lundi 19 septembre 2022

マン島語入門 (3) §§16–24

Edmund Goodwin 編、Robert Thomson 改訂の First Lessons in Manx (初版 1901 年、改訂版 1965 年) によってマン島語 (マニン・ゲール語) の文法を勉強するノート。副読本として適宜 J. Kewley Draskau, Practical Manx (Liverpool U.P., 2008) および G. Broderick, A Handbook of Late Spoken Manx (De Gruyter, 1984–86) をも参考にした。

目次リンク:第 1 回を参照のこと。


16. be 動詞過去時制肯定形 va。va mee 私は〜だった、v’ou 君は〜だった、v’eh 彼は〜だった、v’ee 彼女は〜だった、va shin 私たちは〜だった、va shiu 君たちは〜だった、v’ad 彼らは〜だった。

17. 過去時制疑問形または従属形 row。row mee? 私は〜だったか、r’ou? または row uss? 君は〜だったか、row eh? 彼は〜だったか、row ee? 彼女は〜だったか、row shin?, row shiu?, row ad?

単純形の rou〔とあるが r’ou の脱字か?〕が row と取り違えられそうな場合はいつでも、強勢形の row uss で代用するのが望ましい。

18. 過去時制否定形。cha row mee 私は〜ではなかった、cha row uss, cha row eh, cha row ee, cha row shin, cha row shiu, cha row ad。

19. 過去時制否定疑問形。nagh row mee? 私は〜ではなかったか、nagh row uss?, nagh row eh?, nagh row ee?, nagh row shin?, nagh row shiu?, nagh row ad?

20. マン島語には「もっている (英 to have)」を表す特別の動詞はない (§111 も参照);所有を表すふつうの表現は ta cabbyl ec Juan で、これは文字どおりには「馬がジョンのところにある」で「ジョンは馬をもっている」の意味になる。同様に過去では va cabbyl ec Juan, cha row cabbyl ec Juan などとなる。

前置詞 ec の次に人称代名詞が来るとき、両者は結合して 1 語になる。その形については §141 を見よ〔というが、次の例でも明らかであろう〕。

Ta thie aym. 私は家をもっている。
Ta thie ayd. 君は家をもっている。
Ta thie echey. 彼は家をもっている。
Ta thie eck. 彼女は家をもっている。
Ta thie ain. 私たちは家をもっている。
Ta thie eu. 君たちは家をもっている。
Ta thie oc. 彼らは家をもっている。

〔英語では他動詞で「〜をもっている」と言うわけだが、日本語で考えれば「私には家がある」と言うのとまったく同様の構文であることに気づくだろう。〕

Vel eh ayd? 君はそれをもっているか。
T’eh echey. 彼はそれをもっている。
Ta fys aym. 私は知っている (=私には知識がある)。
Cha row fys eck. 彼女は知らなかった。

21. 質問と応答。マン島語には「はい」「いいえ」を表す単一の語はない。質問に答えるさい、「はい」にあたるのは動詞の裸の形を独立形 (たとえば ta, va) で質問の動詞と同じ時制で使うことである。「いいえ」の答えには cha+従属形を適切な時制で用いる (たとえば cha nel, cha row)。人称代名詞は用いられない。

例:Vel eh ec y thie? — Ta. / Cha nel.「彼は家にいるか。—はい/いいえ」。Row fys ayd? — Va. / Cha row.「君は知っていたか。—はい/いいえ」。Vel oo goll thie? — Ta. / Cha nel.「君は家に行くのか。—はい/いいえ」。Vel shiu fakin? — Ta.「君たちは見ているか。—はい」。

〔thie「家」は英語の home と同様、前置詞なしで「家へ」という意味になるようだ。これは次の問題で goll dy schoill「学校へ行く」と比べると明らかである。〕

22.〔日本語に訳せ。〕

Ta lioar aym. 私は本をもっている。
Ta fys ayd. 君は知っている。
Nagh row thie ayd? 君は家をもっていなかったか。
Va thie aym. 私は家をもっていた。
Row thie oc? 彼らは家をもっていたか。
Cha row thie oc. 彼らは家をもっていなかった。
Vel fys ayd? 君は知っているか。
Cha nel fys aym. 私は知らない。
Vel ad ec y thie? それらは家にあるか。
Cha nel. いいえ。
Row ad ec y thie? それらは家にあったか。
Cha row. いいえ。
Nagh vel ad ec y thie? それらは家にないのか。
Ta. いいえ (ある)。
Cha nel. はい (ない)。〔Yes/No は英語と同じ、つまり否定疑問では日本語と逆になる。〕
Vel oo goll dy schoill? 君は学校に行くのか。
Cha nel; ta mee goll thie. いいえ、私は家に行く。
Vel shiu goll thie? 君たちは家に行くのか。
Ta shin goll thie. はい。
Cha nel shin goll thie. いいえ。
Vel shiu çheet? 君たちは来るか。
Ta. はい。
Vel eh çheet? 彼は来るか。
Cha nel. いいえ。
Vel shiu clashtyn mee? 君たちは私 (の言うこと) を聞いているか。
Cha nel; cred ta shiu gra? いいえ、あなたは何を言っていますか。〔前文とつながっているとすれば敬称の shiu だろう。前文のほうも敬称かも。〕
Ta mee gra dy vel mee goll dy schoill. 私は私が学校に行くところだと言っている。
Ta mee gra dy row mee ec y thie. 私は私が家にいたと言っている。

23.〔マン島語に訳せ。〕

彼らは行くところだったか。Row ad goll?
彼らは行くところだった。V’ad goll.
彼らは行くところではなかった。Cha row ad goll.
彼は来るところだったか。Row eh çheet?
はい/いいえ。Va. / Cha row.
彼は家にいたか。Row eh ec y thie?
彼女は家にいなかった。Cha row ee ec y thie.
彼らは家にいなかった。Cha row ad ec y thie.
彼は知っているか。Vel fys echey?
はい。Ta.
彼らは私が家にいることを知らない。Cha nel fys oc dy vel mee ec y thie.
君は本をもっているか。Vel lioar ayd?
はい。Ta.
彼は本をもっていない。Cha nel lioar echey.
彼らは見る、彼らは来る、彼らは聞く、彼らは言う、彼らはする。T’ad fakin, t’ad çheet, t’ad clashtyn, t’ad gra, t’ad jannoo.
私は見つける。私は見つけない。私は見つけるか。私は見つけないか。〔find にあたる動詞はまだ出ていないので答えようがない。が、じつは §6 で見た geddyn, feddyn——そこでは語義 ‘get’ としか書かれていない——が、§171 の活用表では ‘get, find’ となっているので、たぶんこれが編集ミスで落ちたものであろう。これを使えば Ta mee geddyn. Cha nel mee geddyn. Vel mee geddyn? Nagh vel mee geddyn?〕
彼らは与える、彼らは奪う。T’ad coyrt, t’ad goaill.
私は彼がその本を見ていると言う。Ta mee gra dy vel eh fakin yn lioar.

24. マン島語では任意の動詞の現在未完了 (imperfect, 英語の ‘I was going’, ‘I used to go’) は基本的に、動名詞とそのまえに be 動詞 ve の現在または過去形を置くことでできる。

ta mee creck 私は売る、売っている
cha nel mee creck 私は売らない、売っていない
vel mee creck? 私は売るか、売っているか
nagh vel mee creck? 私は売らないか、売っていないか
Ta mee kionnaghey 私は買う;Cha nel mee kionnaghey. Vel mee kionnaghey? Nagh vel mee kionnaghey?
Cha row ad jannoo eh. 彼らはそれをしていなかった。
V’ee creck eeym. 彼女はバターを売っていた。

動名詞が母音で始まるとき、ve の諸形のあとに置かれるそれには g を頭につける:eeck「支払う」、ta mee geeck, cha nel mee geeck, vel mee geeck?, nagh vel mee geeck?;aase「育つ」、ta mee gaase, cha nel mee gaase.

マン島語で記録されていない、より古い構文には、すべての動名詞の前に ec (英 at) の古形 ag があった。だがこれが子音の前では脱落し、母音の前に限って g を残したのである (それと gra「言う」も ag raa であった)。

〔マン島語で記録されていないというのはおそらく、アイルランド語かスコットランド・ゲール語との比較でこういうふうに推定されるという意味だと思う。〕

直接目的語として人称代名詞があるとき、現在時制についてすでに述べた (§11) のと同じ文語的な構文が未完了でも見られる。

〔つまり「彼は私/君/彼/彼女/複数の人を見ていた」は v’eh dy my akin, v’eh dy dty akin, v’eh dy akin, v’eh dy fakin, v’eh dyn vakin となるだろう。〕

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