vendredi 10 novembre 2017

コーンウォール語入門 (8) 副詞・不定詞と現在分詞に関する補足・比較級

前回まで,John Page, Cornish Grammar for Beginners. Kesva an Taves Kernewek, ⁶2002 によってコーンウォール語の最初歩を学んできた.ここからはその続編である同著者の Cornish Grammar Intermediate, ⁵2008 によって残りの文法事項を見ていく.これは ‘intermediate’ (中級) と銘打ってはいるが,副詞・比較級・過去分詞・再帰動詞など,実際にはまだまだ最低限の学習事項であって前著で取りこぼされたものを扱っているという部分が大きい.

ところで前著 (for Beginners) の巻末では,続編として Grammar Beyond the First Grade なる同著者のタイトルが挙げられている.これは前著の ‘follow up’ であって 48 頁の並製本という情報も合致しているので,おそらく本書 Intermediate のことだと思われる.しかるに本書のタイトルとは異なるし,はしがきによれば本書の旧題は Grammar for the Second and Third Grades だったのだという.しかも本書の目次は ‘Grammar for the Third Grade’ と ‘Fourth Grade’ となって second が飛ばされているが,これはおそらく現地のコーンウォール語検定の級位の見なおしで 1989 年より fourth grade が追加されたことと関連しているであろう.

このようにたいへん事情が錯綜しており,いったいなにが正しいのか,本当に本書 Intermediate が前著の直接の続編なのかすらもはっきりしないが,とにかく続きだとみなすことにして本書を読んでいこう.なお凡例については初回を参照いただきたいが,亀甲括弧〔……〕が私の補足であるのに対して丸括弧 (……) はすべて原文であることを改めて明確にしておく.


I. 副詞


副詞はふつう yn⁵ を前につけることで形容詞から作られる:
da よい,yn ta よく
lowen 幸せな,yn lowen 幸せに
gwir 本当の,yn hwir 本当に
men 強い,yn fen 強く
言いかえれば,yn は英語の -ly と対応する.


II. 不定詞と yn unn


すでに見たように,現在分詞は動詞の不定詞の前に ow⁴ または owth をつけることで作られる〔前著 VI 課〕.しかしながら,分詞が〔それに〕先行する動詞を修飾するときには,小辞 yn unn² を用いる:
ev a wrug dos yn unn boenya 彼は走りながら来た (すなわち「走ることのなかで」)〔wrug は gwrug の軟音化で,これは助動詞 gul「〜する」の過去 3 単.gul はこのように使うことで,ほかの動詞の複雑な活用を覚えなくともこれだけで法や時制の変化が代用できる.〕
ここで「走ること running」はどのようにして彼が来たかを叙述している.これは動詞「来た」を修飾しているのであり,このために yn unn の形が用いられている.
ev a grias ughel y lev yn unn leverel ... 彼は……と言いながら大声で泣いた〔「泣きながら言った」のほうが訳としては自然だが,現在分詞になっているのが「言う」であることを明示した.grias は krias の軟音化で,これは英 cry にあたる語なので「泣く」か「叫ぶ」かは曖昧.〕
ev a dheuth yn unn waytya ow gweles 彼は私に会うことを望みながら来た


III. 現在分詞と orth


現在分詞が代名詞目的語をもつとき,ow または owth は orth になり,その代名詞は所有形である〔このことは不定詞につき前著 XIV 課で見た〕.不定詞の変異はその所有形が要請する変異による:
orth ow hommendya 私を紹介すること〔気息音化 hommendya < kommendya ; この ow は動詞小辞 ow⁴ でなく所有代名詞 ow³〕
orth y weles 彼を見ること〔軟音化 weles < gweles〕
orth agan klywes 私たち〔の話〕を聞くこと
orth hy threghi それ (女) を切ること〔気息音化 threghi < treghi〕


IV. 形容詞と副詞の比較


形容詞は a をつけることで比較級を作る;語末子音は二重化し,(適切なら) 硬音化し (hardened),それに先行する母音は短である:
bras [´bra:s] 大きい,brassa [´brassa] より大きい,an brassa もっとも大きい
teg [´tE:g] きれいな,tekka [´tekka] よりきれいな,an tekka もっともきれいな
koth [´ko:θ] 古い,kottha [´koθθa] より古い,an kottha もっとも古い
上で th が二重化するとき tth とつづられることに注意.

よく使われる 4 つの形容詞は不規則な比較級をもつ:
byghan 小さい,le, an lyha
meur 多量の,moy, an moyha
da よい,gwell, an gwella
drog 悪い,gweth, an gwettha または lakka, an lakka
多音節語はときに,また過去分詞はつねに,moy によって比較級を作る:
konnyk 賢い,moy konnyk, an moyha konnyk
比較級と最上級の形容詞はその〔修飾する〕名詞に後続することができ,この場合変異の通常の規則があてはまる:
benyn deg きれいな女性,benyn dekka〔teg, tekka の軟音化,女性単数名詞なので〕
しかしたいていは名詞の前にきて,この場合変異は起こらない:
tekka benyn, an tekka benyn
最上級は名詞の前にも後にもくることができる;女性単数名詞 (または人を意味する男性複数名詞) の後に来るならば,第 2 形変異をしがちである:
an gwella fordh または an fordh wella 最良の道
比較級が moy によって作られるとき,それは名詞に後続するが,変異は起こらない,というのも形容詞が名詞から離れているからである:
an venyn gonnyk 賢い女性
an venyn moy konnyk より賢い女性
比較における「〜より」は ages である (es と短縮されることもある):
Yowann yw kottha ages Peder ジョンはピーターよりも年上である
Yowann yw moy konnyk ages y vroder ジョンは彼の兄よりも賢い
Ages は人称代名詞と組みあわさる〔前著 XIX 課,代名詞的前置詞〕:
agesov vy, agesos jy, agesso ev, agessi hi, ageson ni, agesowgh hwi, agessa i
gwell yw ev agesos jy. 彼は君よりもいい
等位比較 (as ... as ...) には mar² ... avel ... または maga⁵ ... avel ... を用いる:
mar verr avel Yowann ジョンと同じくらい背が低い〔軟音化 verr < berr〕
maga ta avel owr 金と同じくらいよい〔混合変化 ta < da〕
Avel も代名詞と結合する:
avelov vy, avelos jy, avello ev, avelli hi, avelon ni, avelowgh hwi, avella i
mar vras avelli hi 彼女と同じくらい大きい〔軟音化 vras < bras〕
maga koth avella i 彼らと同じくらい年をとっている
しかし,比較が名詞または代名詞とではなく動詞とであるとき,avel は dell になり,第 2 形変異が起こる:
mar dha dell allav 私ができるのと同じくらい上手に〔軟音化 dha < da, allav < gallav〕
maga teg dell welydh 君が見えるのと同じくらいきれいな〔軟音化 welydh < gwelydh〕
副詞の比較はふつう,形容詞の比較級を用いて表される:
ev a vyw lowenna lemmyn 彼はいまやより幸せに暮らしている
ev a skrif gwell es dell wrav 彼は私がするよりも上手に書く〔軟音化 wrav < gwrav〕

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