jeudi 7 avril 2022

水谷『古典ギリシア語初歩』練習問題解答 (3)

水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店、1990 年) の練習問題の解答例。このページでは第 9 課から第 12 課までを扱う。



第 9 課 第 3 変化名詞:子音幹,限定の対格および与格


練習 9


1. 感謝は感謝を生む。〔「好意は好意を」でもよい。〕

2. 老人は 2 度子ども (である、になる)。〔本当の幼少期と、老年になって世話が必要になった時期のこと。εἰσίν「〜である」または γίγνονται「〜になる」省略。〕

3. 海も女も激情において (=怒ったときには) 同一のものである。〔ὀργῇ は限定 (観点) の与格。主語は 2 つの女性名詞だが ἴσον は中性単数なので、形容詞ではなく名詞用法。〕

4. おまえは耳においても心においても目においても盲目である。

5. ギリシア人たちはギリシアから冬のあいだに逃げた。

6. ある者らは金銭によって説得され、またある者らは言葉によって (説得される)。〔受動態みたいに訳したが、主語はむろん χρήματα と λόγοι であり、2 つの τούς が目的語である。これは定冠詞の代名詞的用法であり、§19.5 で述べられた ὁ μὲν ... ὁ δὲ ... の男性複数対格版。もっと自然な日本語にするなら「金銭で動く者もいれば言葉で動く者もいる」といったところか。〕

7. 老人たちにとってさえ知恵を学ぶことはよいことである。〔やはり ἐστίν が省略されており、σοφὰ μανθάνειν イコール καλόν という文。〕

8. 悪い希望は、ちょうど悪い案内人のように、過ちへと導いていく。

9. クセルクセースは鞭でヘッレースポントスを打つことを命じた。〔第二次ペルシア戦争のおり、行軍のためヘレスポントス海峡に架けた橋が嵐でめちゃめちゃになったさいにそうしたという。「ところが架橋が終り通路が出来上った直後、猛烈な嵐が起って完成したばかりの橋をことごとく破壊しバラバラにしてしまった。その知らせをうけたクセルクセスは、ヘレスポントスに対して大いに怒り、家臣に命じて海に三百の鞭打の刑を加え……」(松平千秋訳、岩波文庫版下巻 39 頁)。〕

10. 夜は盗人たちのものであるが、光は真実のものである。


第 10 課 第 3 変化名詞:子音幹(つづき),母音融合を行う第 1・第 2 変化形容詞


練習 10


1. 1 日は 1 年の短い一部分である。

2. 火が黄金を (判定する) ように、危機が友人たちを判定する。〔「火が黄金を試す」という表現は ignis aurum probat というラテン語の形でも知られている。炎に耐えることによって本物の黄金が証明されるように、危機においても残るのが本当の友人ということ。この本では καιρός の語義が「好機」としか与えられていないが、これではまずい。καιρός は好都合・不都合を問わず重大な機会や局面のこと。〕

3. 真理の言葉は単純である。

4. 青銅が姿の (=姿を映す) 鏡であり、酒が心の (鏡)。〔冠詞がないので主述は逆にして「姿の鏡は青銅だが、心の (鏡) は酒である」とも訳せる。〕

5. 真実を言うことは自由人の (務め) である。

6. 壁の高さと川の深さが兵士たちを阻んだ。

7. 教育とは黄金の冠に似ている;名誉をもつとともに多大の出費もかかるから。〔「名誉をもつ」というのは少々直訳すぎるが、τῑμὴν ἔχειν とは「尊敬を受ける」の意。〕

8. マラトーンでの戦いにおいて君たちの父たちは少数だったが勇敢だった。〔もちろん日本語は「マラトンの戦い」でいいが、細かいことを言えば μάχῃ が与格なのでこれが ἐν の目的語であり、τῇ Μαραθῶνι は与格だけで場所「マラトンで」を表している。〕

9. なぜなら神は木の壁を信ずるようテミストクレースに命じたから。〔デルポイの神託に下されたこの不明瞭な表現は、文字どおり「木造の市壁」にて籠城することと解することもできたが、テミストクレスはこれを「船」と解してサラミスの海戦にてペルシア軍を撃退した。〕

10. おおソローンよソローンよ、汝らギリシア人たちはつねに子どもであって、老いたるギリシア人はいない。〔みな精神が若々しいからということ。ἐστε が 2 人称複数であるから、Ἕλληνες は隠れた主語「汝ら」に同格の補語。最後の οὐκ ἔστιν という 3 単は (非) 存在を表すものととる (アクセントについては §52.4 を見よ)。〕


第 11 課 第 3 変化名詞:母音幹,関係代名詞


練習 11


1. 神官たちは神々に牛たちを捧げた。

2. 誰であれ財産と理性 [分別] をもつ者は幸いである。

3. 王は妻を美しいと思っている、と彼は言った。〔間接話法の二重の入れ子。「妻」か一般の「その女」かは文脈によるので、この文だけでは判断しようがない。〕

4. 市民たちが公正であるような国家は盤石である。

5. 人間は本性において政治的な動物である。

6. 私たちが見ているところの友人を私たちは信ずる。〔ᾧ の与格は先行詞 τῷ φίλῳ に牽引された形で、理屈としては対格 ὅν であるべきところ。〕

7. アテーナイ人たちの町には立派な城砦があった。

8. なんとなれば国とは人々であって、人々ぬきの市壁や船団ではない。

9. スピンクスは女の顔、獅子の胸と尾、鳥の翼をもっていた。〔μὲν ... δὲ ... の対比の感じをちゃんと出すなら「顔は女だが、胸と尾は獅子、翼は鳥のものだった」のように訳せる。εἶχε は ἔχω の未完了過去。〕

10. 時間はそれのなかに好機があるものだが、好機はそれのなかにわずかな時間しかないものである。〔οὐ πολύς は緩叙法 (litotes) で、文字どおりには「多くない」だが実際には「非常に少ない」という意味。〕


第 12 課 指示代名詞,強意代名詞 αὐτός


練習 12


1. 友人とは何か。ほかの [もう 1 人の] 自分自身である。

2. ほかのものはほかの人たちの気に入る。〔人の好みはそれぞれということ。「ほかの」という訳語では理解しにくいが、「べつのものはべつの人たちに」ならもう少し通りやすい。あるいはそれこそ「それぞれの」と訳してしまってもかまわない。田中・松平 LXX 課和訳 1. の注をも参照。〕

3. そういうことを彼は言ったが、行ったのは次のことだった。〔言行不一致。〕

4. アポッローンは彼に、犠牲を捧げるべきところの神々を託宣した。〔αὐτῷ「彼に」は神託を求めたクセノポンを指す。答えた内容が ἀνεῖλεν の直接目的語であるから、θεοῖς は論理上 θεούς であるべきところ、後ろの関係代名詞 οἷς に引かれた逆の牽引を起こしていると考えられる。ἔδει の未完了は主文のアオリストに対する時制の一致で、過去における現在を表す。〕

5. 同じ諸原因からつねに同じことごとが結果するわけではない。

6. この若者たちはあの女を信じたがらない。

7. それらのことのあとで、詩人みずからが奴隷たちに、あの竪琴を彼女の家へと運ぶことを命じた。

8. われわれのうちの各人は、(みずからが) その点で賢いところの事柄においては優れているが、他方その点で無知であるところの事柄においては劣っている。〔注のとおり文中の対格、具体的には ταῦτα = ἅπερ と ἅ = ταῦτα の 4 つがすべて限定の対格と解する。主語は ἕκαστος ἡμῶν であって、したがって残る ἀγαθός, σοφός, ἀμαθής, κακός が男性単数主格であるのはこの人を形容しているのである。〕

9. 同じ両親の子どもたちにしばしば同じ性格があるわけではない。〔τοῖς ... παισί は所有の与格 (§55)。〕

10. かつてアテーナイの市民であったドラコーンは、かくも賢く公正であったので、アテーナイ人たちは彼が法律を書くことを望むほどだった。しかし彼が書いた法律は厳しかった。というのもその法律にはただ 1 つの罰、死 (刑) だけがあったのだ。それゆえアテーナイ人たちは、ドラコーンの法律は人間のものではなく竜 (ドラコーン) のものだ、と言っていた。

水谷『古典ギリシア語初歩』練習問題解答 (2)

水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店、1990 年) の練習問題の解答例。このページでは第 5 課から第 8 課までを扱う。



第 5 課 ω 動詞:直説法能動相現在および未来


練習 5


1. 詩人たちはムーサたちに仕える。〔ギリシア語の現在は形のうえで進行相を区別しないので「仕えている」でも可。以下とくに断らない。〕

2. 私たちはつねに友人たちの言葉を信じる。

3. 裁判官たちは正義を追求するだろう。

4. 諸法をアテーナイ人たちは石に書く [刻む]。

5. 苦労は苦労に苦労を運ぶ。

6. 贈り物は神々をも説得するだろう。〔未来では θ が消えることに注意。今後どんどん、活用形から現在形 (辞書形) を見抜くことが難しいような例が増えてくるので、そういうとき辞書をちゃんと引けるために変化の仕組みを覚えねばならない……というのも今は昔の話で、いまどきは Wiktionary でも変化形をじかに検索すればそのまんま見つかってしまうのだが、理想的にはしっかり理解して覚えましょう。〕

7. よい人はよい蔵からよいものを取り出し、悪い人は悪い蔵から悪いものを取り出す。〔マタイ 12:35。ここで蔵にたとえられているのはもちろん心のことである。〕

8. 賢い弟子たちを教育することは容易であろう。

9. その若者は将軍の馬を平野を通って連れていくだろう。

10. 兵士たちはその村から逃げたがっている。


第 6 課 ω 動詞:直説法能動相未完了過去およびアオリスト,不定詞を用いた間接話法


練習 6


1. 戦いのあとで兵士たちはアテーナイへ逃げていった。〔§40 で触れられているとおり、未完了過去は過去における起動相ともとれるので「逃げはじめた」も可。〕

2. ナウシカアーとその侍女たちは海のそばで鞠で遊んでいた。〔オデュッセウスが旅の終盤にパイアケス人の島にたどりつき、王女ナウシカアと出会う直前の場面。〕

3. 人々はよき友人たちをもっていることはすばらしいことだと考えている。〔νομίζουσιν の後にあるが οἱ ἄνθρωποι は主格なので主文の主語 (=考える主体) である。考えている内容は (不定詞なので形がわかりにくいが) ἔχειν が中性名詞扱いの対格主語であり、καλόν が述語でそれに一致した中性単数対格になっている。〕

4. 賢い人たちは死は眠りであると考えている、と彼は言った。〔二重の入れ子の間接話法。主文の動詞は ἔφη なので主語は 3 人称単数 (だから「彼女」でも可)。言った内容の主語が τοὺς σοφούς であり、その人たちが考えている内容が τὸν θάνατον = ὕπνον ということ。〕

5. 彼は (自分が) 詩人ではなく詩人たちの裁判官 [判定者] なのだと言った。〔§41 は説明不足。不定詞の主語が主文と同じときは現れないと書いているが、このとき見えない主語と述語はじつは対格ではなく主格に置かれる。それゆえ間接話法の引用部で εἶναι が主語と結びつけている述語 ποιητής および κριτής は主格になっているのである。〕

6. その先生は長い手紙を弟子に書く、と彼は言う。

7. 博学は理性 [分別、知性] をもつことを教えない。〔ヘラクレイトスの言葉。ここで πολυμαθίᾱ「博学」と称するのは知識をたくさん蓄えていることであり (πολυ-「多く」+ μαθ- (μανθάνω「学ぶ」の語根))、それがただちにヌースには導かないということ。耳の痛い話である。〕

8. 主人はその奴隷に子どもたちを見守ることを命じた。〔τὸν δοῦλον と τὰ παιδία はともに対格なので逆にとることも無理ではないが、それでは語順が錯綜しすぎるので、やはり ἐκέλευσε に近い「奴隷」が命じる対象、φυλάξαι と隣りあう「子どもたち」が守る対象ととるのが自然。もちろん文意から考えても当然そうなるべきだろう。〕

9. ソークラテースは裁判官たちに嘆願をせず、(かの) 危険を冒していた。〔注にある cognate object とは日本語では同族目的語といい、「歌を歌う」や ‘sleep a sound sleep’ (熟睡する) のように、動詞が同じ語根の目的語をとること。ここで定冠詞つきの同族目的語を重ねている点には、「われわれのよく知るあの」、避けることもできた死刑へと導くことになる例の危険、という含みを読みとることもできる。〕

10. 平和は農夫を岩 (ばかりの不毛な土地) のなかでさえよく養うが、戦争は (農夫を) 平野においてさえ悪く (養う)。〔ここでギリシアの地勢を思いおこすことも無用ではなかろう:「土地は山がちで、平地の部分はたいへんすくなく、高い山と山とのあいだに小さな平野が点てんとちらばっているといったほうがよいかもしれません。〔……〕ギリシアの土地は、山がおおく、石灰岩質の土壌なので、肥沃だとはいえません。それに傾斜地がおおいので、土が雨に流されてしまうのです」(高津春繁・高津久美子『ギリシア神話』299–300 頁。高津春繁による巻末解説から)。〕


第 7 課 ω 動詞:直説法能動相第 2 アオリスト,結果文,時の表現


練習 7


1. ほんの数日のうちにギリシアは自由になるだろう。

2. 逃げないほどに彼はこのように勇敢だった。〔主語は明示されていないが述語 ἀγαθός が男性形なので「彼」である。〕

3. 川は兵士たちが渡るのを妨げるほどに激しかった。

4. 限りない雪が降って、武器をも寝ている男たちをも覆い隠した。〔χιών も ἄπλετος も無冠詞であって結びつきがあまり緊密でないから、この形容詞はむしろ述語的・副詞的にとって「雪が際限なく降った」のように訳すこともできると思う。〕

5. ダイダロスの息子イーカロスは海に落ちて死んだ。

6. 世界とは舞台であり、人生とは (そこへの) 登場である。君は来て、見て、去った。

7. ペルシア人たちは太陽と月と大地と風とに犠牲を捧げていた [捧げたものだった]。〔過去の習慣を表す未完了過去。〕

8. テミストクレースは艦隊を信頼するようアテーナイ人たちを説得した。

9. 隷属への道は快楽を通って続いている。〔ἡ εἰς τὴν δουλείᾱν は同じ性数格の定冠詞によって ἡ ὁδός を修飾することを明示している。前置詞句を内側に括って ἡ εἰς τὴν δουλείᾱν ὁδός とも言えよう。〕

10. 川に沿って兵士たちは食糧とぶどう酒とに満ちた多くの村々を発見した。その場所で彼らは 3 日間とどまった。


第 8 課 前接辞と後接辞,疑問代名詞と不定代名詞,動詞 εἰμί と φημί,所有の与格


練習 8


1. 私たちは (自分たちが) 哲学者であると言う。

2. キューロス (の麾下) には勇敢な兵士たちがいた。

3. 戦争において 2 度過つことはできない。〔1 度めの失敗で破滅するから。〕

4. いったいどんな言葉でもってその扇動家はアテーナイ人たちを説得したのか。〔τίσι λόγοις「どんな言葉で」は手段の与格。〕

5. 詩人たちも水夫たちも乗馬はうまくない。〔餅は餅屋ということか。〕

6. 君は昨日アゴラーにいなかったか。——たしかに私は一日じゅう (アゴラーに) いた。

7. なぜ君はいま戸を閉めるのか、家になにももっていないのに。

8. 少女たちよ、君たちは踊る用意ができているか。——私たちはまだ用意ができていません。

9. では人間とは何か。——死すべき神である。——では神とは何か。——不死なる人間である。

10. おそらく節制とはある種の秩序であり、ある種の快楽や欲望を自制することである。

mercredi 6 avril 2022

水谷『古典ギリシア語初歩』練習問題解答 (1)

水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店、1990 年) の練習問題の解答例。このページでは第 1 課から第 4 課までを扱う。

本書は田中・松平『ギリシア語入門』と並んで、わが国の大学でもっとも多く教科書として採用されている教科書であり、その解答・解説の必要性の大きさは推して知るべしである。私じしんが学びはじめた当時にほしかった理想の解答に近づけるべく、初心者が間違いやすい箇所や同定しづらい語形変化、意味のとりにくいところにはなるべく解説のコメントを加えるようにした。既習事項の増える後半ほどそれが役に立つようになるはずである。

古典語の文は、そこに現れるすべての単語について、なぜその格であるか、その法や時制の意味はなにかが説明できなければ、読んだとはいえない。個々の単語の辞書的な意味をただ並べて、単語間の結びつきを雰囲気でつなぎあわせたのではいけない。これは最低限の要請であって、文法理解の堅実な土台のうえに立っていないかぎり、外形だけこなれた日本語の訳文にしてみても砂上の楼閣なのである。そうした理解に到達するために必要な解説を加えたつもりであるが、意に満たぬところも皆無とは言いきれず、不足の点や明らかな誤りがあれば、各回のコメント等でご指摘いただけると幸いである。




第 1 課 文字と発音


練習 1


Α.〔発音問題だが、ここでは音声は提供できないので文字で記しておく。そのさい、本書はカタカナの表記を排しているので、まずはこの課の説明に倣ってラテン文字で音声を表すことにする。したがってとくに ζ を zd と記すが (cf. §4)、これは転写ないし翻字とはまたべつの問題であることに留意されたい (本文 §1 の説明ではこれを「ローマ字転写」と称しているのだが不適切で、ζ の転写はふつう z である。また σ についても、発音が有声の z となる場合でも転写はあくまで s でなければならない)。最後に、まったくの初心者の参考のためにカタカナ発音を併記する。〕

1 行め:Andromakhē, biblion, genesis ;
2 行め:drāma, euthanasiā, zdōion ;
3 行め:hēlios, thēsauros, hierophantēs ;
4 行め:katastrophē, Lakedaimōn, mīsanthrōpos ;
5 行め:nektar, Xerxēs, ūranos ;
6 行め:Pȳthagorās, rhododendron, salpinx ;
7 行め:tekhnē, hypokritēs, Philippos ;
8 行め:khoros, pseudos, Ōkeanos.

1 行め:アンドロマケー、ビブリオン、ゲネシス;
2 行め:ドラーマ、エウタナシアー、ズドーイオン;
3 行め:ヘーリオス、テーサウロス、ヒエロパンテース;
4 行め:カタストロペー、ラケダイモーン、ミーサントローポス;
5 行め:ネクタル、クセルクセース、ウーラノス;
6 行め:ピュータゴラース、ロドデンドロン、サルピンクス;
7 行め:テクネー、ヒュポクリテース、ピリッポス;
8 行め:コロス、プセウドス、オーケアノス。

Β.

1 行め:ἀκροπολις, βιογραφιᾱ,
2 行め:γυμνασιον, δημοκρατιᾱ,
3 行め:ἐλεφᾱς, ζωνη,
4 行め:Ἠλεκτρᾱ, θεᾱτρον,
5 行め:ἰδεᾱ, κριτηριον,
6 行め:λαβυρινθος, μητροπολις,
7 行め:νυμφη, Ξενοφων,
8 行め:ὀρχηστρᾱ, παρενθεσις,
9 行め:ῥῑνοκερως, συστημα,
10 行め:Τῡφων, ὑακινθος,
11 行め:φιλοσοφιᾱ, χαρακτηρ,
12 行め:ψῡχη, Ὠριων.

〔英語に似ているつづりが多いが、英語なまりで読まないように。念のためカナ発音も与えておく:アクロポリス、ビオグラピアー、ギュムナシオン、デーモクラティアー、エレパース、ズドーネー、エーレクトラー、テアートロン、イデアー、クリテーリオン、ラビュリントス、メートロポリス、ニュンペー、クセノポーン、オルケーストラー、パレンテシス、リーノケロース、シュステーマ、テューポーン、ヒュアキントス、ピロソピアー、カラクテール、プシューケー、オーリオーン。〕


第 2 課 アクセント


練習 2


〔しょうもないがカタカナで書いておく。太字は高く読むところ。しかしなるべくフリガナなど書かないでアルファベットをそのまま読めるようにすべきことは言うまでもない。本にフリガナを書きこんでしまうと、慣れ親しんだカナにばかり目がいってしまい、いつまでも読めるようにならないものである。〕

Α. ティ・メン・ヒューイス、ー・ンドレス・アテーイオイ、ペンタテ・ヒュポ・ーン・エーン・カテーローン、ウーク・イダ;エゴー・ドゥーン・カイ・アウトス・ヒュパウーン・オグー・エマウトゥー・エペラメーン、フトー・ピタース・レゴン。カトイ・アレース・ゲ・ホース・ポス・エイイン・ウーデン・エイレカーシン。リスタ・デ・アウーン・ヘン・エタマサ・ーン・ポッーン・ーン・エプセサント、トゥート・エン・ーイ・レゴン・ホース・クーン・ヒューース・エウライスタイ・メー・ヒュペー・エクサパテーーテ・ホース・デイー・ントス・ゲイン。(プラトーン『ソークラテースの弁明』17a)

〔ステファヌス版の 17a とはまさに『弁明』の冒頭の部分であり、岩波文庫の久保勉訳では 1 章の書きだし (15 頁) にあたる。訳せという問題ではないが、文章の意味を知りたいかたも多かろうから、その邦訳から対応部分を引用すると次のとおりである:

「アテナイ人諸君、 () () 〔原文傍点〕が私の告発者の弁論からはたしていかなる印象を受けたか、それは私には分らない。が、彼らの言葉はとにかく私をしてほとんど私自身をさえ忘れさせた程であった、それほどの説得力を以て彼らは語ったのである。それにもかかわらず彼らはひと言の真実をも語らなかったといってよかろう。しかも彼らの吐いた多くの虚言のうちで、なかんずく私を驚かした一つの事がある、すなわち彼らが私を雄弁家となし、その私に欺かれないように諸君は警戒しなければならぬといった事がそれである。」〕

Β. ー・クナ、ドムー・トゥー・ライ・アー・トロペ、/ティナス・ポドラース・タズデ・モイ・トズデテ/ヒクテーオイス・クドイシン・エクセステンノイ?/リス・ドー・メン・テューミアートーン・メイ、/ホー・デ・パイアノーン・テ・カイ・ステナグトーン;/ハーゴー・ディカイーン・メー・パランローン、クナ、/ッローン・アクエイン・アウトス・ーデレリュタ、/ホ・ーシ・クレイノス・オイディプース・カルメノス。(ソポクレース『オイディプース王』1–8 行)

岩波文庫の藤沢令夫訳 (19 頁) による:「わが民らよ、遠き父祖カドモスのはぐくんだ、後裔 (すえ) なる子らよ、いかがいたしたのか——かざしをつけた歎願のしるしの小枝を手に手にささげ持って、そこにそうして坐っているのは? それにテバイの都はいま、祭壇に香たく煙がいたるところにたちこめ、治癒の祈りと悲歎の声にみちみちている。わたしはこれがどうした事情 (わけ) か、他人の口づてに聞くことをよしとせず、わが民らよ、人みなにその名もかくれなきオイディプスが、みずから () きじきここへやってまいった。」〕


第 3 課 第 1・第 2 変化の名詞および形容詞,定冠詞


練習 3


1. 適度が最良である。

2. 人生は夢である。

3. 立派なことは困難である。

4. 友人たちのものは共通 [共有] である。〔「友のものは共のもの」というやたらにうまい訳しかたがある。柳沼重剛編『ギリシア・ローマ名言集』53 頁。〕

5. エジプトはナイル川の贈り物 [賜物] である。

6. 名誉は徳の報酬である。

7. よい奴隷の仕事は容易である。

8. その島の木々は美しい。

9. ぶどう酒はぶどうの樹の露である。

10. なぜなら肉体は魂の道具であり、さらに魂は神の (道具) であるから。


第 4 課 第 1 変化名詞および第 1・第 2 変化の形容詞(つづき)


練習 4


1. 平和はうるわしきものである。

2. 声は魂の影である。

3. ぶどう酒のなかに真実 (がある)。〔「ぶどう酒は心を映す鏡である」という言葉もある (アイスキュロス。のち練習 10.4 に出る)。どちらも要するに、酒に酔ったときに本性や真実がさらけだされるということだろう。柳沼編 37 頁を参照。〕

4. 徳は取り上げられることのない武器である。

5. 快楽の欲望 (=快楽を欲求すること) は恥ずべきである。

6. よき市民の意見は賢い。

7. 諸法は国家の魂である。

8. 富 (=金銭的な幸福) は確固としたものではなく、しかしてつかの間のものである。

9. その道はなんと狭く険しいのだ、主人よ。

10. 市民たちの敬虔と兵士たちの勇気と裁判官たちの正義とのうちに国家の力は存する。