lundi 19 septembre 2022

マン島語入門 (4) §§25–31

Edmund Goodwin 編、Robert Thomson 改訂の First Lessons in Manx (初版 1901 年、改訂版 1965 年) によってマン島語 (マニン・ゲール語) の文法を勉強するノート。副読本として適宜 J. Kewley Draskau, Practical Manx (Liverpool U.P., 2008) および G. Broderick, A Handbook of Late Spoken Manx (De Gruyter, 1984–86) をも参考にした。

目次リンク:第 1 回を参照のこと。


25. §6 で与えられた動詞の過去時制を調べて覚えよ (§§166–174 を参照)。個別の独立形と従属形をもつものと、そうでないものとがある。

〔これらはすべて不規則動詞である。最後の goaill は実際にはほぼ規則動詞だが、しばしば不規則動詞のうちに数えられる。
 jannoo「する、なす」:過去独=過去従 ren
 çheet「来る」:独 haink, 従 daink
 clashtyn「聞く」:独 cheayll, 従 geayll
 coyrt, cur「与える、置く、送る」:独 hug, 従 dug
 fakin「見る」:独 honnick, 従 vaik
 geddyn, feddyn「得る、見つける」:独 hooar, 従 dooar
 goll「行く」:独 hie, 従 jagh
 gra「言う」:独=従 dooyrt
 goaill「とる」:独=従 ghow〕

26. 命令形複数は jee を加える:bee, bee-jee 君は/君たちは〜であれ、gow, gow-jee 君は/君たちはとれ、jean, jean-jee 君は/君たちはせよ。

話し言葉ではしばしば jee に代わって shiu が用いられる:gow shiu 君たちはとれ。

命令形における否定小辞は ny:ny cur, ny cur-jee 与えるな、ny gow, ny gow-jee とるな。母音の前では nagh になる:nagh insh dou 私に教えるな。

27. §25 のすべての動詞 (jannoo を除く) と、その他すべての動詞の過去時制は、jannoo の過去 (すなわち ren) を動名詞の前に置くことで作れる。

ren mee fakin または honnick mee 私は見た
ren oo fakin? または vaik oo? 君は見たか
ren ad creck 彼らは売った

ve がほかの動詞の時制を形成するのに使われているとき (§11) と同様、目的語の表しかたには 2 通りの構文がある。(a) 目的語代名詞または名詞が動名詞のあとに置かれるもの:

ren mee fakin eh 私は彼を見た
ren ad creck y thie? 彼らは家を売ったのか

と、代替的に、とくに古い時代の書き言葉において頻繁に見られるのが、(b) 目的語が名詞ならば助動詞のあとに置かれ、次に y と軟音化した動名詞が続くもの:

ren mee yn thie y akin 私はその家を見た

または目的語が代名詞ならば、それが動名詞の前に所有形 (§66) で現れるもの:

ren eh my akin 彼は私を見た (文字どおりには「彼は私の見ることをした」)

である。しかし代名詞が強勢形 (§13) のときには名詞のための構文に従う:ren eh mish y akin.

この構文における目的語代名詞は、しばしばあたかも mee y であるかのように m’y とつづられる。

すべての動詞の命令形は、jannoo の命令形すなわち jean, jean-jee と、動名詞とを用いて同様に作られうる。そして主動詞の目的語について同じ 2 つの構文が見られることも過去と同様。

28.〔語彙。〕

arran [男] パン
eeym [女] バター
thombagey [男] タバコ
jeigh [動] 閉ざす
ollan [女] 羊毛
boayrd [男] 食卓
fosley [動] 開く;命 foshil
stoyl [男] 座席、椅子
faagail [男] 離れる、残す;命 faag
uinnag [女] 窓
fuirriaght [動] 待つ;命 fuirree
laare [女] 床
er 〜の上に、上へ (英 on, upon)
dorrys [男] 扉
harrish 〜の上に (英 over)
ogher [女] 鍵
glass [男] 錠
dys, gys 〜へ、へ向かって (英 to, towards)
gless [女] グラス
curn [男] 缶
glionney〔glion「[女] 峡谷、谷間」の属格。本では性別なしで ‘glass’ と書いてあるのだが、すぐ上の gless と間違えた誤植。しかも以下の練習問題には出てこないので、削除してよいかもしれない。〕

〔raad [男] 道;soilshey [男] 光、明かり;shen あれ、あれら (§40)、が抜けているのも補う。〕

29.〔日本語に訳せ。〕

T’ee ec y dorrys. 彼女は扉のところにいる。
Cha nel Ned as Jem ec y dorrys; t’ad goll harrish dys y raad. ネッドとジェムは扉のところにいない。彼らは道のほうへ向かっている。
Ny jean fuirriaght ec y dorrys; jeigh y dorrys. 扉のところで待つな。扉を閉じろ。
Ny jean faagail curn er y laare. 床の上に缶を置いておくな。
Ta’n stoyl beg ec y dorrys. その小さな椅子は扉のところにある。
Cha nel yn stoyl mooar ec y dorrys. その大きな椅子は扉のところにない。
Ta soilshey ec yn uinnag. 窓のそばに明かりがある。
Ny faag y soilshey ayns shen. その明かりをそれのなかに置いておくな。
Faag y soilshey er y voayrd. その明かりはテーブルの上に置いておけ。
Ny jean faagail yn thombagey er y laare. そのタバコを床の上に置いておくな。
Ta’n ollan er y stoyl, as ta’n arran er y voayrd. 席の上に羊毛があり、食卓の上にパンがある。
Vel yn ogher ayd? 鍵は君がもっているか。
Cha nel. いいえ。
Ta mee fakin dy vel shiu goll thie. 私は君たちが家へ行くのを見る。

30.〔マン島語に訳せ。〕

彼は扉のところにいる。T’eh ec y dorrys.
彼女は扉のところにいた。V’ee ec y dorrys.
食卓の上に明かりがある。Ta soilshey er y voayrd.
私は道のほうへ行くところだ。Ta mee goll harrish dys y raad.
その缶は食卓の上に置いておけ。Faag y curn er y voayrd.
そのタバコは食卓の上に置いておけ、それを扉のそばには置くな。Faag yn thombagey er y voayrd, ny faag eh ec y dorrys.
パンをとり、タバコは置いておけ。Gow yn arran as faag yn thombagey.
その缶は小さい。Ta’n curn beg.
君はその大きい缶をもっている。Ta’n curn mooar ayd.
彼女はパンとバターをもっていた。Va arran as eeym eck.〔va と普通名詞 arran が縮約するのかどうかわからない。〕
その扉には (on the door) 錠前がある。Ta glass er y dorrys.
食卓の上にはグラスがあるか。Vel gless er y voayrd?
いいえ。Cha nel.
君はその扉、床、窓が見えるか。T’ou fakin y dorrys, y laare, as yn uinnag?
はい。Ta.

31. マン島語には ve のほかにもうひとつ be 動詞にあたる動詞があるが、これの用法ははるかに限定的である。これは動詞以外の文の一部分を強調するために使われ、コピュラ (copula, 繋辞) と呼ばれる。それの現在形は、独立形 she、従属形 nee で、それ以外の時制はまれである。

she eshyn ren eh それをしたのは彼だ
cha nee eshyn ren eh それをしたのは彼ではない
nee eshyn ren eh それをしたのは彼か
she / cha nee はい/いいえ
nagh nee eshyn ren eh それをしたのは彼ではないのか
dooyrt ad dy nee eshyn ren eh それをしたのは彼だと彼らは言った
dooyrt ad nagh nee eshyn ren eh それをしたのは彼ではないと彼らは言った

dy, nagh のあとでは、nee と同様に re も見られる。以上の文で ‘it is he that did it’ などにおける that に相当する語がマン島語にないことについては §97 を見よ。〔マン島語には関係詞が存在しないということ。〕

形容詞のまえでは独立形は s’、否定疑問形は nagh で、いずれももっぱら感嘆文で使われる:

s’mooar my haitnys どれほど私が喜んでいることか (文字どおりには「大きいのだ、私の喜びは」)
nagh mooar y dorraghys eh! その闇はなんと大きいのか (「大きいのではないか」。マタイ 6:23)

〔haitnys は taitnys の軟音化。h になる候補は t, th, çh, s, sh と多く、見わける方法はないので覚えるしかない。〕

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