samedi 15 janvier 2022

田中・松平『ギリシア語入門』練習問題解答 (13)

田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』(岩波書店、新装版 2012 年) の練習問題の解答例。このページでは第 49 課から第 52 課までを扱う。



XLIX 分詞 (2) —中動および受動相.情況を示す分詞


§476. 練習問題 94


1. ディオゲネースはある悪人にほめられて、「不安だ」と言っ (てい) た、「私はなにか悪いことをしてあるのではないかと」。〔XLIV 課和訳 8. を直接話法にしたもの。εἰργασμένος ὦ は ἐργάζομαι の接続法現在完了中動相 3 単。〕

2. へつらう者たちはだます者たちと同様に、信じられておりながら信じた者たちを悪く扱う (=ひどい目にあわせる)。〔πιστευθέντες の 1 語が状況を表す分詞句。アオリスト受動分詞・男性複数主格で主語に一致しており、主語の者たちが「信用されたのに、されたくせに」という譲歩、あるいは「されておいて」という手口の説明か。〕

3. もし誰かが嘘をつくならば、人間を恐れながら神を軽視している以外のなんであろうか。

4. 神々も人間たちから尊敬されると喜ぶ。

5. それでは私たちは頂上を占拠するために男たちを送ろうではないか。

6. その老人は身代金をもって娘を釈放してもらうために来た。〔「釈放してもらうために」は親切に注が答えを書いてくれているとおりであるが、現在中動分詞の中動の部分が「自分たちのために解放させる」という感じなので「してもらう」と訳せるということ。〕

7. ソローンは、いかにして国家において悪事が生じなかろうかと尋ねられて、答えた:「もし害されていない者たちが、害されている者たちと同じように憤慨するならば」と。

8. 若者たちを教育するもの [方法] は 2 つだ:悪いことをしている者たちへの処罰と、よい人たちへ与えられる贈り物 [報奨] と。〔念のため、コンマの次の ἥ は関係代名詞ではなく、次の後倚辞 τε からアクセントをもらっただけのただの定冠詞。〕

9. 国家とは共通の法令を用いる多数の人々の住まいである。

§477. 練習問題 95


1. τίς οὐκ ὀργίζεται [ἀγανακτεῖ] ἀδικούμενος ;

2. ὦ παῖ (μου), μὴ ταῦτα ποιήσῃς φοβούμενος θεόν.

3. ὁ ποιητὴς ἐτελεύτησε τῑμώμενος ὑπὸ πάντων τῶν πολῑτῶν.

4. ὑπὸ καλῷ διδασκάλῳ παιδευόμενος ὁ παῖς οὐκ ᾱ̓εὶ γίγνεται καλός.

5. ἦλθον λῡσόμενοι τοὺς παῖδας.


L 第三変化の名詞 (6) —複母音 (αυ, ευ, ου) 語幹の名詞.οἶδα の変化


§483. 練習問題 96


1. なんであれ大地がもたらしうるところのものを知らない者は、蒔くべきであるところの何物をさえ知らないであろう。

2. 両親を養わず、あるいは必需品を提供しない者は、市民権を失うところであるというのがアテーナイ人たちの法である。

3. 私は知らないことを (なんであれ) 知っていると思うこともしない。〔οὐκ οἶδα でなく μή なので一般的。原典は『ソクラテスの弁明』6 章 (21d)。cf. 田中『新ギリシャ語入門』§549。〕

4. アテーナーはオデュッセウスにとって、すべての危難・危険において同盟者であり忠告者であった。

5. 牛の類は人間にとってどんなことにも役に立つ。

6. アキッレウスの武具をめぐるアイアースとオデュッセウスとの争いを君たちは知らないのか。

7. その日の遅くに船団は港に来るだろう;嵐が恐ろしいから。

8. 陶工は陶工を妬み、王たちは王たちを (妬む)。〔たぶんヘシオドス『仕事と日』25–26 行改変。〕

9. 騎兵たちは馬たちを養い、馬たちは騎兵たちを乗せる。

10. インド人たちのところでは、神官たちの氏族は牧人たちや農民たちや職人たちの氏族から区別されてあった。〔動詞は直説法現在完了受動相 3 単。〕

§484. 練習問題 97


1. τί Ποσειδῶν ἐμῑ́σει τὸν Ὀδυσσέᾱ ;

2. μετὰ τὸν τοῦ Ἀχιλλέως θανάτου τὰ ὅπλα αὐτοῦ τῷ Ὀδυσσεῖ ἔδοσαν οἱ Ἕλληνες.

3. μετεπεμψάμεθα τὸν ἑρμηνέᾱ.

4. ἆρ’ οἶσθα τίς ἀπέκτεινε τὸν βασιλέᾱ ;

5. ἐπὶ τῆς νεὼς ἦγον τούς τε ἵππους καὶ τοὺς βοῦς.


LI 補語的に用いられる分詞.分詞の独立的用法


§491. 練習問題 98


1. われわれはみな (他人に) 忠告することに際しては賢いが、みずからが誤っているときには知らない [気づかない]。〔エウリピデス断片 1042。〕

2. 神々は人間たちによって尊敬されるときのみならず愛されているときにも喜ぶ。

3. 勇敢な者は逃げることを恥じるが、卑怯な者は逃げていても恥じない。

4. プラトーンは、アクラガースの市民たちが金をかけて家を建て贅沢に食事しているのを見て、彼らは永遠に生きるかのように家を建て、明日死ぬかのように食事していると言った。

5. アテーナイ人たちは後になってソークラテースを有罪としたことを後悔した。

6. その娘は、両親は渋っているのに、役者のところに嫁ぐ。

7. 平和を得ることができるときに、誰も戦争を選ばないだろう。

8. 魂を失った身体が死ぬのとちょうど同じように、そのように国家もまた法がなくば倒壊する。〔ἐστερημένον は στερέω の現在完了中受動分詞・中性単数主格で、属格のものを失って (奪われて) いる。後半の μὴ ὄντων νόμων の部分が独立属格。〕

9. 彼らは一日じゅうそのようなことを話すのをやめなかった。

§492. 練習問題 99


1. οὐκ αἰσχῡ́νονται ἁμαρτάνοντες.

2. ὕστερόν μοι μετεμέλησε τοῦτον (τὸν ἄνδρα) παίσαντι.

3. οἱ γέροντες ἥδονται τῑμώμενοι ὑπὸ τῶν νέων.

4. ἐξὸν ἐκ τοῦ ἄστεως φεύγειν, Σωκράτης οὐ τοῦτο ἐπειρᾶτο [ἐπειρᾱ́σατο].〔「しようとしなかった」というのはいろいろ訳しようがあり、ここでは πειράομαι「試みる」を使ったが、οὐ ... ἐβούλετο「したがらなかった」あるいは ἐποίει (未完了だけで「しようとする」を表す) でもいけそうである。〕

5. τῶν πολεμίων διωκόντων οὐκ ἐπαυσάμεθα δι’ ὅλης τῆς νυκτὸς πορευόμενοι.

§493. ΟΙΔΙΠΟΥΣ〔オイディプース〕


〔一文ごとに区切って訳を提示する。(1) から (5) まではソポクレス『オイディプス王』のあらすじ、(6) からは同人の『コロノスのオイディプス』の設定。といってもこの文章がそれら悲劇からの抜粋なのではなく、教科書の著者か誰かによって簡略化して書かれた散文の説明である。〕

(1) そのあとオイディプースは長いあいだテーバイをはなはだ成功裡に治めた。

(2) だが多年の後になって突然に生じた恐ろしい災いが国家をはなはだ重く圧迫しはじめた。

(3) そして非常に多くの市民たちが死んでいくので、王は当時の予言者たちのうちもっとも著名だったテイレシアースを呼び寄せ、この災いの原因を明らかにすることを命じた。〔τότε「当時」は副詞だが形容詞的に用いられていることはこれまで何度も説明されているとおり (e.g. XIX 課練習問題の注 1、XLVII 課の注 1)。〕

(4) すると彼は明確に言った、オイディプースがすべての悪いことに責任がある、(それは彼が) 父を殺し母と結婚したからであると。

(5) まさにそのときイオカステーは、オイディプースについての話を聞き、自分から首をくくって死ぬ。他方オイディプースは自分の両目をえぐりだす。神々の神託は空言でも偽りでもないことを遅ればせながら知ったことで。〔注のあるとおり、ここからの動詞は歴史的現在なので過去に訳してよい (が、ここでは語形をわかりやすくするため現在は現在に訳しておく)。τὰ περὶ τὸν Οἰδίπουν は前置詞句を名詞化しており「オイディプスについてのこと (話)」。後半オイディプスについての主文は ἐκκόπτεται τοὺς ὀφθαλμούς と中動相で言っていることで「自分から両目を=自分の両目を」という意味になる。〕

(6) 呪われ祖国から廃位された彼は、アンティゴネーとともにアッティカのコローノスにあるエウメニデスの神域のほうへ逃げこむ。そこではテーセウスが盲目の嘆願者 (=オイディプース) を親切に迎え入れた。〔巻末に ἀποκήρυκτος は「廃嫡された,相続権を奪われた」とあるのだが、すでに王として長年治めたあとでそぐわないので「廃位」と訳しておく。ἐδέξατο は δέχομαι のアオリスト中動相。〕

(7) その場所でわずかな時間のあと、あらゆる種類の受難と苦痛によって弱められてあった [弱っていた] この老人は亡くなる。〔κατακεκλασμένος は現在完了受動分詞なので、すでにこれまでの苦難の連続で弱った状態であったということ。〕


LII 形容詞の比較


§501. 練習問題 100


1. 海のそばでの生活は町での (生活) より心地よくはないか。

2. なんとうまいのだ、水は。——神々にかけて、だが葡萄酒はもっとうまいし甘い。

3. 追従者たちは友人たちよりも心地よいことを語るが、より恥ずべきことを (語る)。

4. 知恵より貴重な財産はない。

5. 蜜蜂はきわめてとげとげしい花やざらざらした棘のある草のなかにもっとも甘い蜜を見つける。

6. 夕方にかけて家々はより長い影をもつ (=家々の影はより長くなる)。

7. たいていの場合男たちは女たちより低い声をもっている (=声が低い)。

8. 人々のうちもっとも弱い者たちはもっとも妬み深い。

9. (彼は) 魚よりも無口でカラスよりも黒い。

10. アゲーシラーオスは友人たちにははなはだ穏やかだったが、敵たちにははなはだ恐ろしかった。

§502. 練習問題 101


1. ἡμῖν ἡ φιλίᾱ τῑμιωτέρᾱ ἐστὶ τοῦ χρῡσοῦ.

2. οἱ ἄνθρωποι ἐνόμιζον τὸν Σωκράτη σοφώτατον πάντων τῶν Ἑλλήνων.

3. ὀξυτέρᾱς ἔχουσι τᾱ̀ς φωνᾱ̀ς αἱ γυναῖκες ἢ οἱ ἄνδρες.

4. δοκεῖς μοι σοφώτερος αὐτοῦ.

5. οὐκ ἐμῑ́σει τὸν κάκιστον ἄνθρωπον.

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