John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 を大雑把に訳したもの.凡例は初回を参照.
XIX. 代名詞的前置詞
〔Pronomial [sic] prepositions の訳語.そもそもケルト語学の用語の訳語はさほどよく定まっていない気はするが,日本語ではどちらかと言えば「前置詞的代名詞」または短く「前置代名詞」(prepositional pronoun にあたる) のほうが普通だと思うところ,ここは原語の pronominal preposition を尊重してこう訳しておく.英語では「活用 (屈折) した前置詞」(conjugated preposition, inflected preposition) という言いかたもよくする.〕
〔私,君,彼,彼女,私たち,君たち,彼ら,の順に並べる.やはり整然と並んだ表が見たければ本を買ってください.〕
gans「と with」:genev, genes, ganso, gensi, genen, genowgh, gansa.
dhe「へ,に to」:dhymm, dhis, dhodho, dhedhi, dhyn, dhywgh, dhedha.
war「の上に on」:warnav, warnas, warnodho, warnedhi, warnan, warnowgh, warnedha.
heb「なしで without」:hebov, hebos, hebdho, hebdhi, hebon, hebowgh, hebdha.
rag「のために for」:ragov, ragos, ragdho, rygdhi, ragon, ragowgh, ragdha.
yn「の中に,で in」:ynnov, ynnos, ynno, ynni, ynnon, ynnowgh, ynna.
orth「で at」:orthiv, orthis, orto, orti, orthyn, orthowgh, orta.
a「から from」:ahanav, ahanas, anodho, anedhi, ahanan, ahanowgh, anedha.
後倚辞形がしばしば強調のために付け加えられる:
chi ha den ynno ev 家とそのなかにいる男
ev eth hebdhi hi 彼は彼女なしで〔=彼女を伴わずに〕行った
後倚辞を伴う場合,dhymm は dhymmo vy に,dhis は dhiso jy になる:
ev a dheuth dhymmo vy 彼は私〔のところ〕へ来た
hi eth dhiso jy 彼女は君〔のところ〕へ行った
XX. gans と dhe を含む成句
yma gans〔lit. be with〕は「自分とともにある」という意味で「持っている」を,yma dhe〔lit. be to〕は所有の意味で「持っている」を意味する.
yma genev ki 私は犬を持っている (ここに私とともにいる)
yma ki dhymm 私は犬を所有している〔いずれもふつうの日本語なら「飼っている」だが,ここではポイントをぼかさないよう直訳している〕
eus pluvenn genes ? あなたはペンを〔いまここに〕持っていますか
nyns eus gwreg dhymm 私は妻を持っていない〔これも「私には妻がいない」が自然だが,上記と同じ理由.日本語が下手だとか動物や女性の軽視だとかの誤解なきよう.〕
〔しかし英語を経由して have 動詞をもとに説明しているからこういうことになるのであって,コーンウォール語から直接訳せば「私には〜がいる/ある」とするほうが素直かもしれない.なにしろ主語は被所有物「犬が,妻が,ペンが」のほうで所有者が前置詞的代名詞「私に」,そして動詞は yma < bos「いる,ある」なので.〕
過去時制では,yth esa, esa, nyns esa が用いられる:
yth esa ki dhymm 私は犬を持っていた〔=私には犬がいた〕
esa ki dhodho ? 彼は犬を持っていたか〔=彼には犬がいたか〕
nyns esa pluvenn ganso 彼はペンを〔いま〕持っていなかった〔=彼にはペンがなかった〕
これは感情・必要・欲求とともにも用いられる:
yma nown dhymm 私は空腹だ
eus syghes dhis ? 君は喉が渇いているか
yma edhomm dhyn a vara 私たちにはパンが必要だ
yth esa own dhedhi 彼女は怖がっている
ただし「うれしい」と「申し訳ない sorry」は bos の短形を要する:
da yw genev dha weles 私はあなたに会えてうれしい
drog o gensi 彼女は悔やんでいた
XXI. 指示代名詞・形容詞
hemma, ma これ (男)
henna, na あれ (男)
homma, ma これ (女)
honna, na あれ (女)
yw および o の前では,縮約して hemm, henn, homm, honn になる.
henn yw an gwiryonedh あれ〔それ〕は真理だ
henn o teg あれはよい
piw yw homma ? これ〔=この女性〕は誰か
pyth yw henna ? あれは何か
形容小辞 (adjectival particle) として用いられるとき,ma と na の形は後倚辞的に名詞に後続する.
an chi ma この家
an gath na あの猫
名詞が形容詞によって修飾されるとき,指示詞は形容詞に後続する (III 課も参照):
an chi bras na あの大きな家
an gath wynn ma この白い猫
代名詞としての「これら」「あれら」は an re ma, an re na:
an re ma yw da これらはよい
an re na yw drog あれらは悪い
「あるものは…で,またあるものは〜だ」は re ... re erell:
re yw da, re erell yw drog あるものはよく,またあるものは悪い
XXII. 否定文
否定小辞で始まり,それは bos と mos の母音〔で始まる変化形〕の前では nyns, それ以外の場合は ny² である:
ny gar an den ma korev この男性はビールが好きでない
nyns yw mamm lowen 母は幸せでない
nyns ov vy lowen 私は幸せでない
nyns eth ev tre 彼は家に行かなかった〔eth は mos の過去 3 単:XVII 課〕
ny welsons i an chi 彼らはその家を見なかった〔welsons は gwelsons の軟音化で,gweles の過去 3 複:XVI 課〕
注意として,主語で〔否定文を〕始めることは可能ではあるがさほど一般的ではない,ただしもし〔そのとき〕それが複数名詞ならば動詞も複数でなければならない:
mebyon vras ny wrons oela 大きな少年たちは泣かない
否定の答えとして,つまり単純な「いいえ」として,ny は bos と mos の母音の前では nag に,それ以外では na² になる:
os ta lowen ? ― nag ov 君は幸せか.いいえ.
esons i omma ? ― nag esons 彼らはここにいるか.いいえ.〔esons は疑問文における ymons の別形:VII 課 (1)〕
以下は bos 以外の動詞を用いた例:
ny wel an vowes an mor 少女は海を見ない
ny welav an mor 私は海を見ない
a welowgh hwi an mor 君たちは海を見るか
na welyn いいえ
ny welyn an mor 私たちは海を見ない
XXIII. 季節・日・月・時刻
〔ほぼ単語の列挙のため省略.〕
以上で本編はすべて終了である.助動詞の活用および語頭子音変異に関する付録もこれを割愛する.
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