samedi 17 octobre 2020

樋口・藤井『詳解ラテン文法』練習問題解答 (4)

樋口勝彦・藤井昇『詳解ラテン文法』(研究社、1963 年、新装版 2008 年) の第 13 課から第 16 課までの解答例。私の解答は極力逐語訳を心がけているため、十分にわかりよくない箇所もあろうから、既存の邦訳をところどころ紹介して学習者の参考に供することにする。

著者たちの言語知識の該博さには何度も感嘆しているが、今回、第 15 課 56 頁の注 2 にインドネシア語の例が出てきたことには肝をつぶした (しかも訳文もついていないのでどういう意味かわからない)。これまでもフランス語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語・ギリシア語の例を引きあいに出されたことはたびたびあったし、それらの言語はたしかにラテン語を学ぼうという人間ならわからないほうが悪いという側面なきにしもあらずだが、さすがにインドネシア語を説明なしに使うのは要求が高すぎるだろう……。



XIII. 動詞の活用 (7)


§63.


(1) 活用練習


1. lūdō : 直説法・過去・受動態 lūdēbar, lūdēbāris, lūdēbātur, lūdēbāmur, lūdēbāminī, lūdēbantur.

2. fīō : 直説法・現在 fīō, fīs, fit, fīmus, fītis, fīunt.

3. vereor : 直説法・現在 vereor, verēris, verētur, verēmur, verēminī, verentur.

4. rapiō : 不定法・現在・受動態 rapī.

5. afferō : 命令法・現在・受動態 afferre, afferiminī.

6. dēleō : 直説法・未来・受動態 dēlēbor, dēlēberis, dēlēbitur, dēlēbimur, dēlēbiminī, dēlēbuntur.

(2) 和訳


1. 私はときどき商人たちの詐欺による怒りで燃えあがらされる。

2. 甘く華麗である、祖国のために死ぬことは。

3. それほどの指揮官によって破られることはほとんど不名誉ではなかった。

4. ローマの卓越した詩人とホラーティウスは呼ばれていた。

5. 私たちはいつふたたび平和を享受するだろうか。

6. 私たちは喜んで君のもとにしばらく滞在しよう。

7. 憐れみたまえ、と私は祈る、そして私を悪から救い出したまえ。

8. パーン神が優しいニュンペー [ニンフ] たちに牧笛で歌に調子をあわせている。

9. 君たちはすでに長いこと町で待たされている。

10. 月と星が貧しい天文学者たちによって見られる。

11. 食料とぶどう酒が広場で奴隷たちによって買われるだろう。

12. 私は私への愛で焦がされる。

13. 美しい女たちは歌で、貪欲な女たちは金で魅了される。

14. 君は少年たちに清酒を与えることに努める。

15. 偉大な王よ、私たちの馬たちはあなたにただちに贈られるだろう。

16. 難しいが、私は試みるつもりだ。

17. ぶどう酒は心を準備し、(それを) 情熱に適したものにする;気がかりは逃げ、多量の清酒によって洗い流される。〔樋口訳「酒は勇を奮い立て、そして男を情熱に駆らしむるのだ。分別 (うれい) は深酒に駆逐され、とけて消えてしまうものだ」(平凡社ライブラリー版 21 頁);沓掛訳「酒は勇気を奮い起こさせ、男どもを情熱に燃え立たせる。 () の酒をたんまりくらうと憂いはどこかへ吹き飛び、雲散霧消してしまう」(岩波文庫版 20 頁)。巧みな訳でいずれも faciunt の目的語を「男 (ども)」と補っているが、構文上は素直に読めば animōs が parant と faciunt の共通の目的語だろう (animōs を aptōs にするということで性数格も一致している)。もちろん人の心・精神はその人そのものでもあるから大差はないが。〕


XIV. 指示代名詞と īdem, ipse; 場所の副詞


§68.


1. ここに詩人オウィディウスの魅力的な本がある。

2. これらのことはほとんど信じられないように私には思われる。

3. ドミティアーヌスは本当に残酷さそのもので喜んでいた。

4. これらの著作家たちについて多くのことを私はプリーニウスの書簡のなかで読んだだけである。

5. これらのことを同じときに同じ属州で君自身がしたのだ。

6. 君たちの母は容姿 [美貌] と等しい [釣りあった] 知恵をもっている。

7. (おまえの) それは友情ではなく商売だろう。

8. 演説は輝かしく壮大で、しかもとくに機知に富んだものであるようにせよ。

9. 君の子どもが私を迎えに来た;彼は私に君からの手紙を届けた。

10. 徳はいかなる他の報酬をも望まなかった、称賛の (=称賛という) これを除いては。〔ちなみに注にある scil. とは scīlicet「つまり、すなわち」の略。〕

11. 怠惰は身体を弱くし、労働は強くする;前者は尚早の老年時代を、後者は長い青年時代を返す。

12. これらすべての町々が都を取り巻いている。

13. 私は君を好きではない、サビディウスよ、なぜかを言うことはできないが;ただこれを言えるだけである、私は君を好きではないと。

14. 同じ君が (あるときは付きあうのに) 難しくも易しくも、楽しくも不快でもある;私は君とともに生きられないし、君なしでも (生きられ) ない。〔動詞は es なので主語は隠れた tū、これに īdem が同格なのでその人は男性とわかる。〕

15. いかほど接吻の後には満ちた誓願 (=誓願が満ちること) に欠けていようか。ああ、野暮だ、廉恥ではない、そのことは。〔注に eī は「与格を取る間投詞」とあるが、訳しかたは判然としない。この mihi は訳しようがないと見え、Loeb 版の英訳でもたんに ‘ah!’ となっている。樋口訳「接吻を得たのちには、きみの念願成就にはもうわずかだ。ああ、悲しいかな。野暮というものだ、そんなのは慎みではない」(平凡社ライブラリー版 48 頁);沓掛訳「接吻を奪ってからは、満願成就までなにほどのことがあろうか。ああ、なんたることぞ。そんなのは恥じらいではない、野暮というものだ」(岩波文庫版 46 頁)。〕

16. しかし君は彼を十分に知らなかったし、君を彼も (十分に知らなかった)。〔46 頁注 7 にもあるとおり中性対格 verum は「しかし」の意になる。nōverās は過去完了だが過去の意 (38 頁注 3)。〕

17. 泣くことはある種の喜びである。


XV. 完了分詞・動詞の活用 (8)


§71.


(1) 活用練習


1. accipiō : 直説法・完了・受動態・男性 acceptus sum, acceptus es, acceptus est, acceptī sumus, acceptī estis, acceptī sunt.

2. canō : 直説法・完了・受動態・女性 can(tā)ta sum, can(tā)ta es, can(tā)ta est, can(tā)tae sumus, can(tā)tae estis, can(tā)tae sunt.

3. afficiō : 直説法・完了・受動態・男性 affectus sum, affectus es, affectus est, affectī sumus, affectī estis, affectī sunt.

4. tollō : 直説法・完了・受動態・中性 sublātum sum, sublātum es, sublātum est, sublāta sumus, sublāta estis, sublāta sunt.

5. dō : 直説法・完了・受動態・中性 datum sum, datum es, datum est, data sumus, data estis, data sunt.

6. hortor : 直説法・完了・男性 hortātus sum, hortātus es, hortātus est, hortātī sumus, hortātī estis, hortātī sunt.

7. vereor : 直説法・完了・女性 verita sum, verita es, verita est, veritae sumus, veritae estis, veritae sunt.

8. scrībō : 直説法・未来完了・受動態・男性 scriptus erō, scriptus eris, scriptus erit, scriptī erimus, scriptī eritis, scriptī erunt.〔本書は scrīptum のマクロンを付さない。〕

9. mittō : 直説法・過去完了・受動態・男性 missus eram, missus erās, missus erat, missī erāmus, missī erātis, missī erant.

10. pōnō : 直説法・完了・受動態・男性 positus sum, positus es, positus est, positī sumus, positī estis, positī sumt.

(2) 和訳


1. 君たちはローマ民族の偉大な名を恐れたのではないか。〔Romani だけなら複数主格で主語 vōs に同格として「君たちローマ人は偉大な名を恐れたのではないか」ともとれるが、その意味だと populi が複数なのはおかしいので、これは単数属格。〕

2. これらの地域では海戦がかつて行われたのか。

3. この戦いについて私は一度も聞いたことがない。なにが起こったのか、私は懇願する (=お願いします)。

4. これらのことは私に詩人カトゥッルスによって書かれた歌について思い出させる。

5. これはホラーティウスが生まれたところのイタリアの地域ではないのか。

6. 将軍の手紙は強い兵士たちによって運んでこられた。

7. 私は全員から私の旅行について尋ねられた。

8. 夜の第 2 時に村に到着された。〔非人称受動。〕

9. みなは夕食をとったあと暇しながら座っていた。

10. 私たちは友人たちによって説得された。〔非人称受動。「私たちに対し友人たちによる説得が行われた」と理解すればよい。〕

11. 賽は投げられた。

12. 捕まったギリシアは野蛮な勝利者を捕まえ、学芸を野卑なラティウムにもたらした。〔前半の文は、ギリシアはローマ人に戦争で負けたが文化的には逆に勝利したという意。〕

13. たぶんわれわれの名前もそれらに混ぜられるであろうし、私の書いたものがレーテー [忘却の川] の水に与えられることはないだろう。〔nostrum は謙遜の 1 人称複数 (42 頁注 2)。istis は iste の複数与格で、先達の高名な詩人たちを指す。樋口訳「たぶんこれらのなかに私の名も仲間入りさせてもらえることだろう。私の作は忘却 (レテ) の河の水に投ぜられることはないであろう」(平凡社ライブラリー版 118 頁)。〕

14. 少女の美貌は逃走によって増した。〔forma が主語、aucta ... est が完了受動態の動詞、fuga は奪格。〕


XVI. 動詞の活用 (9)・禁止の表現


§75.


1. 友人はもう 1 人の私である、と言われている。〔念のため、注にあるギリシア語文も「友人はもう 1 人の自分である」という意味。〕

2. これを私は今日か明日かにしたい。

3. そのようにするな、お願いだ。

4. 父は当然息子をそのような危険にさらしたくなかった。

5. 黙っていろ、どうか、マールクスよ。私たちは間違っているように見える。

6. すぐに黒い雲が海から生じるのが見えた。

7. 悪であると私には見える、死は。

8. そのような怪物について話すな、頼む。

9. なぜ君は田舎でみじめに生きることをむしろ欲するのか、頼む (=言ってくれ)。

10. ハンニバルよ、あなたは勝利することを知っているが、勝利を利用することを知らない。

11. 光の初めに (=夜明けに) ようやく町を離れるのがふさわしく思われた。

12. 戦争によってアテーナイ人たちはいたるところで押されはじめた。

13. 悪について無知ではない (ので)、私は不幸な人たちを援助することを学ぶ。

vendredi 16 octobre 2020

樋口・藤井『詳解ラテン文法』練習問題解答 (3)

樋口勝彦・藤井昇『詳解ラテン文法』(研究社、1963 年、新装版 2008 年) の第 9 課から第 12 課までの解答例。

まえにも述べたとおりこの本は紙幅のわりには難しいことをときどき書いている。今回なら第 10 課 40–41 頁の注にある「書簡上の時称」というものを私は知らなかった (ギリシア語の書簡体アオリストは知っていたが、ラテン語にもあるとは)。第 11 課 42 頁の注には 1 人称複数に謙遜の用法のあること (これは『ラテン語初歩』でも初版最終課の読み物 §461 の注にひっそり出てきたが、自明のことではない)、それから 2 人称複数 vōs を敬称の「あなた」に使うことはないというのは周知だがはっきり言いきってあるのは助かる (『テルマエ・ロマエ』の小達さつきのラテン語 « Qua es vos ex ? »「あなたどこの人?」というのがいかに不勉強かわかる。これの難点は vōs だけではないが)。さらに 44 頁注 5 ではスペイン語の conmigo 等が cum + mēcum という重言であることを学んだし、同じく注 1 の、フランス語の代名動詞の相互的用法はラテン語にはなかった (かならず inter sē で言う) という話も言われてみればおもしろい。こういったことは、大学の講義であれば教室で先生が口頭でさらっと補足してくれるような細かいことを文字にして残してくれているようなもので、そういう点では独習向きの本と言えなくもない。



IX. 名詞の変化 (3)


§43.


(1) 曲用練習


1. 単数 homō, hominis, hominī, hominem, homine; 複数 hominēs, hominum, hominibus, hominēs, hominibus.

2. mulier, mulieris, mulierī, mulierem, muliere; mulierēs, mulierum, mulieribus, mulierēs, mulieribus.

3. turris, turris, turrī, turrim/em, turrī/e; turrēs, turrium, turribus, turrīs/ēs, turribus.

4. corpus, corporis, corporī, corpus, corpore; corpora, corporum, corporibus, corpora, corporibus.

5. nox, noctis, noctī, noctem, nocte; noctēs, noctium, noctibus, noctīs/ēs, noctibus.

6. ignis, ignis, ignī, ignem, igne/ī; ignēs, ignium, ignibus, ignīs/ēs, ignibus.

7. tempus, temporis, temporī, tempus, tempore; tempora, temporum, temporibus, tempora, temporibus.

8. rēte, rētis, rētī, rēte, rēte/ī; rētia, rētium, rētibus, rētia, rētibus.

9. victor, victōris, victōrī, victōrem, victōre; victōrēs, victōrum, victōribus, victōrēs, victōribus.

10. calcar, calcāris, calcārī, calcar, calcārī; calcāria, calcārium, calcāribus, calcāria, calcāribus.

(2) 和訳


1. マールクス・トゥッリウス・キケローは有名な弁論家だった。

2. 山の頂上で私たちは長い髭の老人を見る。〔barba longa は性質の (記述的) 奪格。〕

3. しばしば鳥たちについてラテン語の著作家たちは言及する。

4. アシアでは病気で人々が蝿のように死ぬ。

5. 君たちの農地は十分に遠く都から離れていた。

6. 農夫は耕地のそばで地面で仰向けに横たわっていた。

7. このように私たちは長い時間をさまざまな会話で過ごしていた。

8. 私は田舎で陰謀から安全になって私の人生を静かな気もちで過ごしている。〔主語に同格の副詞的な totus が ab をとる。〕

9. 僭主ディオニューシオスはしばしば家でも自分の歌を朗読していた。

10. 敵たちの将軍の法廷にローマ人たちが来る。

11. 空には異常な大きさをもった雲が現れるだろう。

12. 哲学者たちは自分たちの平静さで他の者たちの恐怖を和らげる。

13. 最初においてさえローマの都はこれほど壮大だったのか。

14. 戦争のあいだは法は沈黙する。

15. 人間は人間にとって狼である、人間ではない。

16. 技術は隠されていれば役に立つ。〔恋の手管のこと。技術だと見抜かれていれば冷めてしまう。〕

17. 一文なしの旅人は追い剥ぎの面前で歌うだろう。

18. というのは、私は満杯の船 (=船が満載) でなければ決して乗客をとらないから。〔navi plena は奪格。文法関係を理解し正しく訳せてもほとんど意味不明だが、これはアウグストゥスの娘ユーリアがアグリッパと結婚していたとき、頻繁に浮気をしていたのに子どもたちがちゃんと夫にそっくりなのはなぜかと問われて答えた言葉。夫の子を妊娠しているときでなければ他の男を乗せないということ。〕

19. 倹約はよい噂の困窮である。〔記述的属格。これも単語集の訳語で正しく訳してみてもピンとこないが、たぶん、倹約というのは困窮のことを聞こえがよく言っただけの同じものだ、ということを述べていると思う。この述語は主従をとりかえて「倹約とは困窮の美名である」とするほうがわかる。〕


X. 動詞の活用 (5)


§49.


(1) 活用練習


1. referō : rettulī, rettulistī, rettulit, rettulimus, rettulistis, rettulērunt.

2. narrō : narrāvī, narrāvistī, narrāvit, narrāvimus, narrāvistis, narrāvērunt.〔本書では nārrō, nārrāvī の最初の a のマクロンを付さない流儀なので、それに従う。〕

3. agō : ēgī, ēgistī, ēgit, ēgimus, ēgistis, ēgērunt.

4. condō : condidī, condidistī, condidit, condidimus, condidistis, condidērunt.

5. quaerō : quaesīvī, quaesīvistī, quaesīvit, quaesīvimus, quaesīvistis, quaesīvērunt.

6. maneō : mansī, mansistī, mansit, mansimus, mansistis, mansērunt.

7. dō : dedī, dedistī, dedit, dedimus, dedistis, dedērunt.

8. ōrō : ōrāvī, ōrāvistī, ōrāvit, ōrāvimus, ōrāvistis, ōrāvērunt.

9. absum : āfuī, āfuistī, āfuit, āfuimus, āfuistis, āfuērunt.

10. adeō : adiī, adīstī, adiit, adiimus, adīstis, adiērunt.

(2)


1. dīlaniāverat : dīlaniō〔裂く〕直説法過去完了 3 人称単数。

2. ēmī : emō〔買う〕直説法完了 1 人称単数。

3. inieritis : ineō〔入る〕直説法未来完了 2 人称複数。

4. fuit : sum〔ある〕直説法完了 3 人称単数。

5. lūsisse : lūdō〔遊ぶ〕不定法完了。

6. pugnāvimus : pugnō〔戦う〕直説法完了 1 人称複数。

7. abstulit : auferō〔運び去る〕直説法完了 3 人称単数。

8. cecinerant : canō〔歌う〕直説法過去完了 3 人称複数。

9. flēmus : fleō〔泣く〕直説法現在 1 人称複数。

10. vīdit : videō〔見る〕直説法完了 3 人称単数。

(3) 和訳


1. 少女は手紙をまったく嫌がらずに (差し) 出す。

2. 奴隷はすでに別荘から戻ったか。—— (彼は) まもなく来るだろう。〔§§16, 37 の説明のとおりに、文頭の servusne がもっとも重要度の高い疑問の中心だとして「すでに別荘から戻ったのは奴隷か」と訳すと返答が噛みあわなくなるので、これは §37 の説明が嘘。〕

3. 私は前日に君の手紙に返事を書いてしまっていた。〔意味はただの過去で「昨日」のことだということは注を参照。〕

4. ファレルヌスの野でハンニバルを迎え撃ったのはローマの独裁官クィーントゥス・ファビウス・マクシムスだった。

5. カエサルは自分の軍勢を (すでに) 先遣していた。

6. なぜ君は間にあうように戻らなかったのか。

7. 知恵について私たちは多くのことを言ったし、(今後も) しばしば言うだろう;いま私たちは友情についての本を友人のアッティクスに送る。

8. 私の医者は、もし来たらすぐに少年を治すだろう。

9. 多くの涙とともに哀れな住民たちは使者たちの言葉を聞いた。

10. 子どもたちは夕食のあとの時間しばらくのあいだ遊んだのではないのか。

11. 銅や金の山は体から熱を追い出さない。〔febris は複数対格。注に格言的完了とあるが、そのまま完了で「追い出したことはない」とも読めるのでないか (現に ‘no pile ... has ever freed’ としている英訳がある)。〕

12. 私は来た、私は見た、私は勝った。

13. 私たちはトロイア人だった、イーリウム [トロイ] はあった。

14. 私は不浄の群衆を憎み、遠ざけている。

15. アンクス・マルキウスはティベリスの戸口 (=河口) でローマの都から 16 里離れた海の上に国家を建てた。〔この本の単語集を見るかぎり「海の上に」としか訳せないが、「接して」ということだろう。ティベリス=テヴェレ川を下ったところにあるローマの外港オスティアのこと。〕


XI. 人称・再帰代名詞


§52.


1. その僭主は私を憎んでいるのか。

2. 私はそれを少なくともかつてキケローの書で読んだ。

3. 妻よ、おまえはただちに子どもたちと奴隷たちとともに伯父のもとへ行くがよい。〔命令の意味の 2 人称未来。sē conferre「行く、赴く」。〕

4. 君は私とともにローマへ来たのではないのか、ティブッルスよ。

5. 騎兵たちは張りあって互いのあいだでしばしば戦っていた。

6. その女主人は鍵のかかる部屋へ子どもたちと奴隷たちとともに引き下がった。

7. 恐ろしい伝染病が彼らのなかへ流れこんだ [彼らを襲った]。

8. 盗賊は自分とともに金を運ぶだろう。

9. 私は彼をどこにも見ない。

10. 私たちのうちの少数がここにとどまり、祖国のために死へと自分たちを晒すだろう。

11. 私たちと君たちとに王は使者たちを送ったのではないだろうね。

12. なぜ私は君たちをこのように衰弱して見る (=君たちは衰弱して見える) のか、少年たちよ。

13. ゲルマーニア人はガリア人と毎日の戦闘で争い、彼らの耕地を荒らす。

14. 私たちは愛する祖国を逃れた。〔「祖国へ」という方向の対格にも見えるが、fugiō は他動詞として「〜から逃げる」。前者ならたぶん ad か in + 対格で言うだろう。なお問題文で珍しくマクロンがついているように、3 単と 1 複ではそれぞれ現在 fŭgit, fŭgimus と完了 fūgit, fūgimus が u の長短でしか違わないので注意。〕

15. 私とトゥッリアは元気だ。

16. 君にはマールクスという友人がいたか。〔fuit が文頭に立っているし、与格 tibi もあるので存在の sum。〕

17. いつも私にとって友人であり、いつまでも妻でもあってくれ。

18. カトゥッルスよ、閑暇は君にとって厭わしい。

19. なぜなら本当に神々は私たち人間をあたかも (遊びの) 球のようにみなしている。


XII. 形容詞の変化 (2),副詞,動詞の活用 (6)


§58.


(1) 曲用練習


1. 男性/女性・単数 facilis, facilis, facilī, facilem, facilī; 複数 facilēs, facilium, facilibus, facilēs/īs, facilibus; 中性・単数 facile, facilis, facilī, facile, facilī; 複数 facilia, facilium, facilibus, facilia, facilibus.

2. 単数 pār, paris, parī, parem + pār, parī; 複数・主対 parēs + paria, 属 parium, 与奪 paribus.〔+ の後ろは中性のみ異なる場合。複数の主と対、与と奪は同じなのでまとめる (i 幹では対に -īs もあるが略)。以下同様。〕

3. dīves, dīvitis, dīvitī, dīvitem + dīves, dīvite; dīvitēs + dīvita, dīvitum, dīvitibus.〔i 幹ではない。〕

4. pauper, pauperis, pauperī, pauperem + pauper, paupere; pauperēs + paupera, pauperum, pauperibus.

5. grandis + grande, grandis, grandī, grandem + grande, grandī; grandēs + grandia, grandium, grandibus.

6. iuvenis, iuvenis, iuvenī, iuvenem + iuvenis, iuvenī; iuvenēs + iuvenia, iuvenium, iuvenibus.

7. aura levis, aurae levis, aurae levī, auram levem, aurā levī; aurae levēs, aurārum levium, aurīs levibus, aurās levēs/īs, aurīs levibus.

8. iter breve, itineris brevis, itinerī brevī, iter breve, itinere brevī; itinera brevia, itinerum brevium, itineribus brevibus, itinera brevia, itineribus brevibus.

(2) 副詞


1. fortis : fortiter.

2. līber : līberē.

3. longus : longē.

4. miser : miserē.

5. facilis : facile.

6. sānus : sānē.

7. sapiens : sapienter.

8. levis : leviter.

9. pār : pariter.

10. pulcher : pulchrē.

(3) 活用練習


1. mittō : mitte, mittite.

2. laudō : laudā, laudāte.

3. maneō : manē, manēte.

4. condō : conde, condite.

5. prōsum : prōdes, prōdeste.

6. conferō : confer, conferte.

7. dūcō : dūc, dūcite.

8. adeō : adī, adīte.

9. veniō : venī, venīte.

(4) 和訳


1. 父は疑いなくすべてのことを冗談によって行った。

2. 私は罪を犯した。容赦してくれ、お願いだ。

3. (君たちは) 私たちとともにペルシア人の裕福な王のもとへ行け (=来い)。

4. 母よ、静かな気もちであれ (=落ちつけ)。

5. 去れ、おまえは私をからかっている、奴隷よ。〔serve は動詞の命令法ではない。servō, -āre なら servā、serviō, -īre なら servī となるが、servō, -ere という動詞はないので。〕

6. ローマ人の農夫たちは自分たちの畑をよく耕していた。

7. 馬の遅延を我慢できぬ者たちが喜んで馬車を導いていた。

8.「冷たい水で」と医者は言う、「少年の足を洗いなさい。」

9. 強い者たちをフォルトゥーナ [運命の女神] は助ける。

10. 壁にこのような掲示が見えていた:《犬に注意》、そして壁の向こうで犬たちが吠えていた。

11. その町は道からあまりに遠く離れており、私は迅速さに努めた。

12. 風刺を書かない (=書かずにいる) ことは難しい。

13. 正義はあらゆる徳の女主人にして女王。〔複数属格 omnium は最後の virtutum にかかるものととる。〕

14. 私たちはみな健康であるとき容易に正しい助言を病人たちに与える。

15. 悲しみは強い心を (さえ) 砕く。

jeudi 15 octobre 2020

樋口・藤井『詳解ラテン文法』練習問題解答 (2)

樋口勝彦・藤井昇『詳解ラテン文法』(研究社、1963 年、新装版 2008 年) の第 5 課から第 8 課までの解答例。

この本は未完了過去時制のことをたんに「過去」と呼んでおり珍しいが、これと軌を一にする例としてほぼ同時期の村松『ラテン語四週間』(大学書林、新稿版 1961 年) を思い起こす。そのはしがきではその訳について「多少の非難を受けるのを覚悟して、英文法につかわれているものを採用した」「この方が理解のたすけになると思う」と説明していた。また泉井『ラテン広文典』(白水社、初版 1952 年、復刻版 2005 年) も「過去」である。しかしこの呼び名は結局流行らず、同じく古くからすでに行われていたらしい「未完了過去」(たとえば泉井より 8 歳年上の呉茂一による『ラテン語入門』岩波書店、初版 1952 年、POD 版 2016 年) が主流となったようだ。



V. 形容詞の変化 (1)・序数詞・所有形容詞


§24.


(1) 曲用練習


〔呼格は主格と異なる場合のみ記す。〕

1. 単数 longa epistula, longae epistulae, longae epistulae, longam epistulam, longā epistulā; 複数 longae epistulae, longārum epistulārum, longīs, epistulīs, longās epistulās, longīs epistulīs.

2. nauta bonus, (呼格 nauta bone), nautae bonī, nautae bonō, nautam bonum, nautā bonō; nautae bonī, nautārum bonōrum, nautīs bonīs, nautās bonōs, nautīs, bonīs.

3. magister caecus, (呼格 magister caece), magistrī caecī, magistrō caecō, magistrum caecum, magistrō caecō; magistrī caecī, magistrōrum caecōrum, magistrīs caecīs, magistrōs caecōs, magistrīs caecīs.

4. fīlia tua, fīliae tuae, fīliae tuae, fīliam tuam, fīliā tuā; fīliae tuae, fīliārum tuārum, fīliābus tuīs, fīliās tuās, fīliābus tuīs.

5. fīlius noster, (呼格 fīlī noster), fīliī nostrī, fīliō nostrō, fīlium nostrum, fīliō nostrō; fīliī nostrī, fīliōrum nostrōrum, fīliīs nostrīs, fīliōs nostrōs, fīliīs nostrīs.

6. bellum prīmum, bellī prīmī, bellō prīmō, bellum prīmum, bellō prīmō; bella prīma, bellōrum prīmōrum, bellīs prīmīs, bella prīma, bellīs prīmīs.

7. amīcus pulcher, (呼格 amīce pulcher), amīcī pulchrī, amīcō pulchrō, amīcum pulchrum, amīcō pulchrō; amīcī pulchrī, amīcōrum pulchrōrum, amīcīs pulchrīs, amīcōs pulchrōs, amīcīs pulchrīs.

8. vir līber, virī līberī, virō līberō, virum līberum, virō līberō; virī līberī, virōrum līberōrum, virīs līberīs, virōs līberōs, virīs līberīs.

(2) 和訳


1. 君たちは美しい;私は盲目で、聾だ。

2. 私は多くの喜ばしいことを少年たちにも語ることができる。

3. 私の主人は多くの方法で祖国を助けている。

4. 私たちの詩人は父祖の神を毎日崇めている。

5. スミレと白いユリを君たちの先生の娘は見る。

6. 少年は哀れにも自分の友人たちを何度も呼ぶ。

7. 死者たちの影をさえ私はたくましく [勇敢に] 恐れない。

8. 女王は自分の軍勢を金銀で輝かしく整える。

9. おまえの思慮を、わが息子よ、(彼らが) ほめている。

10. 白い雌鶏が月桂樹の小枝をくちばしで保持している (=くわえている)。

11. 私の友人の奴隷を私は求める。

12. 農夫たちは長い戦争を是認しない。

13. 自由な男たちすなわちローマ人たちは大きな熱意で戦う。

14. アッピア (街道) は長い道々のうちの女王だ。

15. 詩人ホラーティウスは大きな森と広い畑を愛する。

16. 最初にここへ来るのは君の忠実な奴隷だ。

17. 土地を耕すのは私の (務め) だ。

18. 女王は栄誉ある勝利に満足している。

19. 大きなことを神々は気にかけ、小さなことをなおざりにする。

20. おまえはどこへ急ぐのか、男たちにとって不快な者よ、少女たちにとって不快な者よ。

21. もし君が善良なら、セクストゥスよ、君は偶然に生きることができる。


VI. 動詞の活用 (2)


§32.


(1) 活用練習


1. 現在 tegō, tegis, tegit, tegimus, tegitis, tegunt; 過去 tegēbam, tegēbās, tegēbat, tegēbāmus, tegēbātis, tegēbant; 未来 tegam, tegēs, teget, tegēmus, tegētis, tegent; 不定法現在 tegere.

2. 現在 faciō, facis, facit, facimus, facitis, faciunt; 過去 faciēbam, faciēbās, faciēbat, faciēbāmus, faciēbātis, faciēbant; 未来 faciam, faciēs, faciet, faciēmus, faciētis, facient; 不定法現在 facere.

3. 現在 possum, potes, potest, possumus, potestis, possunt; 過去 poteram, poterās, poterat, poterāmus, poterātis, poterant; 未来 poterō, poteris, poterit, poterimus, poteritis, poterunt; 不定法現在 posse.

4. 現在 fleō, flēs, flet, flēmus, flētis, flent; 過去 flēbam, flēbās, flēbat, flēbāmus, flēbātis, flēbant; 未来 flēbō, flēbis, flēbit, flēbimus, flēbitis, flēbunt; 不定法現在 flēre.

5. 現在 feriō, ferīs, ferit, ferīmus, ferītis, feriunt; 過去 feriēbam, feriēbās, feriēbat, feriēbāmus, feriēbātis, feriēbant; 未来 feriam, feriēs, feriet, feriēmus, feriētis, ferient; 不定法現在 ferīre.

6. 現在 clāmō, clāmās, clāmat, clāmāmus, clāmātis, clāmant; 過去 clāmābam, clāmābās, clāmābat, clāmābāmus, clāmābātis, clāmābant; 未来 clāmābō, clāmābis, clāmābit, clāmābimus, clāmābitis, clāmābunt; 不定法現在 clāmāre.

7. 現在 adsum, ades, adest, adsumus, adestis, adsunt; 過去 aderam, aderās, aderat, aderāmus, aderātis, aderant; 未来 aderō, aderis, aderit, aderimus, aderitis, aderunt; 不定法現在 adesse.

(2) 和訳


1. 少年たちは哀れにもひどく腹を空かせていた。〔前の課の練習問題 (2) 6. (21 頁注 4) と同様、miserī は副詞的な同格ととる。〕

2. 忠実な奴隷は自分の主人に罰せられないだろう。

3. 月も星々も盲目では見ることができないだろう。〔caeci は男性複数主格で隠れた主語 nōs に同格。〕

4. わがガッラよ、いつまでも忠実な婢女でおれ。

5. 少女は泣いていて、悲しみに沈んで座っていた。〔maesta は副詞的な同格。〕

6. 私たちは待たずに急ぐだろう。

7. たくましい競技者はマールクス少年に 6 本の剣を見せるだろう。

8. いつも水夫たちは星々を見ていた。

9. カティリーナはマーンリウスとケテーグスをけしからぬ計画の仲間に持っていた [とみなしていた]。

10. 市民たちは国内のも国外のも多くの戦争を記憶していた。〔multa は最後の bella にかかる。〕

11. 新しい人生が始まる。

12. 私は水夫になって航海するつもりだ。

13. 私たちはポンペイユスに明日援軍を送るつもりだ。

14. (彼は) 町を攻略して多くのガリア人たちを捕らえるだろう。

15. 私たちは私たちの祖国の勝利を歌っていた。

16. 抜け目のない仇たちは陰謀を君の人生になしていた。


VII. 前置詞,動詞の活用 (3),場所の表現


§36.


1. (彼らは) 自分たちの祖国を最高の正義で支配している。〔この本は練習問題にマクロンを付さないので summa iustitia を主格と取り違えかねないが、そうすると regunt の 3 人称複数が浮いてしまうので奪格とわかる。〕

2. そのようにして滅びるのだ、強い者たち (さえ) も。

3. オウィディウスはかつて暇なときに広場で散歩していた。

4. 私は明日私の息子たちとともに町へ行くつもりだ。

5. 君はローマから森へ帰る。〔Roma は奪格。〕

6. 3 人の使節がローマからカルターゴーへ来る。

7. (彼らは) 神殿を大きな注意をもって見張るだろう。

8. 私は先生に会いに行く;だが君たちはここでとどまっていなさい。

9. 忠実な奴隷たちは市民たちに神の怒りについて忠告するだろう。

10. もし君たちが少ない言葉で満足するならば、私は 7 つの星について物語を語ろう。

11. 子どもたちは喜んで草原をめぐって遊んでいた。

12. 私たちの主人は朝に畑に出ていた。

13. ただちに森から熊たちが出てきて少年たちを引き裂く。

14. 君はどこへ去るのか、ピロクセノスよ。—— 私は石切場へ戻る。

15. ユーリアは窓から星々を眺めていた。

16. 水道を、(すなわち) 水で満ちた大きな堀を、私たちは道からそう遠くないところに見ていた。

17. ローマの支配はロームルスに起源をもっている。

18. 夏に少年たちは健康ならば十分に学ぶ。


VIII. 疑問文,動詞の活用 (4),記述的属格・奪格


§40.


1. マールクスは君の奴隷か。—— そうだ。

2. 私たちはローマ人に戦争をもたらすのではないだろうね。

3. 怠惰な者はいつも暇な気分でいるのではないのか。

4. あなたは好意を与えてくれるか、バッコスよ。

5. 君たちは君たちの生活を大きな注意で見張っていないのか。

6. 君の祖国に神々の壮大な神殿はあるか。

7. 先生は 10 歳の息子を持っているか。—— 持っている。

8. 主人はいつも大きな心を持っていた。

9. 君は手紙を私たちの女王にしばしば持ってきているのではないのか。

10. 君は銀を少年のところに持ち帰っていたのではないだろうね。

11. 誰がカティリーナの高慢に耐えることができるか。

12. 君たちは勝利を貪る御者をほめるつもりではないだろうね。

13. アリストテレースは最高の才能・学識・能力をもった男だった。

14. 金を君のところから私の奴隷が運び去るであろうことはないだろうね。

15. なぜ君は来ないつもりなのか。—— 君は友情にさえ値しない (からだ)。

16. 君は食料とぶどう酒を水夫から買うのか。—— 買わない。