John F. Collins, A Primer of Ecclesiastical Latin, The Catholic University of America Press, 1985 をもとにまとめた勉強メモ.諸注意は第 1 課の冒頭に書いたものを踏襲する.前回までのエントリ:第 1 課,第 2 課,第 3 課,第 4 課,第 5 課,第 6 課.
36. 現在直説法受動態:全 4 活用
どの他動詞も受動態になりうる.現在直説法受動態は現在幹に受動態人称語尾を加えることで作る.
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1 人称 | -or (-r) | -mur |
2 人称 | -ris, -re | -minī |
3 人称 | -tur | -ntur |
注
- もう 1 つの 1 人称単数語尾 (-r) は現在直説法では用いられない.
- 2 人称単数では -ris も -re も両方見られる.
第 1 活用 laudō, laudāre, laudāvī, laudātus「ほめる」.現在不定詞 laudāre, 現在幹 laudā-. laudor, laudāris/laudāre, laudātur; laudāmur, laudāminī, laudantur.
注
- 2 人称単数の形の一方は現在不定詞とつづりが同一である.
- 語尾 -ntur の前で幹母音は短くなる.
第 3 活用 ‘-ō’ 型 dūcō, dūcere, dūxī, ductus「導く」.現在不定詞 dūcere, 現在幹 dūce- > dūci-, dūcu-. dūcor, dūceris/dūcere, dūcitur; dūcimur, dūciminī, dūcuntur.
第 3 活用 ‘-iō’ 型 capiō, capere, cēpī, captus「とる,受けとる」.現在不定詞 capere, 現在幹 cape- > capi-, capiu-. capior, caperis/capere, capitur; capimur, capiminī, capiuntur.
注.すべての第 3 活用動詞で,2 人称単数形は本来の幹母音 (-e-) を保つ.
第 4 活用 audiō, audīre, audīvī, audītus「聞く」.現在不定詞 audīre, 現在幹 audī- (audiu-). audior, audīris/audīre, audītur; audīmur, audīminī, audiuntur.
37. 人の行為者の奪格
奪格は人を表す名詞とともに使われ,受動態にある動詞の行為者 (doer) ないし動作主 (agent) を表す.この構文ではかならず前置詞 ā (ab, abs) が使われる.
Nostra peccāta ā Chrīstō dēlentur. 「私たちの罪はキリストによって贖われた」
38. 若干の形容詞に伴う奪格
形容詞 dīgnus, -a, -um「(の) 価値がある」,indīgnus, -a, -um「(の) 価値がない」,plēnus, -a, -um「(で) いっぱいの」は奪格を支配する.
Puer est praemiō dīgnus (indīgnus). 「その少年は報いられるに値する」
Terra est glōriā Deī plēna. 「地は神の栄光に満ちている」
語彙 (抄)
Dīcō は間接目的語の与格か ad + 対格のどちらかをとる:dīcō populō, dīcō ad populum. 「するよう言う」の意味では与格 + 不定詞をとる:dīcit puerō operāre. 受動態では「呼ばれる」の意で,コピュラ動詞と等価で述語主格をとる:Petrus dīcitur pāpa「ペトロは教皇と呼ばれる」[同様に,efficiō は受動態ではコピュラとして働きうる:Petrus efficitur pāpa. ‘ペトロは教皇にされる = なる’].複合動詞 benedīcō, maledīcō は与格か対格をとりうる:benedīcit puerō/puerum「彼はその少年を祝福する」.
Anima の与格・奪格複数は -ābus で,これは animus の与格・奪格複数 animīs との混同を避けるためである.第 2 変化名詞と語基が同一の第 1 変化名詞はどれもこうした代替的な語尾を用いることがある.
Cārus「親愛な dear, 愛される beloved」はその意味が与格によって補われることがある:cārus erat Marīae「彼はマリアに愛されていた」.
奪格との用法に加えて,dīgnus, indīgnus, plēnus は属格をとることがある:plēna est grātiā/grātiae「彼女は気品に満ちている」.
Ūnus はときに不定冠詞 ‘a, an’ と事実上等価である.
Jēsūs の変化は独特である;この形〔Jēsūs, Jēsū, Jēsū, Jēsūm, Jēsū, 呼格 Jēsū〕は特別に記憶せねばならない.
Anima の与格・奪格複数は -ābus で,これは animus の与格・奪格複数 animīs との混同を避けるためである.第 2 変化名詞と語基が同一の第 1 変化名詞はどれもこうした代替的な語尾を用いることがある.
Cārus「親愛な dear, 愛される beloved」はその意味が与格によって補われることがある:cārus erat Marīae「彼はマリアに愛されていた」.
奪格との用法に加えて,dīgnus, indīgnus, plēnus は属格をとることがある:plēna est grātiā/grātiae「彼女は気品に満ちている」.
Ūnus はときに不定冠詞 ‘a, an’ と事実上等価である.
Jēsūs の変化は独特である;この形〔Jēsūs, Jēsū, Jēsū, Jēsūm, Jēsū, 呼格 Jēsū〕は特別に記憶せねばならない.