グリーンランド語入門第 10 回の範囲は,Kölbl, Grönländisch, S. 53–55 です (全体の目次は第 1 回をご覧ください).前回学んだ形容表現の比較級・最上級にあたる表現と,ついでに短いので副詞に関する部分もいっしょにまとめます.
形容動詞は強めることもできます.グリーンランド語では形容動詞について第 1 比較級と第 2 比較級〔ドイツ語の用語で,比較級と最上級のこと〕とをはっきりとは区別しません.両者とも動詞接尾辞 +neruvoq「より〜だ ist mehr」によって作られます.
母音幹 portu|voq は高い → portu|neruvoq はより高い,もっとも高い
子音幹 pikkorip|poq は有能だ → pikkorin|neruvoq はより有能だ,もっとも有能だ
r-幹 ajor|poq は悪い → ajor|neruvoq はより悪い,もっとも悪い
Oqaluf|fik portu|neru|voq. その教会はより高い/もっとも高い.
Aqagu sila ajor|neru|ssaa|q. 明日には天気は悪くなるだろう〔比較・未来・3 単〕.
-toq-形〔形容名詞形〕は,そのそれぞれの語尾 (-toq, -soq, -sooq) を +neq (3 類) に置きかえることで強められます.語尾 +neq は第 2 比較級〔=最上級〕形にのみ対応します.
母音幹 portu|sooq 高い → portu|neq もっとも高い
子音幹 pikkoris|soq 有能な → pikkorin|neq もっとも有能な
r-幹 ajor|toq 悪い → ajor|neq もっとも悪い
Qaqqaq portu|neq taku|(v)ara. 私はもっとも高い山を見る〔1 単・3 単〕.
比較は「〜より」にあたる ±mit〔奪格語尾〕によって表されます.
Ujarak qisu|mmit oqimaan|neru|voq. 石は木材〔奪格〕より重い.
〔以下は〕不規則な比較級〔=最上級〕をもついくつかの形容動詞です.
形容動詞 -toq-形 +neq の最上級
ajunngilaq ajunngitsoq ajunnginneq よい
angivoq angisooq anneq 大きい
mikivoq mikisoq minneq 小さい
takivoq takisooq tanneq 長い
utoqqa|avoq utoqqaq* utoqqaaneq 年老いた
nuta|avoq nutaaq* nutaaneq 新しい
qorsu|uvoq qorsuk* ― 緑の
* のついた形容〔名〕詞は例外的に動詞ではなく,-uvoq「〜である」を伴ってはじめてそうなります〔„sind keine Verben“ なので「動詞ではない」としか読めないのですが,-toq-形はもとより動詞ではありません.* をつける位置をむしろ第 1 列にして,「形容動詞 (-voq 形) が存在せず,utoqqaq その他に -uvoq を伴って……」とみなすとよいでしょう.このさい utoqqaavoq と nutaavoq には A-法則が働いています〕.またこれらは真の〔=固有の〕-toq-形をもちません.
ある行為がどのように生じるか (たとえば「早く行く」や「ゆっくり話す」のように) を表すためには,副詞 (Umstandwort) が用いられます.これは -toq-形から -mik〔単数具格語尾〕によって作られます:
arriip|poq 何かをゆっくりする (etwas langsam tun) → arrii|tsoq ゆっくりの → arrii|tsu|mik ゆっくりと.
Arrii|tsumik oqalup|poq. 彼はゆっくり話す.
ariin|nerusumik よりゆっくりと
〔欄外注:〕副詞は +nerusumik によって比較級になります.
比較級
形容動詞は強めることもできます.グリーンランド語では形容動詞について第 1 比較級と第 2 比較級〔ドイツ語の用語で,比較級と最上級のこと〕とをはっきりとは区別しません.両者とも動詞接尾辞 +neruvoq「より〜だ ist mehr」によって作られます.
母音幹 portu|voq は高い → portu|neruvoq はより高い,もっとも高い
子音幹 pikkorip|poq は有能だ → pikkorin|neruvoq はより有能だ,もっとも有能だ
r-幹 ajor|poq は悪い → ajor|neruvoq はより悪い,もっとも悪い
Oqaluf|fik portu|neru|voq. その教会はより高い/もっとも高い.
Aqagu sila ajor|neru|ssaa|q. 明日には天気は悪くなるだろう〔比較・未来・3 単〕.
-toq-形〔形容名詞形〕は,そのそれぞれの語尾 (-toq, -soq, -sooq) を +neq (3 類) に置きかえることで強められます.語尾 +neq は第 2 比較級〔=最上級〕形にのみ対応します.
母音幹 portu|sooq 高い → portu|neq もっとも高い
子音幹 pikkoris|soq 有能な → pikkorin|neq もっとも有能な
r-幹 ajor|toq 悪い → ajor|neq もっとも悪い
Qaqqaq portu|neq taku|(v)ara. 私はもっとも高い山を見る〔1 単・3 単〕.
比較は「〜より」にあたる ±mit〔奪格語尾〕によって表されます.
Ujarak qisu|mmit oqimaan|neru|voq. 石は木材〔奪格〕より重い.
〔以下は〕不規則な比較級〔=最上級〕をもついくつかの形容動詞です.
形容動詞 -toq-形 +neq の最上級
ajunngilaq ajunngitsoq ajunnginneq よい
angivoq angisooq anneq 大きい
mikivoq mikisoq minneq 小さい
takivoq takisooq tanneq 長い
utoqqa|avoq utoqqaq* utoqqaaneq 年老いた
nuta|avoq nutaaq* nutaaneq 新しい
qorsu|uvoq qorsuk* ― 緑の
* のついた形容〔名〕詞は例外的に動詞ではなく,-uvoq「〜である」を伴ってはじめてそうなります〔„sind keine Verben“ なので「動詞ではない」としか読めないのですが,-toq-形はもとより動詞ではありません.* をつける位置をむしろ第 1 列にして,「形容動詞 (-voq 形) が存在せず,utoqqaq その他に -uvoq を伴って……」とみなすとよいでしょう.このさい utoqqaavoq と nutaavoq には A-法則が働いています〕.またこれらは真の〔=固有の〕-toq-形をもちません.
副詞
ある行為がどのように生じるか (たとえば「早く行く」や「ゆっくり話す」のように) を表すためには,副詞 (Umstandwort) が用いられます.これは -toq-形から -mik〔単数具格語尾〕によって作られます:
arriip|poq 何かをゆっくりする (etwas langsam tun) → arrii|tsoq ゆっくりの → arrii|tsu|mik ゆっくりと.
Arrii|tsumik oqalup|poq. 彼はゆっくり話す.
ariin|nerusumik よりゆっくりと
〔欄外注:〕副詞は +nerusumik によって比較級になります.
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