単語は内的変化する〔内的変化 internal change というのは変な言葉だが,母音交替のようなことか〕.
yar, yer 鶏
margh, mergh 馬
lowarn, lewern 狐
edhen, ydhyn 鳥
tiek, tiogyon 農夫
性と複数形は暗記すること.


II. 定冠詞


定冠詞は an.これは女性単数名詞と,人を表す男性複数名詞を第 2 形 (State 2) に変異 (mutate) させる〔軟音化 lenition, soft mutation のこと〕.女性複数と,物事を表す男性複数は変異しない.
mamm, an vamm 母
krows, an grows 十字架
gwydhenn, an wydhenn 木
an tiek, an diogyon 農夫
an pons, an ponsow 橋〔男性複数だが物なので変異しない〕
少数の例外と奇妙な変異があり注意に値する:
mergh, an vergh 馬
meyn, an veyn 石〔以上 2 つは人間でないのに軟音化する例〕
dydh, an jydh 日 (day)〔やばい〕
dew, an dhew 2 (男)〔「男 2 人」なら規則どおり.物でもということか〕
diw, an dhiw 2 (女)
dor, an nor 地,世界〔やばい 2〕


III. 形容詞


コーンウォール語では形容詞はふつう名詞に後続するが,少数の例外もあり,とくに hen「古い,年老いた」と tebel「悪い」である.形容詞が名詞に先行するとき,名詞を第 2 形に変異させる:
chi bras 大きな家
an den koth 年老いた男
an hen borth 古い湾
an debel venyn 邪悪な女
女性単数名詞と人の男性複数はそれら〔を修飾する後続〕の形容詞を変異させる.これはそれらじしんが変異しない場合でもそうである:
benyn deg かわいい女性
an venyn deg そのかわいい女性
tiogyon dha よい農夫たち
an diogyon dha そのよい農夫たち
形容詞は名詞から指示詞を引き継ぐ〔引き継ぐあるいは乗っとる take over という言いかたはピンとこないが,要するにいちばん外側に置かれるということか〕:
an chi ma この家
an chi koth ma この古い家
複数の形容詞がある場合,最後のものが指示詞を受ける:
an chi koth bras ma この大きな古い家
複数の形容詞があるとき,最初のものだけが変異する:
an wydhenn goth bras ma この大きな古い木
形容詞は複数形を作らない:
an chi koth その古い家
an chiow koth その古い家々
-s と -th に終わる名詞は,女性である場合も,それらを修飾する形容詞が k-, p-, t- で始まるときこれを変異させない:
an eglos teg きれいな教会
an gath plos 汚い猫〔gath は cath の軟音化〕


IV. 所有


コーンウォール語で所有は,所有されるものを最初に置き所有者を後続させる:
ki an tiek その農夫の犬
chi ow mamm 私の母の家〔ow「私の」は次の V 課で〕 
定冠詞および所有詞が現れるのは所有者の前であり被所有物のではないことに注意.

所有者が不定のとき,冠詞はない:
ki tiek ある農夫の犬
keun tiogyon 農夫たちの犬たち
同じ規則はより遠い〔=間接的な〕所有状況にもあてはまる:
chi mab an tiek その農夫の息子の家
見てのとおり語順は英語の逆であり定冠詞は 1 度だけ現れている.〔-’s のような語尾変化や of のような前置詞もいらず,ただ後ろに並べるだけ.あたりまえと言えばあたりまえだがウェールズ語と同じである.〕